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ハマポリ BAD COMPANY  作者: 上倉鉄人重丸
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ハマポリ BAD COMPANY 第四話

※この小説は、上倉鉄人重丸氏の小説に私(マンモス東)の挿絵を追加したものです。上倉鉄人重丸氏の代理投稿になります。


[第四話]


挿絵(By みてみん)


「案の定だ」

 山西の部屋に通された莉桜達が用意されていた椅子に座ると、クリップボードが飛んできた。受け取った雨木がすかさず目を通す。

「……なるほど、キメラでしたか」

「ああ、ご丁寧に人間以外の物まで混じってる。さすが中国と言ったところだな」

 クリップボードに挟まれた資料をタスニムと莉桜も受け取り、顔をしかめた。記述されていたのは、先日発見した解体現場にあった足についてだった。発信器を取り除くためとはいえ、時間がない=切断という発想を普通の人間が下せるわけがないと考えた雨木が、鑑識に足の調査を頼んだのだ。その結果がこれだった。

「……ニュースでは知ってましたが、実際にいるとわかると気持ちが悪いデス」

「あれがクローン兵……道理で同じ顔なわけです」

 初めは三つ子とも考えたが、それだと出力を上げた義腕に抵抗できたことの説明がつかない。義腕はただの人間に止められるほど柔な作りではないのだ。だが、クローン兵なら納得がいく。中国には数年前からクローン兵士の噂があった。長年一人子政策を推し進めてきた結果、中国では兵士を使い捨てに出来なくなった。アメリカよりも兵士一人のコストは安かったが、兵士の両親達が戦場に投入されることを強烈にいやがったのだ。その代替案として進められていたのがクローン技術を生かした兵士の製造だった。

「優秀な兵士の遺伝子を元に、動物の優れた機能を複数盛り込んだ強化兵……だからキメラですか」

「そゆこと。しかもそんなのを量産してると。神をも畏れぬ所業ってヤツだ。反乱されたらどうするんだろうね、これ」

「難民に大陸のクローン兵が紛れている噂はあったが、これで証明されたわけだ。宇佐見、井下、そのクローン兵がどいつかわかるか?」

 分厚いファイルを渡される。認知されているクローン兵のデータベースだ。ページをめくり、自分たちが対峙した楊の顔を探す。

「ア……」

「これです」

「雨木、間違いないか?」

 莉桜の指さした写真を見て、山西が雨木に確認を取る。

「……ですね。タイプ16Bです。やっかいなことに全世代にいるモデルですよ」

「それでも絞れただけマシだ。タイプ16Bのクローン兵を確保するように県内の職員に通達する」

 電話を手にした山西が指示を出す。場合によっては殺してもかまわないと付け加えると、部屋の外がにわかに騒がしくなった。

「県外に出ることはないだろうが、非常線を張ることにしよう」

「……それでどうにかなるでしょうか」

「クローン兵の行動が軍隊的な組織的行動ならばどうにもならない。場合によっては軍に応援を要請する必要が出るかもしれない。だが、今回の件は違うのではと私は考えている」

 莉桜の疑問に山西は言葉を続ける。

「今回発見された死体の山のあった部屋と、横浜九龍で見つけた部屋。そこで見つかった解体道具についた指紋と、セーフハウスにあった指紋が一致していることから、あのクローン兵士達が拉致と殺害を行っていたことは確実だろう。だが、その目的は不明だ。軍の指示により国内を混乱させるために動いてるのか、殺人衝動に駆られて犯行を重ねたのか。そればかりは本人から訊かなければわからない」

「殺人衝動? それなら殺した死体をわざわざ隠すとは思えないのですが」

「でも、ないとは言い切れないんだよねぇ、これが」

 山西の言葉に疑問を呈した莉桜に、煙草を取り出した雨木がため息をつく。そして、山西の視線を受けて煙草をしまった。

「中国のクローン兵には世代があってね。単純な命令しか実行できない第一世代。柔軟性を持たせすぎて終始情緒不安定になってる第二世代。それらを克服して普通の人間のように振る舞える第三世代がいるんだ」

「クローンなのに単純な命令って、出来の悪いロボットみたいデス」

「そこがいかにも中国らしいよねぇ。品質管理がなってないのは今も変わらないのさ、あの国は。楊が――偽名だろうけど――どれかわからないけど、戦争時の命令を考えなしにただ実行してるだけなのか、日本を混乱させるために何かしらにバックアップを受けて実行してるのか……十分に警戒しないといけない」

「……」

 組織的に動いている第三世代のクローンだと非常線を張ったら引っ込んでしまうのではないだろうかと莉桜は思ったが、連続猟奇殺人に関わっているとわかった以上、警察が何もしないわけはいかない。

