7.ハジメマシテ その1
散々に弄ばれた次の日(どう帰ったか覚えてない)、俺は今まで生きてきた中で一番登校したくないと思っていた。
あ~学園に行ったら女装が待ってるよぉ。行きたくないよぅ。
ベッドの上でモゾモゾすること15分、悪魔の死者が部屋の扉を勢い良く開けて入って来た。
「さあ、兄さん登校の時間ですよ!初めての部活動ですから張り切っていきましょうっ」
「まだ準備してないのか香澄!姉さんがしてやろうかっ?」
やべえ、テンションマックスだ。どうする?どうすんの俺!
「お、おなか痛いから今日は学園休もうかなぁ?」
「「小学生か!」」
心配も無しに突っ込まれた。今まで学校休みたいなんて思ったこと無かったからこういう時の言い訳が思い付かなかったんだけど、世間ではこの言い訳がポピュラーなのか。
「ほらほら、まだ寝間着ではないか。姉さんが着替えさせてあげよう」
「姉さんずるいです。じゃあ私はパンツを穿かせます」
「二人とも躊躇いも無く俺のズボンを脱がそうとしないで!」
「昨日は全部着替えさせたぞ?」
「せっかく記憶が飛んでたのに思い出させないで!」
「兄さんも大人になっていってるんですね」
「なにその意味深な発言?!」
もうやだ、この二人。
「ヤダヤダ絶対やだーーー!学校行きたくないーーーーー!!」
最後の抵抗として布団をすっぽり被った。
「ダダこねる香澄も可愛いな。だが学園には一緒に行ってもらう。華凜、荷物は頼む」
「了解しました」
姉さん達が何かしようとしてるみたいだけど、布団を被ってるから何か分からない。荷物って言ってたから諦めて学園に行くのかな?
「いくぞ、布団に掌底っ!!」
「ぱうっ?!」
何だ?!ベッドのマットレスから衝撃がきて身体が浮いた!
「からの香澄に峰打ち!」
「へぶっ」
軽い衝撃が来た途端、俺の意識はブラックアウトした。
◆
「よし、では香澄はワタシが気で操って歩かせるから、香澄のバッグと女装セットを頼むぞ」
「オッケーです。しかし昨日から兄さんを眠らせまくってますが大丈夫でしょうか」
「いざとなったらしっかり健康体に戻してもらうよう朱莉さんに頼もう」
「そうですね、朱莉さんの全身健康神拳で一発ですね」
「それよりさっきの駄々っ子香澄は録画したか?」
「ばっちりです」
◆
気が付いたらクラスの席に付いていて俺は絶望した。