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パラレルワールド戦記  作者: 七味とうがらし
2/2

開発

 涙で湿った枕を蹴とばし「ぬおおおおおおおおお ぬっころ~~~~す」悲しみを怒りに変えて活力とし俺は立ち上がった、


朝の寒気で目が覚めた、万年床の冷たいせんべい布団じゃ安眠出来ない、何とかしなければと思い部屋を見渡す、暖房器具ってないんだねこの部屋、あ!一個あった、ブリキで出来た湯たんぽだ、うんこれ一つあるだけで全然違うんだよね、あはははは~ってこの世界に馴染んでどうするんだ!


朝からノリツッコミでテンションを上げようと努力をするも鬱の波が又押し寄せる、そんな事を2~3回繰り返す、


何をぬっころすのかは解らないがとにかくやる気が出てきたようだ、


こっちの世界に来てから街の様子なんてものは見てないからわからないんだ、教授のお屋敷と料亭に行っただけだからね、ってことで銀ブラしてみたいと思います、銀のブラジャーではないですよ、銀座をぶらぶら散策ですからねっ、そこんとこ間違えないように、路面電車でガタゴト走り到着です、


 ってことで今銀座に来てますよ、おされな【かふぇ】に入ってコーシーでも頂いてきますヨ、これで俺もモボ【モダンボーイの略】と呼ばれちゃうかなふふ、


 朝から妙なテンションで行動しているとここは銀座なんだけど、さっきからアキバ系の人を見かけるんですよ、この時代にケモ耳とかコスプレって有ったの?よく見ると着物姿のおねいさんもケモ耳コスプレ?


 ここはひとつ勇気を振り絞ってお尋ねする事にしましょう、


「鬼も十八番茶も出花的なそこのモガ【モダンガールの略】な彼女おいらとコーシーでもどうだい?」


とりあえずケモ耳もしっぽもないノンコスプレの綺麗な後姿の女性に声をかける、振り向いてくれたその彼女は年の頃なら18くらい鍔広の帽子に若草色のワンピースそれにベルトを付けてウエストがキュッと細く見えるように、その上からベージュのコートを羽織るように着こなしている、とってもおされな感じだった、


「え?私...ですか?」


「はいそうですそこの素敵な貴女の事ですよ、おっと心配しないでおくんなさい、おいらここの学生やってるもんです、」と言って学生証を渡して見せる、


信用してくれたのか、はにかみながら彼女は 


「私も歩き疲れてちょっと一休みしようと思っていたんですよ一人で【かふぇ】に入る勇気もなかったので」


「じゃあそこのおされな【かふぇ】に入って休憩しましょうか、」俺が言うと10mほど先にある小洒落た【かふぇ】に入店した、


入店した所まさにメイドかふぇであった、それも猫耳のウエイトレスさんだった...


俺は気を取り直して彼女のコートと帽子を衣文掛けに掛ける為に預かる、そして着席した、


「いや~突然呼び止めて失礼いたしました、私、白鳥浩と申します、帝国大学の院生です」先ほどの軽い感じの挨拶からちょっと変えていつもの調子に戻してみた、やはりあの調子は無理があったから話しにくいんだ、


「いえいえ、そのような事は御座いませんでした、こちらこそお誘い頂き有難う御座います、魔法で悪意のないことは解っていまたし、何かご質問が有るようでしたから、」


彼女の名は伊集院忍さんと言いました、品の有る方だと思ったが華族のご令嬢でしたよ、


「すいませんでは早速質問させていただきたいのですが...」しかし言葉を止めた、先にこちらの事情を話さないと理解していただけないかもと思い


「質問より私の経緯からお話するのが筋ですね」と言ってから今までの事を話した、


「と言う事で転移してきたんです、それで解らないことだらけで少しでも情報をと思ってお声をかけた次第なんですよ」


 俺は経緯を全部打ち明けた、初対面の人に普通は言わないよねこんな事、でも何故だかこの人には話しても大丈夫って心の中で誰かが囁いていたんだ、後に力になってもらえるって、