「話は以上だ。先日の暴動の余波もある。タグ付きを持って行け」

「あらら、いいんですか? 警部自らが押収品使えだなんて、上が黙ってないでしょうに」

「ただでさえ人手が足りない状況だ。ルールを守った結果部下を失いましたで、誰が喜ぶんだ?」

「……ですよねー」

 雨木は苦笑気味に相づちを打つ。いつ暴動が起きてもおかしくない状況で警官の死を喜ぶのは、警官に否定的なメディアと違法行為をしている難民くらいだ。

「結果を出すならお前達の汚いケツをいくらでも拭いてやる。行け」

「了解」

「行ってきマス」

「それじゃ、遠慮なくケツを汚してきます。拭いてもらうためにね」

「その場合はリアルでケツを拭いてやる。動画を撮影して奥さんに見てもらおう」

「ちょ」

 二人に続いた雨木が青ざめる。ウィットに富んだ返しが出来ず言葉に詰まったまま、彼は部屋を出た。

 県内の至る所に検問が置かれたのはそれから間もなくのことだった。普段はデスクワークを強制されているTOG12達まで投入してのパトロール強化で、難民同士の諍いの牽制と楊の捜索を同時に行う。表向きは武装した難民の取り締まりだが、連続猟奇殺人の容疑者確保が警察の中での目標だった。当然、警察を謀るだけあってすぐにはでてこない。潜伏は得意だろうと警察は理解していた。していたが、常に気を張りつつパトロールというのは負担が重く、莉桜達の心から余裕が消え、荒んでいく。そんな日々が一週間続いた。



「………………………………………」

 ゆっくりと意識が覚醒する。瞼はまだ開かない。寝たはずなのに体がだるいのは、疲労がとれていないからだろうか。体にのしかかる重さと渇いた口の中が粘ついていて気持ちが悪く、莉桜はうがいしたい衝動に駆られた。

(……何時だろ)

 スマホに手を伸ばそうとし、腕が外れていることに莉桜は気づく。

(あれ、今日は右腕だっけ?)

 両方の腕は重く、寝るときは片方だけ外すのが莉桜の日常だった。バランスを取って一日ごとに左右交互に外して寝るのだが、昨日は右腕を外したらしい。そう思って左手で頭上にあるであろうスマホを撮ろうとするが、腕が動かない。ここでようやく莉桜は瞼を開けた。

「……」

 莉桜の両腕は外されていた。自ら両腕を外すことは出来ても取り付けることが出来ない故、莉桜が両腕を外すことはない。誰が外したのか考えるまでもなかった。

「……タスニム。起きて欲しいんだけど?」

「ン、ン……」

 胸の谷間に顔を埋めている同居人に声をかける。手でどかすことが出来ないので体を揺らすと、タスニムから眠たげな呻きが聞こえてきた。息苦しかったのは彼女が胸にのし掛かっていたからだ。

「……朝チュン、デスネ」

「起きて一番に言うことがそれ?」

 雀なんかいないしと言う莉桜に、言葉の綾デスと返したタスニムが体を起こしてカーテンを開けた。磨りガラスの向こうから朝日が差し込み、タスニムの締まった肢体を照らす。ショーツすら身につけていない体は格闘技を嗜んでいる者らしく贅肉のない体をしていた。同性から見ても魅力的な体を見て、自らの体に目を向ける。バストサイズこそ勝っているが、小柄でスタイルがいいとはいえない。体脂肪も少なめなのは自覚しているが、それ以前に見事なまでに割れている腹筋が目につく。

(うーん……)

 今更異性にモテたいと考えてはいない。だが、それにしたって女というものを捨てすぎではないか――自問していると、顔をのぞき込まれていたことに気づく。

「どうかシマシタ?」

「いや……いいなぁって思ってた」

「?」

「タスニムはちゃんと女の子してる」

「莉桜ちゃんも女の子デス。男の人は、こんなに柔らかくないデスヨ」

 唐突に胸を撫でられ、莉桜の体が反応する。

「このおっぱいの大きさは武器デス。チャンと生かさないともったいないデス」

「そんなタイミングなんてない。それよりもわたしの腕。このままじゃパンツもはけない」

「oh……そうでした」

 腕をせがむと、テーブルに腕に置かれていた莉桜の義腕をタスニムが運んでくる。上体を起こした莉桜にバッテリーを背負わせて、両腕を固定後に通電させる。接合部の筋肉の動きに合わせて指が動くのを確認し、彼女は人心地ついた。莉桜にとって両腕を外すことは、何一つできない状況となる他に、タスニムに身を委ねて性交渉を行うといった意味合いを含んでいる。それ故、両方の腕を外していると刷り込みにより微妙な気分になってしまうのだ。

