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1話


「オギャア!オギャア!」


「おめでとうございます。元気な女の子です」


「おお!見てみろアイナ!お前の子供だぞ!」


「...ええ...そうで...す」


「おい、どうした?どうしたんだアイナ!?」


「旦那さま下がってください。様子を診ますので」


「ドクター!アイナは!?アイナは大丈夫なのか!?」


「...あ…なた。この子を…」


「アイナ!しっかりしろアイナ!」


「...カーリンを…お願い」


「わかった!この子の名前はカーリンだ!だからしっかりしてくれ!」


「......」


「おい!アイナ!アイナァァ!」



アイナ=デガルド、24歳。

コルネリウス=デガルドの本妻。

娘、カーリン=デガルドの出産時に死亡。


カーリン=デガルド、出生。

アイナ=デガルドとコルネリウス=デガルドの娘。

そして、転生したアーダ=ドナートの新たなる体。



今、ここにアーダ=ドナート、いやカーリン=デガルドの新たなる人生が始まった。




☆☆☆☆☆☆






「ほらカリン、6歳の誕生日ケーキだ。味わって食べろよ」



「ありがとね父さん!」


「それでだ、カリン。本当にいいのか?プレゼントは何もいらないって?」


「うん!だって人形遊びしてるよりも外で遊んでたほうがずっと楽しいから!」


「はははっ!そうか!カリンは元気でいいな!...アイナもそのくらい元気だったならな...」


「...ねえ、父さん!母さんとどんな風に出会ったの?」


「そうだな、アイナはすっごく美人でな、学校にいる奴らはみんなアイナのことを狙ってたんだ。」


「ふーん、じゃあ父さんも?」


「いーや俺は違ったのさ。アイナと出会ったのはダンジョンに潜った時に出会ったのさ。

俺と親父がモンスターと戦ってるときに、突然悲鳴が聞こえて急いで俺はそこに向かったんだ!」


「それで?」


「そこにはなんとコボルトがアイナを襲おうとしてたんだよ。俺はすかさず剣を抜いて飛びかかり、こうやって斬りつけたのさ!」


コルネリウスはフォークを剣に見立てて、斬る仕草をした。


「うりゃあ!とう!コボルトは俺の剣であっという間にやられたのさ。そして俺はアイナに向かってこう言ったのさ『大丈夫か?』ってな!」


「父さん恰好いい!」


「そうだろ!それから俺はアイナの命の恩人で学校でも仲良くなっていったんだ」


「じゃあ父さんは母さんにとってヒーローだったんだね」


「そうだな...それから俺はアイナと結婚してお前を産んだんだ。でもアイナは死んじまってな...」


「父さん...」


「おっと悪いな、変な雰囲気にさせちまって。早くケーキを食べよう」


「その前に...」


「「いただきます!」」


〜〜〜〜〜〜


その日の夜。


(ふう、美味しかったなぁあのケーキ)


カーリン=デガルドは考え事をしていた。


(もう6年か、この体になって。子供の振りってのはいつになっても大変だな。特に今日みたいな日は)


100回目の転生を迎えている彼女にとって年齢は全て合わせて300歳をゆうに超えている。そんな彼女にとって子供の振りは特に疲れるものだ。


(子供の振りはまだいいが、母さんのことを思い出して通夜の雰囲気にはしないで欲しいな。一応僕の誕生日でもあるんだし。まぁ父さんと母さんの馴れ初めを聞けたからいいか)


そう、今日はカーリン=デガルドの誕生日だけではなく、アイナ=デガルドの命日であった。


(今はまだ子供が遊んでいる振りをしながら体力を付ける時だ。あと6年だ、6年後には冒険者学校に入って資格を取ればひとり立ちできる。父さんには悪いが僕は一人でいる方が色々と楽なんだ)


