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第1話 異世界の襲撃者!! 

新作です。


ちょっとアレな場面があるのでR15にしてあります。


気楽に読んでみてください。

 夢見心地のまま、何故かふらふらと歩いていた。

 完全に目が覚めた時、彼は「うわぁ……」と思わず溜息を吐いてしまった。


 小さな炎に照らされた、洞穴のような岩石に囲まれた周囲。

 鼻を突いてくるのは、人間に不快にさせる全てを煮込んだような臭気。

 明らかに凌辱し尽されて倒れ伏している全裸の女性が二人。

 しかも、そのうち一人は顔が半分潰されていて、既に息をしてないと思われる。

 血に溢れる肉塊――おそらく数時間前は、生きた人間の男たちだった筈だ。

 眼前には三匹の子鬼……いわゆる「ゴブリン」とか呼ばれているアレなのだろう。



(これはつまり、異世界転生……じゃなくて、異世界転移ってやつか)



 冗談じゃない、が彼の率直な感想である。

 なにがあったのか分からないが、いきなりこんな――などという憤りは、ある疑問の襲来とともに唐突にしぼむ。



(あれ? 俺って何者だ? いや、日本に住んでいたことも、最近は転生モノが流行ってるってのも覚えてるけど、それ以外は何も……自分の名前も、何やってたのかも、そもそも転移される直前がどうだったのかも思い出せんよ?)



 トラックとかに轢かれたのか?

 天寿を全うしたのか?

 悩んだ末に自殺したのか?

 無差別殺人に巻き込まれたのか?

 ……重要な部分がぽっかりと欠落している。


「ぎいっ!」


 ゴブリンたちが喚き始める。

 言わんとしている意味は分からないが、明らかに怯えていた。

 一匹が逃げ出そうと踵を返したが、洞窟の奥へ数歩も進まないうちに聞くに堪えない絶叫がこだまし、新たな鮮血の臭いが広がってくる。

 暗い洞窟の奥からのっそりと姿を現したのは、ゴブリンでありながら明らかに体格の大きい亜種――ゴブリンチャンピオンもしくはロードと呼ばれている個体だった。


(なんだよ、これ? 誰も説明してくれんのかよ?)


 ゴブリンなんて空想上の怪物が眼前にいた時点で「異世界だ」と決めつけてはみたものの、見慣れぬ洞窟やらレ〇プやら惨殺死体やら記憶喪失やら大型ゴブリンやらが息つく暇を与えてくれないので、彼は自分が混乱しているのか冷静なのかすら判断できない。


「があああっ」


 しかし、そんな相手の事情など知らないゴブリンロード(仮)は、大きく吠えると同時に手に持っていた死体――逃げ出そうとしたゴブリン――を怪しげな闖入者へ投げてきた。

 あり得ない方向に首が曲がった怪物の死体が凄い勢いで飛来してくるなんて、トラウマ映像としては相当高いレベルだろう。


(つか、さっきからそんなのばっかり見せられてる気がするんだが)


 突っ込んできた屍を、首をちょいと動かすだけで避ける。

 哀れなゴブリンAの行方を気にする間もなく、ゴブリンB(生死不明)も飛ばされてきた。

 これは腹の辺りに当たりそうだ――彼は一目で判断すると、右の裏拳で吹き飛ばす。

 すると(死体)の影から何かが突進してくるのが見えた。


(あのデカいのか?)


 ゴブリンは小学生くらいの体格だったが、ロード(?)はヘビー級プロレスラーと見紛う立派なガタイの持ち主だ。

 彼は裏拳を振り抜いた勢いのまま、回転をさらに増して蹴りを繰り出す。

 意識して動いたのではないはずなのに、絶好のタイミングで彼の右足の踵は敵の頭蓋骨を粉砕する――が、それはゴブリンCの絶命の瞬間だった。

 肉の盾を投げ捨てたゴブリンロードが、獲物とした冒険者から奪ったらしい剣で鋭く突いてくる。


(マズい……けど、大丈夫かな)


 重傷――やもすれば致命傷になりかねない一撃を前に、なぜか彼はゆったりとした心構えだった。


 切っ先が闖入者の身体を突き刺し、貫通する。

 その感触がもたらす恍惚にゴブリンロードは浸ろうとしていたが、金属の折れる鈍い音がそれを阻んだ。


 闖入者の胸の辺りを狙っていたのだが、相手は軽くジャンプをして腰の辺り――赤い宝石らしきモノが埋め込まれたベルトのバックルで受け止めたのである。


 折れた剣の軌跡を無意識に目で追っていたゴブリンロードは、直後に胸へ強烈な打撃が加えられ意識が遠ざかった。



「自分の身体じゃないみたいだ」



 他人事さながらに呟きながら、彼の身体は左の跳び前蹴りで敵の胸骨の何本かをへし折り、それを踏み台代わりにしてすぐさま右の膝でその頑丈そうな顎を一撃で破砕していた。

 腹に食い込んでいる左の爪先を抜くと同時に後方へ宙返り。予想以上に高く飛んでしまって、洞窟の天井に身体をこすってしまった。


 危なげなく着地した彼がくるりと回れ右をすると、ゴブリンロードは緩慢に数歩後退し、バランスを崩して倒れてしまう。






 その魂が肉体に残っていないのは明白だった。


こちらは不定期な更新となります。



気長に続きを待っていただければ幸いです。

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