箸休め 語源百景 神話・宗教篇② カレンダーは神様だらけ?
番外編です。
今回は前回の『箸休め』に続き、神話を語源にする単語を紹介しています。
作中でも語りましたが、アメリカ人は冥王星を愛しています。
惑星から準惑星になる時は、格下げに賛成する人が国中から叩かれたとか。
身近な言葉の語源を紹介する今回の箸休め。
前回はギリシア神話が語源になった言葉を挙げていきました。第二回目の今回は、ギリシア神話から派生したローマ神話に話題を移したいと思います。
英語で運命を意味する「フォーチュン」は、ローマ神話の幸運の女神「フォルトゥナ」を語源にしています。また曙の女神である「アウロラ」は、「オーロラ」と言う言葉を作り出しました。
更にローマの神々は、我々が毎日目にするものにも痕跡を残しています。
何を隠そうカレンダーです。
英語で一月を指す「January」は、ローマ神話の門の神ヤヌス(Janus)に由来します。ヤヌスは入口である門を守護することから、一年の入口にあたる一月も司るとされたそうです。
同様に五月を指す「May」は女神マイア(Maia)、六月を指す「June」は女神ユノ(Juno)を語源としています。ユノはギリシア神話のヘラに相当し、女性の結婚と出産を守護すると言います。六月の結婚がジューンブライドと呼ばれて尊ばれるのも、ユノの加護を受けられるからだとか。
暦と言うなら、北欧神話も忘れてはならないでしょう。
曜日を意味する英単語は、北欧神話の神々を語源としています。
以下、例外である月曜、土曜、日曜以外の由来を説明します。
火曜(Tuesday)→戦いの神テュール。有名なフェンリルを拘束した際に右手を食いちぎられ、隻腕になる。
水曜(Wednesday)→北欧神話の主神オーディン。有名なグングニルの槍の所有者で、ゲームオーバーになる度に復活させてくれる。
木曜(Thursday)→雷神トール。ムジョルニアと言うハンマーを持ち、緑色の巨人や社長と共に戦う。
金曜(Friday)→愛欲の女神フレイヤ。またはオーディンの妻フリッグ。
土曜日(Saturday)はサターン(Saturn)と呼ばれる土星同様、ローマ神話の農耕神サトゥルヌス(Saturnus)に由来すると言われています。尚、他にも太陽系の惑星(冥王星は準惑星ですが)には、ローマ神話の神々の名前が与えられています。
水星(Mercury)→商売や旅の神メルクリウス(Mercurius)。ギリシア神話のヘルメスに相当する。水銀の英語名「mercury」にも使われている。
金星(Venus)→美の女神ビーナス(Venus)。ギリシア神話のアフロディーテに相当する。
火星(Mars)→軍神マルス(Mars)。ギリシア神話のアレスに相当する。
木星(Jupiter)→主神ユピテル(Jupiter)。ギリシア神話のゼウスに相当する。
天王星(Uranus)→天空の神ウラヌス(Uranus)。ギリシア神話のウラノスに相当する。「ウラン」と言う元素名にも使われている。
海王星(Neptune)→海の神ネプチューン(Neptunus)。ギリシア神話のポセイドンに相当する。「ネプツニウム」と言う元素名にも使われている・
冥王星(Pluto)→冥府の神プルート(Pluto)。ギリシア神話のハデスに相当する。「プルトニウム」と言う元素名にも使われている。
余談ですが、浦安のネズミが飼っている犬は、冥王星に因んで名付けられました。惑星(2006年までは、ですが)の中で唯一米国人が見付けた冥王星は、アメリカの人々にとって特別な存在だそうです。発見者のクライド・ウィリアム・トンボーの遺灰は、2015年に冥王星を撮影した無人探査機ニュー・ホライズンズに載せられています。