「今何時?」

「九時デス」

 下着を身につけスマホを探すが見当たらない。仕方なく、ガラスの向こうの明るさからなんとなく時間を計ろうとしていた莉桜が、タスニムの言葉に固まった。

「九時? ホントに?」

「ハイ」

 手渡されたスマホの時刻も九時過ぎを指していた。頭の中が真っ白になる。

「――どうして!? なんでアラーム切れてるの!」

 憤慨し、スマホのタッチパネルにひびが入る。本来なら、六時に起きてるはずだ。

「ワタシが切りました」

「なんで!?」

「起きる必要がなかったからデス。昨日の夜、あのクローン兵士が発見されました」

「……え?」

「銃撃戦の末死んでしまったようデスが、そのクローン兵には、片足がないのと片腕が動かせないのがいたようです」

 タスニムの言葉を聞き、莉桜はすかさず雨木に電話した。寝起き特有の声で教えてくれた事実は、遭遇したタイプ16B数体を戦闘の末に射殺したこと。警官二人も殉職し、一般人も負傷したことだった。

『てなわけで、該当するクローン兵達は確保したよ。死体だけど。ただ、解体現場から見つかった指紋と全員一致してるから、ひとまず非常線は解除された』

 昼までに来てくれればいいからと雨木は電話を切る。通話で熱くなったスマホをベッドに投げ、莉桜は恨みがましい視線をタスニムに向けた。

「タスニム、今の話……」

「ハイ。寝る前に巡査部長から聞いてマシタ」

「何で教えてくれないの……解決してるなら気持ちよく眠れたのに」

「だって、教えちゃったら莉桜ちゃん寝てしまいマス。ストレスがマッハな莉桜ちゃんでなければ、エッチしてくれマセン」

「……」

 しかられた子供のような目で言われてしまい、怒れなくなってしまう。昨日タスニムの勢いに負けて劣情に流されたのは、ため込んだストレスを少しでも軽減したかったからからなので、図星だ。昨日の時点で一段落していたことを耳にしていたら、睡眠優先でタスニムの強引な誘いを断っていたに違いない。

「それじゃあ、ゴハン作りマス」

 下着姿にエプロンを着けたタスニムがパンをトースターにいれ、冷蔵庫にあった野菜を刻み始める。昼までに出勤と言う事で、のんびりとした朝食が出来そうだ。

(にしても……どうしてこうなったんだろ)

 包丁と共にリズミカルに揺れる小柄な臀部を眺め、莉桜は思う。当初はただの同僚との同棲だったはずで、タスニムも同性に性的興奮を覚えるような人間ではなかった。それが、ことあるごとに体を求められることになったのはいつからだろうか。

「莉桜ちゃん、お皿の用意をしていただけマスカ?」

「……わかった」

 別段行為自体に不快感はない。気持ちのいいことは莉桜も嫌いではないし、正常ではないことに背徳的な思いもない。ただ、肌でベトつく汗と体液は別だ。食事前にシャワーを浴びたかったが、朝食がすぐにでも出来そうなので我慢する。ヘタに浴室に向かおうものならついていたタスニムと朝からプレイすることになりかねないからだ。



「進展があった」

 莉桜達が山西の部屋に入ると、山西と雨木が待っていた。コーヒーを手にした山西はいつものように制服を着こなしているが、連日のクローン兵手配が多忙すぎたのか、疲労の色が濃かった。

「警部……休まれた方がいいんじゃないですか? ずいぶんお疲れに見えますが」

「事件が待ってくれないんだから仕方がない。これで一連の猟奇殺人が止まることを期待しよう。それでだ、今回R9班を呼んだのは横浜九龍のチヌークから見つかった薬物の件だ」

「……わかったんですか?」

 山西が手渡してきたクリップボードには、鑑識が調べた粉の成分が記されていた。

「大半は燃えていたが、機体内の燃え残りに顆粒状の固形物が残っていた。結論から言うとクロだ。この薬物は大麻やコカインと同様中毒症状がでる。別物だがな。不可解な点がいくつかある」

「それはなんです?」

「成分が不明なので詳細はまだ出ていないが、鑑識の見解だと製造コストの割に中毒性も依存度も低いらしい。あまりに不純物がないところをみるに、中国製ではない可能性すらある。これなら、大麻をばらまく方が遙かに楽で低コストだ」

「あー……そういえば、今の中国では麻薬の製造が盛んなんでしたっけ」

 分裂後の中国は資金を稼ぐために薬物の製造を解禁していることはもはや世界の常識だ。単に難民を薬物漬けするならば、供給過多で安くなっている不純物の多い薬物をばらまく方が遙かに楽だ。