彼女の人生設計はほとんど決まっている。

まずは冒険者学校に行き、資格をとって冒険者となること。そのためには体力を付ける必要があった。


(よし、今日はもう寝よう。明日からトレーニングは少しずつハードにしていこう)



そう決意して彼女は眠りについた。



☆☆☆☆☆☆


ある日の帰り道、カーリンとコルネリウスは本屋に寄り道をしていた時だった。


「父さん」


「どうしたんだカリン?」


「来週には僕の10歳の誕生日があるだろう」


「ああ、そうだ。それが?」


「誕生日プレゼントが欲しいんだ。今のお小遣いじゃ買えないから...」


「なに!?プレゼントだと?」


「...ごめんなさい。やっぱりだめだよね」


「い、いやそうじゃない!今まで何にも欲しがらなかったお前が言い出すなんて...」


「そうかな?」


「そうさ!4歳からずっといらないの一点張りだからな。よーし父さんに話してみろ、なんでも買ってやるぞ!」


「じゃ、じゃあさあの本が欲しいんだ」


「ん?この”大魔導師クロクの伝説”か?」


「いやそっちじゃなくて、左の...」


「...なぁカリンこれ、”呪術の全て”って書いてあるんだが...」


「うん!それが見たいんだ」


「...もしかしてカリン、お前冒険者になるつもりか?」


「...うん」


「そうか...」


「...やっぱりだめ?」


「いいや、止めはしないさ。今までずっとお前を見てきたんだ。お前がどれだけ外の世界に興味を持ってるかくらいわかるさ。」


「父さん...」


「なぁに心配すんな!お前が欲しい物くらい買える余裕はあるからな。ほら杖なんてどうだ?それとも剣でも使ってみるか?」


「父さん」


「ほら?お前はどれがいい?」


「ありがとね」


「ははっ!気にすんな!お前は俺の子供なんだからな!」


「...うん」

(本当に、本当にありがとう父さん)



一週間後、彼女の部屋には一冊の本と鉢巻が置かれていた。


世界観 セー洋(現在のヨーロッパ)を舞台


時代 中世などの技術があまり発達していない時代


アイナ=デガルド(24歳死去)

コルネリウスの本妻であり、主人公カーリンの母。

カーリンを産むと同時に亡くなってしまった。

かなりの美人だった。


コルネリウス=デガルド

アイナの夫であり、主人公カーリンの父。

アイナが亡くなったあと、男手一人でカーリンを育てた。

貿易業を営んでいる。


カーリン=デガルド

本作における主人公。

アイナとコルネリウスの娘。よくカリンと呼ばれる。

転生したアーダでもあるためかなりの知識を持っているが現在の世界がどうなっているかは知らないため、新しくつくられた本を読むことが好き。


デガルド家

セー洋のイタリ国に住む一般家庭。

貴族のような血統はないが商業によって地位を築いた。

いわゆるこがね持ちと呼ばれる部類。


イタリ国

貴族主義であり、水に恵まれた国家。

セー洋の貿易の中心となっていて、様々な民族が出入することが多い。


コボルト

身長が50cm程度の小さなモンスター。

人を襲うモンスターではあるがとても弱い。


冒険者

モンスターと戦ったり、危険な素材を集めたりと冒険をする者達の名称。資格がなければ行うことができず、衛兵に止められてしまう。


冒険者学校

冒険者の死亡件数が増えていくことを抑えるために、つくられた学校。知識と経験を与え実力が伴った者のみ、資格が与えられる。


トレーニング

10kmランニング、腕の力のみで木登り、川の流れに逆らってクロール1kmなどなど


大魔導師クロク

魔導師として偉大な功績あげた人物である。

主に今までに存在しなかった新たなる魔法や呪術を見つけた。


呪術の全て

初心者から上級者まで誰でもこれ一冊で学べるがキャッチフレーズの呪術について書かれた本。ちなみに魔法の全てのキャッチフレーズは猿でもわかる魔法の全てである。


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