「気を取り直して先ほどの続きですが、コスプレ流行ってるんですか?」俺は聞いてみた、


「コスプレってどういう意味なんでしょう?英語はわかりませんのでお教えいただけますか?」


「あ!はいコスチュームプレイを略した言葉で衣装を着替えて変装遊びみたいな事なんですが、例えば猫の耳や尻尾を付けてみるとか」


「え?あのウエイトレスの方はみみと尻尾は生来のものですよ?作り物ではありませんよ」


「マジっすか!?」


「その証拠に私はオーガの血を引く一族なのでこれがその証です」そう言って前髪を掻き揚げると小さな2本の角が確認できた、


「ここは、この世界は俺の憧れ、夢の世界だったのですね...」なぜかわからないが涙が頬を伝っていた、一頻り涙が流れ終わった後、


「すいませんお見苦しい所を...」


「いいえ、余程嬉しかったのですね、こちらにも嬉しい感情が溢れて伝わってきましたから、こんな事は私も初めての事です、」


彼女はそう言ってくれたのでかなり心が軽くなった、


彼女は習い事の時間が近いのでここで帰宅する事に 丁寧にお礼と挨拶をしてお会計は俺が払っておこうとすると私がお出ししますよと言われたが意地でも俺が払って見せるとの意気込みを感じてくれたのか、すぐに引いてくれた、昔の人ってこんな人多かったんだよね、


2時半に研究室に戻る、教授が来ていたので本日の報告をする、


「ほ~聖子君の娘さんにあったのかい、奇遇だね~」


「あれ?教授お知り合いの娘さんですか?」


「ああ 私の研究室にいたんだよ聖子君は、いや~立派なお母さんになったね~」昔を懐かしむような遠い目をしていた、


「教授、実は合金作成の実験許可を頂きたいのですが、よろしいでしょうか?」


「では、概要を纏めて報告書を提出、これを何時までに出来るのかな?


「組み合わせがかなりあるので3か月はかかると思います」


「それで何の合金かね?」


「ロストテクノロジーで造られたと言われた金属です、


「まさかあのミスリル合金を作ろうと言うのかね?」


「はい、ミスリル合金です、実は理論は完成しているんです、あとは精錬温度と配合率だと思うんです、」


俺は色々な文献を読み漁った、


「結論から言いますと今までの金属をいくら合金にしてもミスリルは作れない事になります、合金の基本となる金属が無いからなんです、しかし私がいた世界には白金や金と同等に錆びず鉄以上の強度を持ちジュラルミンより軽量な金属それに魔鉱石から精錬した魔鋼を合金とすれば理論的にはミスリル合金の性質が再現できると思います」


「そしてこの材料を使って私のいた世界のテクノロジーを加えた発動機を作ります、今まで魔法の補助として使われてきた発動機をその今までの考えとは逆に発動機の補助として魔法を使います、その第一段階がこの合金制作なんですよ、」


「教授、この合金が完成したらかなり優位に立てます、そしてこれは売れますよ、かなりいい商売が出来ると思います」


「白鳥君君は商売人なのか技術者なのかどっちなんだい?」半分あきれた様子で問うている、


「いやだな~教授、根っからの技術者ですよ俺は」


「そうか、ガンバレ」教授は力なく言った、


「でも技術の発展には軍資金が必要な事、俺は前の世界で嫌と言うほど思い知った経験が有るんですよ、だから資金は潤沢なほど良いと思うんです、自分の好きな研究をしたいなら、結果を出して金にするこれが王道だと思っているんです」


「うむ、そうだね、そういう事なら私もその意見に賛成だな」


「では炉の使用許可と実験用魔鋼のインゴット1トン程お願いします、明日から実験に移ります」


「それと助手に誰か付けて頂けますか?」


教授が言う「それ面白そうだから僕が手伝うよ♪」やけに教授楽しそうだった


そして3か月後


80%の性能が出ていた、金属の性質性能は予定通りだけど魔力の通りが悪いんだ、教授も魔力出るんだけど凡人の魔力位しかないと言っていた、そこで教授が提案してきたのはもっと強い魔力を入れて衝撃を与えたらどうだろうかと言う事だった、


教授が強力な魔力もちの知り合いを明日連れてくると言っていたので実験は明日までお預け状態になった、一回通りを良くすれば確かに良くなっていくかもしれない金属の慣らしと同じように魔力の慣らしも有ると教授から聞いたしね、


