箸休め 骨とアレの関係性(ネタバレあり)
番外編です。
本編では語りきれなかった雑学を紹介しています。
見ておくと、明日自慢出来るかも?
『亡霊葬稿ダイホーン』に登場した、史上最も縁起が悪い変身アイテム卒塔婆。首輪に装填されたそれは、大量の骸骨を召還しました。ただでさえ墓場と言う繋がりがある両者ですが、歴史を繙いてみると更なる関係性が見付かります。
そもそも卒塔婆とは、「ストゥーパ」を模したものです。
ストゥーパとは古代インドで使われていた言語サンスクリット語で、「塚」や「墳墓」を指す言葉です。現在では主に仏教的な意味合いを持つ塔を指し、日本語では「仏塔」と訳されます。清水寺にある三重塔や、浅草寺の五重塔もストゥーパです。
実のところ、卒塔婆と言う単語には仏塔のことも含まれます。墓場に立っている板きれのみを指す場合は、「板塔婆」と呼ぶそうです。
ストゥーパは元々、仏教の祖である釈迦を祀るために建てられました。当然、日本と同様に仏教を信仰する中国やインドにも、数多くのストゥーパが建立されています。
今でこそ経典や宝石が代用されていますが、古来、ストゥーパには仏舎利が納められていました。仏舎利とは釈迦の遺体のことで、火葬された後に遺った遺骨や遺灰などを指します。そう、その昔、卒塔婆には「骨」が納められていたのです。だから、卒塔婆が骸骨を出しても無理はないのです(と言い張ってみる)。
無論、お釈迦様一人焼いたところで、世界中に配れる量の遺骨が出るわけもありません。仏舎利と称しているものの大半が、いわゆる眉唾物だそうです。事実、各地にある仏舎利を集めると、ウルトラマン級の巨人になってしまうとか。
余談ですが、同じような話はキリスト教にもあります。
有名なのが、キリストの架けられた十字架です。この十字架の欠片は世界各地に遺っているのですが、それらを全部組み合わせるとエースキラーが使ったようなサイズになってしまいます。
また磔になったキリストを貫いたとされるロンギヌスの槍も、クラス全員に行き渡るほどの本数が確認されていると言います。俗世間に別れを告げた聖職者さんたちも、なかなかネームバリューにはお弱いようで。
「卒塔婆」とは「ストゥーパ」を日本語に置き換えた単語で、「塔」と言う言葉の語源にもなっています。またお米を指す「シャリ」と言う俗語には、「仏舎利」が語源でないかと言う説があります。言われてみれば、どちらも白い色をしていますね。