「依存が低いんじゃ、薬物としては使えないですよね」

「そもそも、仕事も金もない難民を薬漬けにするメリットがない。愚民化による国力低下を狙うならば働いていない難民よりも働いている日本人に向けてばらまかないといけないわけだが、今のところこの薬物はここでしか見つかっていない。コストをかけてまで撒いている以上、何かしらの目的を持っているはずだ。となると、まず調べるべきはどこだと思う?」

 山西の目が莉桜に向けられた。答えは一つしかなかった。

「基要軒ですね?」

「そうだ。奇しくも基要軒は神奈川を拠点にしている。資金もあり、難民を支援している。そして、薬物が見つかったのは基要軒が所有するヘリの中。関連性を調べない方がどうかしている」

「じゃあ基要軒に」

「だが、それはできない」

 腰を浮かせた莉桜達を山西が止めた。

「……もしかしてですけど、これも上からの……?」

「もちろん政治的圧力だ。それ以外ない」

 伺うように訪ねてきた雨木に山西は断言する。

「かなり早い段階から基要軒に事情聴取しようとしていたが、その度に止められてな。曰く『難民支援をしている被害者を疑うとはどう言うことだ』だと。市議から人権団体から色々と横槍が入って棚上げ中だ」

 それは基要軒が怪しいといっているようなものだ。しかし、上から押さえつけられている以上捜査権はない。無理をしたら命令違反で懲戒免職になるだけだ。証拠を挙げて正義が示されるのは映画の中の出来事でしかない。

「結局、一歩進んだだけで何も変わりませんネ」

「そういうことだ。捜査とは三歩進んで二歩下がるが基本。引き続き民族間の暴動に備えてパトロールしてくれ」

 話は終わったとばかりに退出を促される。食い下がっても結果が変わらないことは経験済み故、莉桜は口を開かなかった。長いため息をつき、席を立ち上がる。その背中が呼び止められた。

「宇佐見」

「はい」

「命令違反はするなよ? 私は使える部下を切りたくはない」

「……わかってます」

「巡査部長」

「はい」

「パトロールに行くならついでにゴミを捨ててこい」

「ええ!? 俺ですか!?」

 莉桜との扱いの差に愕然とする雨木に、山西はビニール袋をおしつけた。

「処理場まで行って燃やしてこい」

「……はい」

 部下としては断ることが出来ない。半透明のビニール袋の中にはほぼ破られていない書類があるようにみえた。処分場で燃やすにしても破り捨てないといけないだろう。雨木は情けない声を上げてうなだれ、部屋をあとにした。


「……本当に基要軒調べなくていいんですか?」

「仕方ないよ。調べたくたって、捜査令状がない。クビ覚悟でやってみる?」

 パトロールを始めるなり噛みついてきた莉桜に雨木はうんざりとした声を上げる。雨木としてもやりきれない気持ちは一緒だが、この状況でクビになるわけはいかない。家族がいて生活がかかっているのだ。なにより、しくじれば同僚にまで迷惑がかかってしまう。

「井下も宇佐見を説得してくれ」

「ワタシは、莉桜ちゃんがスルならどこまでもついて行きマス」

「……そうだった。井下はそんなヤツだったよ。でもわかってる? 相手は神奈川でかなりの規模を持った企業だよ? 政治家にもつながりがあって、おいそれと手が出せないんだ」

「食品メーカーなのにデスカ?」

「そうだよ」

 基要軒が存在感を増したのは神奈川が難民特区になってから以降だ。難民の食料を支援する名目で補助金を得てから急激に力をつけ、不祥事を起こしても迂闊に触れられない存在になりつつあった。

「だから、確実に何かをしている証拠を掴んでも、おいそれとは動けないだろうね。少なくとも上の許可は取れないかな。井下巡査、次右ね」

 不満そうな莉桜から逃げるように手にしていたビニール袋を開く。今のうちにゴミを分別してやぶっておけば処分場に行ってもすぐに出られるからだ。

「署内のゴミ箱でもよかったのではないデスカ?」

「まあね。でも、警部が外を指定してたし、署内に捨てたくないんじゃない? ……て、これ、全然破られてないよ。俺が破くのこれ?」

 何の気なしにゴミを漁っていた雨木の手が止まる。そして、手にした物を無言で凝視した。

「何してるんですか、雨木さん?」

「……」

「ゴミだからって勝手に読むのは」

「いや、問題ないよ。むしろ二人にも見て欲しい物だ」

 そういって雨木がゴミ袋から取り出した紙の束を渡してくる。受け取ったものの、莉桜は胡散臭そうに紙の束を見るだけだ。

「移動中に読むと気持ち悪くなるんですけど」

「少しだけでいい。目を通してみてよ。きっと、酔うこと忘れて読み進めるから」

「……警部のプライベートとかだったら怒りますよ」

 意を決して紙束をめくる。そして、最初の一行で目を奪われ、莉桜は内容を読みふけった。それは、基要軒の工場に関する物だった。工場の場所から規模、難民へ運ぶ食料の製造とそのタイミング、警備員の数などが事細かに書かれていた。まるで潜入捜査しろと言わんばかりだ。