翌日、教授が若い女の子はべらせてやって来た、と思ったら見覚えのあるお嬢さん、伊集院忍さんでした、


「お久しぶりでございます」伊集院さんが挨拶をしてきたので俺も挨拶を返す、


お茶を皆で飲んで一服してから実験は始まった、


ちなみに教授のMP(魔力の数値化されたもの)は150と言っていた、伊集院さんはMP600あると言っていた、


「実験を開始しますので魔力計を装着して下さい」教授がヘルメットから配線が沢山出てるのを持ってきた、それを計器に接続して教授はヘルメットを装着、これで準備完了、


 3cm角で50cm長のミスリル合金の入力側を手にした教授、ミスリル合金の反対側の出力端子には測定器具を繋いである、入力測定器と出力測定器を並べる、結果は教授は全力のMP150入力してMP120の出力だった、


「次伊集院さん、次お願いできますか?」


伊集院さんが頷くと測定具を装着、緊張が伝わってくる、


「では、最初入力MP150からお願いします、合金からの魔力伝達出力MP120です、」俺が測定値を読み上げ記録する


MP50ずつ上げていくことに「MP200までお願いします、測定値MP160です」続けていきます


「MP250でお願いします、  測定値MP225です90%来ました」


「MP300でお願いします、  測定値MP300!100%来ました」


「MP350でお願いします、  測定値MP390」 「MP400お願いします、測定値MP600!」


「MP450でお願いします、測定値MP810!」 「MP500でお願いします、測定値MP1000!」


「MP550でお願いします、測定値 MP1375! 「最後MP600お願いします、測定値MP1500!」


教授唖然として動かず、伊集院さんも驚愕の事態だった、


「これが伝説の金属ミスリルの性能ですか」伊集院さんが言葉を発すると堰を切ったように教授が咆哮を上げる、


「うおおおおおおおおお凄いよMP1500だよ始めてみたよ、素晴らしいよ白鳥君この金属は!」


「教授もう一つ実験いいですか?」 


「今度はどんな実験だい?」


「もう一度教授が測定してみてください先ほどの実験結果は80%でしたよね、とにかくやってみてください、」


「おお、そうだったな、ミスリルの特性を試さないといけませんね」


教授は俺に促されて測定器を装着する、


「教授全力でお願いします、入力魔力MP150、出力MP180!」


「これは一体、さっきは120で80%しか伝達出来なかったのに、」俺が教授に問う


「合金が馴染んできたと予想されますね、一回大きな魔力を通していくと魔力回路の保護回路が働いて回路を強化していくのではないかと考えられます、」教授が仮説を立てていく


「成長する金属か、伝説の通りだな、白鳥君それで元になった合金は何の合金だったのかな?」


「チタン合金といいます、この時代のカ学技術力ではまだ大量生産の出来ない金属です」


「しかし君はそれを作る術を持っていると言うわけだね、」


「はい、これを商品化しようと思っております、この性能が有れば十分売れますからね、当然市販品はデチューンしてこの性能の半分くらいに抑えておきますけどね、それでもかなり強力な物になるでしょうね、使う人が使えば」


「使う人とは?どういう意味かな白鳥君、」


「元から魔力が高すぎる人ですよ教授」


「ふむ、なるほど」


 俺は頭の中で試算するこの金属の1グラムの価値を、公務員の初任給が75円とこの時代聞いたんだよね、開発コスト、製造コスト、原材料費 開発コストは100kg造ったら回収出来る計算にしてっと、利益率80%での計算で定価設定、うん出来た、1グラム1000円ね、


「教授この金属の可能性を含めて定価設定してみました、1グラム1000円でどうでしょうか」


「白鳥君私はしがない大学教授だよ、価格面には疎いからね~」教授は笑いながら答えていた、


 多分教授はそんなことよりこの合金の可能性をもっと追及したい様だ、俺もそうなんだけどね、先ずはこれを金に換えて次の資金にしていかないとね、俺たちの目標はこの日本を運命に抗いながらより良き結末へと歩む事なのだ、






続く

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