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案内記19

「れんげ、この道のどこに、見てほしい景色が……あれは、何じゃ?」


 細い道を歩きながら、暴走系美女が眉を寄せた次の瞬間、目的地に行くための道が目の前に現れた。


「あれは、スカイロードって言って、上まで歩かず行ける、ちょっと変わった乗り物です!」

「乗り物!」


 暴走系美女が目を輝かせた。

 乗り物って言うだけで目を輝かせるって……ちっちゃな子供みたいだな。


「い、嫌だ! 絶対乗らない! 乗り物が上に動くなど、あり得ない!」


 あ、面倒な人が、約一名。……しまった。黙って乗せるんだった。エレベーターだから、一度乗ったら逃げられないのに。


「いや、あるって。そもそも、この世界、空飛ぶ乗り物だってあるんで」

「ドラゴンか?!」


 いや、暴走系美女、そんな生き物いないから!


「イザドラ様、さすがにそれはないです。ドラゴンが人間の言うことを聞くとは思えません」


 濃い顔イケメンの言葉に、途中までウンウンと頷いてた首が止まる。


「ドラゴンはいないから! 飛行機って人間が作った乗り物です!」

「人間が作った乗り物? どうやって飛ぶんじゃ?」

「ごめんなさい、そこは説明できないですけど、空を、あ、ほらあれが飛行機です」


 空を見上げたら、丁度飛行機が飛んでいくところだった。小さく見える飛行機を指さすと、皆が空を見上げる。


「何じゃ、ドラゴンとそれほど変わらぬな」


 ドラゴン、どれくらいの大きさなんだろ。

 そして、この人たち、ドラゴンも吹き飛ばしちゃったのかな。


「あれ、ドラゴンとは違って、中に100人以上人が乗れるようになってます」

「「「「100人?!」」」」


 流石にそれだけの人数が乗れると思わなかったんだろう。4人の目が見開いた。


「絶対乗らないですよ!」


 うん、根暗美男子。乗せるお金はないから安心して!


「私は、カーシー様に話すために、乗ってみたいですわ」

「私もじゃ!」

「私も……乗ってみたい気がします」

「無理です! さ、行きますよ!」


 盛り上がってきた3人の会話をぶった切り、私は歩き出す。

 当然のように、根暗美男子が止まっている。

 私は振り返るとニヤリと笑う。


「この道にはもう戻ってこないから」


 意味を理解したらしい根暗美男子は目を見開いて、渋々後ろをついてきた。

 

「はい乗りますよ。ボタンにはさわらないで下さいね!」


 緊急ボタンとか押されたら、住民の人たちに迷惑でしかない! ここ、生活道路だから。


「あい、わかった!」


 暴走系美女の返事一番速いけど、大丈夫かな?

 結局、なかなか乗り込もうとしない根暗美男子は、後ろから押し込むように乗せた。


「も、もし止まったらどうする!?」

「暴れたら止まることあるんでやめてね!」


 住民の人たちに申し訳なさすぎる。


「だが、落ちるかも知れないだろう?」

「止まっても落ちないから。あ、右側見てて下さい」


 暴走系美女は勢いよく右を向いた。旧たおやかさんはゆっくりと、濃い顔イケメンは不思議そうに右を向く。そして、根暗美男子は、おずおずと右を向いた。


「おお、湖が見えるぞ」


 暴走系美女が声をあげる。


「海ですよ」


 山に囲まれてるし一部しか見えないから、湖に見えちゃうかもしれないけど、歴とした海だ。


「こんな山の合間に、海があるんですか?!」


 濃い顔イケメンが目を丸くする。異世界にはこんな景色はないのかな?


「長崎は、山があってすぐ海なんです」

「ふふふ。これからが楽しみね!」


 旧たおやかさん……気に入ってはくれたらしい。

 けど……ハードルあげられても、越えられそうな気がしない!


「海も船も嫌いだ」


 根暗美男子の表情は険しい。


「底に沈みそうで怖いから?」


 私の返事に、根暗美男子が目を見開いて私を見た。


「どうしてそれを」

「いや、その気持ちはわからなくはない。岸壁で海眺めてると、そんな気分になることがあるから」


 底がわからないって、どうなるかわからなくて怖いよね。


「……他にもいるのか」

「データス、よくそんな怖がりで、魔王倒すための魔法使いになろうと思ったよね」


 私がからかうと、根暗美男子は眉を寄せる。


「なろうと思ったことはない」

「え?」


 ポン、と目的の最上階に到着して、エレベーターの扉が開く。


「れんげ! 次はどっちにいくのじゃ!」


 先にエレベーターから降りた暴走系美女の声に、視線を上に向ける。


「進行方向右ですけど、待ってて下さい!」


 ここから先、道が色々あるから別行動されると困る!


「もう乗るものはないんだろうな?」


 根暗美男子が、私に疑いの目を向けている。

 いや、あるんだけど。


「あ」

「何だと! 魔法さえ使えれば壊してしまうのに! こんなことなら魔法石を持ってくるんだった!」


 それは、困る。 

 マソって魔法石に込めることができるんだね。魔法石なくて良かった!

スカイロードに行ったことがありませんので見える景色をご存じのかたは教えて下さい。オランダ坂も途中までしか上ったことはないんですけど……。

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