「これ……メタルギアしろってことですか」

「そうじゃない?」

「でも、警部は止めました」

「コード・オーストリッチって書いてあるの見た?」

「ええ、まあ」

「そういうことだよ」

「……?」

「つまりは、押すなよ、押すなよって言ったら押せってことデスネ?」

「……ああ。ダチョウ倶楽部ことですか」

 タスニムの助け船を受け莉桜はようやく納得がいく。捜査をするなというのはポーズだったことに少し喜んだ。

「しかし、ダチョウ倶楽部なんて古くないですか?」

「それはほら、万が一見られてもわからないようにするための暗号みたいな物だから。間違っても警部にそのこと言っちゃだめだよ。怪我したくないでしょ」

「……。こんな手の込んだことしなくたって、口頭で指示くれれば動くんですけどね」

「署内の誰にも聞かれたくなかったんじゃないかな。ともかく、俺達には目的が出来た。二〇時までは通常業務で、そこから先はR9班の特別業務だ。……問題ない? あ、井下巡査は後で書類に目を通してみてね」

 莉桜に不満はなかった。日中に潜入捜査ができるわけがないのだ。動くなら夜――それまでに必要な物をそろえなくてはならない。

(今回は一切サポートなしか……)

 山西の後押しがあったとはいえ、秘密裏でなければ許可が出ない状況だ。応援は期待出来ないし、しくじればクビどころではないため、万全を期す必要があった。パトロールの間に何度も資料に目を通して頭に情報を入れていく莉桜に、酔っている暇はなどなかった。 



「どう?」

「……OK。撮れマシタ」

 三メートルほどの塀をよじ登っていたタスニムが飛び降りてくる。そして、手にしていたカメラを待っていた莉桜と雨木に見せ、塀の向こうを納めた数分間を再生した。二〇時でパトロールを終えたR9班はパトカーを署に預け、レンタカーで目的地へと向かった。車を小木大橋下に止め、鶴見川に隣接する基要軒の加工工場に潜入する算段を立てたのである。

「なるほど……夜でもここは稼働してると」

 タスニムの撮影してきた動画を見て、雨木が唸る。水銀灯の照らす広い敷地内には、食品をトラックに積み込む従業員が映っていた。これだけなら夜の工場の日常だ。

「まだヘリ持ってるのか……」

「金のある会社だよね。それと、奥に警備員みたいのがいるの見えるよ」

 雨木の指さした建物の陰には、何もせずただ立っているだけの人影がいた。莉桜はそのシルエットにひどい違和感を覚える。主にその手にしている物が気になって仕方がない。

「雨木さんこれ……サブマシンガン持ってません?」

「やっぱりそう見える? 暗いのに俺にもそう見えるのよね……エアガンなら問題無いけど、そもそもエアガン持って警備することがありえないから、実物とみるべきなんだけどさ……」

 日本国内において実銃の携帯が許されてるのは公安関係のみだ。狩猟の許可を得ている者でさえ、私有地とはいえ外で銃を出していい理由がない。覗いたことで発見した前提でなければ、職質をする理由にもなる。ただ、そいつがいるのは敷地の奥なので偶然見つけた手は使えない。

「ていうか、なんで銃持って警備してるのよ。てか、食品会社に警備って何? 紛争中のアフリカならともかく、ここ日本だよ」

「……怪しい匂いを、感じマス」

「軽カマがいるのもおかしいですね。普通ならまずフォークリフトでしょうし」

 カマは第三次世界大戦時に不足した武装を補うべく中国で開発されたランドウォーカーだ。既成の技術と民生品のパーツで作ることが出来る歪な人型の装甲建機で、両手が人間に用に自在に使える・不整地に強い点が特徴だった。それが、基要軒の敷地内でコンテナを押している。外貨獲得のために輸出されたとはいえ、発展改良型の重カマが国産として存在する日本に粗悪な中国製の軽カマがいるのは基本的にあり得なかった。軽作業にいつ壊れるかわからない代物を使うなら、その作業に特化した車輌を使った方が確実だからだ。

「どうやって持ち込んだのかわからないけど、胡散臭さだけは半端ないね。……それじゃあ、捜査の方は二人に任せていいかい? セキュリティは何とかするから」

「了解シマシタ」

「準備が出来たら連絡します」

 無線が通じるのを確認して、雨木と別れた莉桜が移動しつつ地図を広げる。山西から渡された資料には侵入箇所も記されていた。情報が間違っていなければ、忍び込むのも楽なはずだ。

