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3.ナカヨシシマイ

気付けば香澄がいなかった。


「まったく兄さんは。愛しい妹を置いて行くなんて」

「まったく香澄は。愛しの姉を置いて行くとは」

 香澄がいないことに気付き、不毛な戦いを止めた姉里姉妹はトボトボと学園に向かっていた。

「まあ良いです。放課後兄さんとデートします。今決めました」

「莫迦を言うな。香澄はワタシとデートするのだ。今決めた」

 香澄のいないところで香澄の未来が決定していた。

「今日おまえは抜け駆けしたじゃないか。今日はワタシに譲れ」

「ぐっ。仕方ないです。今日は譲りましょう。でも明日と明後日と明々後日はわたしの番ですよ?」

「おまえ得すぎだろう⁉」

 香澄のいないところで香澄の未来がいろいろ決定していた。


 ヴヴヴヴっ


 第二次姉妹大戦を始めようとする二人の携帯電話が同時に着信を告げるバイブが鳴った。。

「あら、朱莉さんからで…す……ね」

「ああ、一体なんだろう――な⁉」

 絶句する二人の携帯のディスプレイにはこう書いてあった。


    □□□

 件名:キャー★


 本文:香澄に今度二人っきりでご飯食べようって誘われちゃったー★☆★


    二人っきりでっ!!!


    も~香澄ってば私のコト好きすぎ~~困る~♪

    夜景の綺麗なホテルのレストランがいいかなぁ❤


    あ、その日香澄帰らないカモだから★よろしく~❤


    追伸 邪魔したら殺す


    □□□


 ミシィっっっ!!!


 二人の持つ携帯の液晶にヒビが入った。

「あはは。ナニ妄想してるんですかね――あの年増は」

「ふふふ。まったくしょうがないなぁ――あのババアは」

 改行が多いのが余計にムカついた。

 そこに新たにメールが2件届く。


    □□□

 差出人:愛弟(愛兄)香澄

 件名:放課後


 本文:ちょっと瑠々に付き合うことになったから帰り遅くなります。

    もしかしたらご飯食べるかもだから俺のご飯の準備はいいです。

    □□□

 差出人:女狐(←姉妹共通)

 件名:放課後♪


 本文:香澄が~どーしてもってゆーからぁ放課後デートしてくるわん★キャハ♪

    □□□


 バキャァっっ!!!!!


 二人は携帯を握りつぶしていた。

「あら、最近の携帯は壊れやすいですね」

「まったくだな。また買わなければ。どうだ華凜、今日たまたま暇になったので一緒にショップに行かないか?」

「良いですね。私もたまたま暇になりましたので、たまには姉妹仲良く出掛けましょうか」

 にこやかに交わされる言葉。

「うむ、もしかしたら知り合いに会うこともあるかもな」

「ええ、世の中以外に狭いですから」

「「ふふふふふ――」」

 二人の目だけは決して笑っていなかった。

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