「薬物とのつながり、見つかるといいデスネ」

「多分、あるとは思う。……と、ここだ」

 段差があって若干登りやすくなっている塀に背を預け両手で足場を作ると、タスニムがその手を足場にして塀の上に飛び乗った。振り返ったタスニムの伸ばしてくる手を、ジャンプして掴む。そして、二人で敷地内を臨んだ。

「見張りが複数イマス」

「多すぎ。邪魔くさいから、倒していこう。……頼める?」

「もちろんデス」

 声を潜め、二人は敷地内に降り立った。暗がりの奥にある監視カメラの位置を確認して、二人は用意しておいた目だし帽をかぶる。まるで犯罪者だが、正式な捜査でもないし署のバックアップも受けていない警官の潜入捜査で警官と名乗ることは愚かでしかない。ばれれば不祥事どころではないのだ。万が一を考えて顔を隠すのは当たり前で、莉桜にいたっては特徴的な両腕が見えないよういつもよりもサイズの大きいジャケットを着て袖口を絞っていた。

「――ッ!?」

 軽カマのディーゼル音を耳にしつつ見張りらしき人物に背後から近づいたタスニムが素早く首を絞める。頸動脈を圧迫され、ロクな抵抗もなく男は動かなくなった。

「……やっぱり実銃か」

 男の手から落ちたサブマシンガンのマガジンを抜き、実弾が入ってることを確認する。後々のことを考えると落とした男の処遇をどうすべきか迷うが、放置しようが縛ろうが、基要軒が薬物に関わっているのならばよほどのことがない限り大事になることはない。目を覚まされて騒がれるならばと縛ることにした莉桜達は、落とした男に黒い布袋をかぶせて手足を縛り、猿ぐつわをかませて物陰に転がした。

「タスニム。見つからないように他の見張りっぽいのも倒して。軽カマに見つからないようにね」

「了解デス」

 小声で返したタスニムが闇に消えていく。軽カマの動きを気にしつつ水銀灯に照らされるコンテナの陰を走り抜けていると、タスニムが何人目かの男を落としていた。

「……相変わらず、落とすのうまいよね……」

「女の子はか弱いから体術くらい身につけないと危ないと、パパが教えてくれマシタ」

(にしては教えすぎな気がするけど)

 頸動脈を綺麗に絞め落とされた男がよだれを垂れ流しながら崩れる。ため息をつくタスニムには恍惚とした色があり、どう控えめに見ても首締めを楽しんでいるようにしか見えなかった。娘を溺愛したタスニムの父親が過保護だったのかもしれないが、優しげな雰囲気からは想像できないほどに好戦的な性格になっているのは、明らかに育て方を間違えたとしか思えない。

「どこにしまいマスカ?」

「そこの陰に押し込もう」

「はい。シマッチャオーネー」

 小声でささやきながら布袋をかぶせて縛り上げた男を物陰に押し込む。敷地内にはいくつかの人間が残っていたが、目標とする建物まで障害がなくなり、建物には容易に近づけそうだった。車輌の陰で片膝をつき、無線をつなぐ。

「セキュリティはどうですか?」

『そろそろ解けるよ。さすがというべきか、この資料は正確だ。どうやって調べたんだか……と、カメラは解除。これで俺達は記録に残らない。好きにやっていーよー』

「了解」

 タスニムに指示を出し、莉桜も走り出す。軽カマは積み込みの作業に夢中で二人に気づかなかった。

『外の連中は全部黙らせた?』

「全部はしてません」

『じゃあ、静かに家捜しだな。軽カマ残ってるんでしょ?』

「あんなの相手にできませんよ」

「ワタシが関節折りマスカ?」

『そいつはちょっと厳しいんじゃないかなぁ。硬いよアレ』

「我が拳に砕けぬ物ナシ、デス」

『頼もしいけど、それはまたの機会にね?』

 工場の扉に辿り着く。扉脇のゴツいカードリーダーがただの食品工場にしては妙に物々しさを感じさせるが、雨木によってセキュリティが解除されているので、ドアノブをひねれば楽に開いた。サプレッサーをつけた銃を手に、明るい工場内へと侵入する。焼売と月餅の匂いが混ざった蒸気が鼻腔をくすぐる。

「……ひどい匂いデス」

「これはきつい」

 一つ一つなら食欲をそそる代物なのに正反対の匂いが混ざり、気持ち悪さを誘発させていた。工場内は複数のベルトコンベアが稼働し、無人で食品を生産していた。食材をカットし、加工して混ぜ合わせて形を整える。食べられる状態になったらパッケージング。工場内は白で統一され、きわめて衛生的に見えた。

「人は見当たりマセン。カメラも死んでますし、今のうちデス」

「外の監視お願いします」

 タスニムと別れ、莉桜も工場内を彷徨く。ベルトコンベア端のパッケージ化された食品には難民用と記されていた。隣のラインにはその文字がない。

(難民用と一般で製造ラインを分けてる?)

 市販されている基要軒の商品に件の薬物は検出されなかったことは山西からの資料に書かれていた。となると、チヌークで見つかった薬物はここで混入された可能性が高かった。

(となると、材料の時点で何かを混ぜてるのか)

 とりあえず、後で調べるために難民に配布する食品のパッケージの一つを鞄に入れる。材料を混ぜ込んでいる箇所を調べようとすると、向こうでタスニムが手を振っていた。

『怪しい物を見つけマシタ。見てもらえマスカ?』

「本当?」

 呼ばれた莉桜がタスニムのいる部屋に入る。食材置き場と言うべきか。八畳ほどの冷暗所に置かれた鉄の棚にはさまざま材料がダンボールに納められ置かれていた。

「これは……調味料か」

「塩、デスネ。となると……コレ?」

 タスニムの手にしたビニール袋に入っている粉状の物には、他の調味料と違って名称がなかった。これでは調味料なのか掃除用品なのかもわからない。

「ずいぶんとあっさりとみつかったんだけど、本当にコレ? こういうって、もっと隠す物じゃないのかな」

「部外者が入らないのであれば、隠すこともないのではないでショウカ?」

「……なるほど」

 それならば堂々と置かれていても問題はない。とはいえ、まだこれが違法なものか調べないとわからないし、全部持って行ったら窃盗になる――警備を倒して潜入しているのにもかかわらず、莉桜はそんなことを考えていた。鞄を漁る。よさげなビニール袋は持っていたが、少量をどう移すべきか迷った。このまま開ければ吸引しかねないからだ。

「おい! 誰だよ冷暗所開けっ放しにしたの!?」

『!?』

 突如として聞こえてきた声に、莉桜達は身構えた。外にいた見張りが工場内に入ってきたのだ。

「中に人が入ってきたんですけど?」

『まじ? 死角にいたのか……俺の方からじゃ見えなかった。あと軽カマの動きが』

 通信を切る。足音が近づいてきたからだ。すかさず、莉桜とタスニムはそれぞれダンボールの陰に隠れた。数秒後に汚いつなぎを着た太っている男が部屋に入ってくる。

「周と陳のヤツか? ったくよぉ……吸うのはいいけど、ちゃんとやっつけとけよ。クゾ工場長に怒られるのオレなんだぞ、クソが」

 悪態をついた男が小言をつぶやきながらダンボールを漁る。お目当ての物が見つからないのか首をかしげながらかがんでいた。

「おかしいなぁ……粉~はどこだ~?」

 歌いながらダンボールを漁る男の動きが次第に雑になっていく。目的の物が見つけられずにイラだっているようだった。

(……これか?)

 男の後ろ姿を尻目に、莉桜は手にしていた袋を見る。うまくやれば中身のことを訊けるだろうか? 目だし帽をかぶっていることを確認し、銃を握りしめる。そこで男が唐突に振り返った。

「やっぱあいつらが持ち出したのか!? くそ――」

 ここで振り返るとは莉桜も予測できず、一瞬固まってしまう。それは男も同様で、目だし帽をかぶって銃を向けた存在が立っていたことに固まる。

「な……なんだ、お前……?」

 警察とはいえず、どう答えるべきか莉桜は戸惑った。その刹那に立ち直った男が肩から下げていた銃を手に取り、背後から現れたタスニムの鋭い踵にこめかみを蹴り飛ばされる。莉桜に向けようとしていた銃口がぶれ、数発の銃弾が天井に銃痕を作った。

「大丈夫デスカッ」

「大丈夫、当たってない」

 自らの口元に当てた人差し指をタスニムに立てて見せ、倒れた男のサブマシンガンを蹴り飛ばして様子を伺う。こめかみを強打された男が意識を失っていることを確認すると、自然とため息が漏れた。

「今の銃声、外に聞こえた……よね」

「おそらく。逃げた方がいいかもデス」

 ベルトコンベヤが稼働してるとはいえ、銃声がかき消えるほどの物ではない。まして今は音の響く夜だ。気づかれないわけがなかった。基要軒が難民に薬物をまいているであろう物証をどうすべきか迷いつつも工場内に戻る。軽カマによってシャッターが強引にこじ開けられたのはその時だった。

「――逃げてッ!!!」

 軽カマの手に握られていたMINIMI軽機関銃が目につき、二人は機械の陰にかけ出した。なんで軽作業用の軽カマに軽機がついているのが悩む間もなくMINIMIが火を噴く。フルオートで撒かれた弾頭がベルトコンベヤや壁に穴を開けていった。

(なんなの!? なんで食品メーカーのロボにあんなものが!?)

 頭を抱えて伏せた莉桜に破砕された機械のパーツが落ちてくる。狙いをつけた射撃ではないとはいえ、逃げるには遮蔽物があまりに少なすぎた。これでは工場を出るまでに体に穴だらけになる。

(どうしよう、どうにかしないと……!)

 タスニムは銃を持っていない。如何に体のキレがよくとも、軽機相手では近づくことも出来ない。となれば、使えるのは敵から奪ったサブマシンガンだけだ。

(あの軽カマは中国製……てことは、運転席のガラスは防弾仕様の可能性がある)

 そう考えると撃てそうなのは軽機そのものだ。何とか無力化出来るか、壊れたベルトコンベアの陰から軽カマをのぞき見る。軽カマは空いているもう一つの手にグレネードランチャーを構えていた。40mm弾頭が低圧の軽い音を響かせて宙を舞い、爆発する。

(なんであんなものまで!)

 MINIMIなら射線に入らなければ何とかなるが、爆発するのであれば、隠れているあたりに撃ち込めばそれで終わりだ。その間も軽カマは軽機とランチャーの発泡を止めず、工場内が火に撒かれていく。動かずともいずれ死ぬ。ならば動くべきと考えたとき、一際大きな爆発音が空気を揺るがした。

「――こっちだ宇佐見、井下ッ!!」

 非常ベルが鳴り、雨木の怒号が耳に届く。見上げると、吹き抜けの二階部分からMP5を構えた雨木がこちらに来るように手を振っていた。

「急げ! そっちは別の軽カマがいる!」

「なんでデスカ!?」

「知らないよッ! はやく! 連中が来る前に逃げるぞッ!」

 二階から降りた雨木が走り出す。二人を狙っていた軽カマは片腕を失って横転していた。グレネードランチャーのベルトリンクを雨木が撃って爆破させた結果だ。運転席も変形しており内部に伝わった衝撃は計り知れない。間違いなく死んでいるだろう。

「どうだった? 何か証拠とか掴めた!?」

「それどころじゃないです! 何で敵がきてること教えてくれなかったんですかッ!?」

「教えようとしたら無線切ったじゃん!」

 工場の裏口から出て敷地を走る。手にしていた薬物の袋は先の銃撃の際に落としてしまい、中身がこぼれていたので回収するだけの余裕がなかったのである。八つ当たり気味に声を荒げる莉桜ではあったが、敵が迫ってきていた状況とはいえ無線の電源を切ったのは莉桜自身なので言い訳のしようがない。

「ケンカしてる場合ではないデス。聞こえマスカ? サイレンの音がシマス」

「とにかく走れ。目撃されずに車までたどり着ければOKだ。俺達がここにいた証拠は残らない」

 遠くから徐々に近づいてくる消防車のサイレンを耳に、三人は目だし帽をとって工場を後にする。工場が爆発炎上するほどの騒ぎにもかかわらず通りに人はいないのは深夜だからだろうか。いかにもその辺を歩いていた一般人を装いつつ急いで車のところまで戻った。

「……なんなんだ、あそこは。軽カマがいるまではまだいい。けど、軽機とグレネードが日本の食品加工工場にあるのは明らかにおかしい。おかしすぎるよ!」

「それ、日本でなくてもおかしいデス」

 荒い息だけが橋の下の暗がりに響く。

(あの装備はおかしい……)

 厳重な警備の数ですらおかしいのに、軽機まで備えている理由は何だろうか? 元より襲撃に怯えていたのか、それとも自分たちが来るのをわかっていて装備や人員を用意したのか。

(もし後者なら、基要軒をかばった連中が警戒をさせたか……あるいは……)

 懐にある工場の資料を渡してくれた自分の上司を思い浮かべる。普段の態度を考えると山西が自分たちを売ったとは考えにくい。それでも、莉桜は山西の全てを知っているわけではない。基要軒への事情聴取を反対した市議や人権団体に比べればマシでも、完全なシロではないのだ。

「……戻ろう。報告書を書かないとな。家に戻るまでに状況を報告してくれ。頼むよ?」

 ようやく呼吸が落ち着いた雨木が車に乗り込む。基要軒が何か良くない物に関わっているのは確実だが、理由は不明瞭だ。様々な物に不審を抱きながらも、莉桜は車に乗るのだった。



[ 五話に続く ]


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