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【歴史日間62位・異世界44位】過労死コンサル、足利義昭に転生す。ホワイトな信長を魔王にプロデュースして今度こそFIREを目指します  作者: 筑紫隼人
【第2章:上場(上洛)とプラットフォーム構築】

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第7話:マーケット・ブレイカー ―― 近江関所、沈黙による解体

1.ロジスティクスの実戦投入 ―― 軍事進軍の「最適化」


 永禄十一年(1568年)、九月。


 岐阜城での「時短術サイレント・マネジメント」研修を経て――

 織田・足利連合軍は、ついに近江へと進軍を開始した。


 その行軍は、これまでの戦国の常識を覆していた。


「……藤孝。進捗はどうだ?」


「はっ。各中継地点の兵糧蔵への納品、すべて予定通りにございます。

 兵は軽装にて、時速四キロの定速行軍を維持。遅延は一切ございませぬ」


 俺――足利義昭(佐藤健一)は、馬上で帳面をめくる。


 今回の上洛は、単なる軍事行動ではない。


 ――物流改革(DX)の実証実験だ。


 通常、大軍が通れば村は荒れる。

 だが今回は違う。


 事前に徹底した。


 「織田軍は略奪しない。金を落とす」


 兵士には規律を叩き込み、食料はすべて軍票で買い上げる。


(……兵の疲労は最小。補給は安定。

 そして通過地域は“味方化”。完璧なプレマーケティングだ)


 だが――


 俺の視線は、もう一つの要素に向いていた。


 馬上で沈黙を貫く男。


 織田信長。


 岐阜での研修以降、彼は――


 一切の無駄口を断っていた。



2.最初の障壁 ―― 守山関所


 やがて軍は、近江の要衝・守山へ到達する。


 そこには、六角氏の関所が立ちはだかっていた。


「――止まれ!」


 関所役人の頭が叫ぶ。


「ここは近江守護六角家公認の関所!

 規定の関銭なくして、一歩も通さぬ!」


 数万の軍勢を前にしてなお、彼らは退かない。


 守っているのは命ではない。


 ――既得権益だ。


 俺は、隣の信長に視線を送る。


「……信長。プレゼンの時間だ」


 信長は無言で前に出た。


 役人の前で、馬を止める。


 そして――


 何も言わない。


 一秒。


 二秒。


 三秒。


 ……だが、終わらない。


 五秒。


 七秒。


 十秒。


「……な、なぜ黙っておられる……!」


 役人の声が揺れる。


 信長の瞳には――


 怒りも、感情もない。


 ただ一つ。


 「排除方法の最適解」だけがあった。


「……ひっ……」


 誰かが膝をつく。


 空気が壊れた。



3.是非もなし ―― 既得権益の解体


 信長が、ようやく口を開く。


「……理由を述べよ」


 静かに。


「……関銭を取る理由だ。三秒以内に」


「は、はいっ! それは代々の先例で――」


「……三秒。終了」


 一刀両断。


「却下する」


 議論は成立しない。


 信長は、御内書を放り投げた。


「……本日をもって、関所は廃止する」


 一拍。


「仕事は消えた」


 さらに一歩。


「不服なら――刀を抜け」


 静寂。


「……私が、終わらせる」


 役人の顔が崩れる。


「……是非もなし……!」


 頭が地に擦りつけられた。


「と、通りくだされ……!」


 関所は――開いた。


 剣は抜かれなかった。


 血も流れなかった。


 だが確かに、


 数百年の制度が、今、死んだ。



4.暴走する最適化


 軍は進む。


 解放された道を、民と商人が行き交う。


 ――計画通り。


 だが、胸が重い。


「……藤孝。見たか?」


「……見事にございます。

 ですが……あまりに……」


「怖い、か」


「……はい」


 俺は黙る。


 信長は、武器を手に入れた。


 それは剣ではない。


 ――沈黙と効率だ。


 夜。


 野営地。


 信長は地図を見ていた。


「……将軍様」


「なんだ」


「次の関所は五分で終わります」


 一拍。


「その次は三分」


 顔を上げる。


「無駄を削れば、世界は整然と動く」


 その目は――


 冷たい。


「……笑えよ、たまには」


「必要がありません」


 即答だった。


「私が黙れば、彼らは働く。

 結果として全体が最適化される」


 そして。


「……これが最もROIの高い統治でしょう?」


(……ダメだ)


 理解した。


 これはもう――


 止まらない。



5.京都の影 ―― 本社への侵入


 近江突破の報は、京都へ届いた。


 「魔王・信長」


 その名は、恐怖とともに広がる。


 言葉一つで関所を消す男。


 沈黙で支配する存在。


 俺は空を見上げる。


「……いよいよだな」


 京都。


 千年の権威。


「信長。次はあそこだ」


「……うむ」


 一言。


「是非もなし」


 風が吹く。


 俺たちは進む。


 古い世界を壊すために。


 ロジックと沈黙で。


 ――すべてを、買収するために。



■今回のまとめ(FIRE進捗)


・ステータス:近江関所の全面解体完了(物流コスト:ゼロ化)

・資産:信長の「沈黙支配」プロトコル確立

・次の課題:京都入京/公家との権威戦



■著者あとがき


 第7話をお読みいただき、ありがとうございます。


 物語はここから「改革フェーズ」に完全突入しました。


 信長が手に入れたものは、力ではありません。

 ――効率という名の支配です。


 そしてそれは、最も静かで、最も残酷な力でもあります。


 「是非もなし」が“諦め”ではなく、

 “議論終了”の合図になったとき――


 この物語は、合理と狂気の境界へと踏み込みます。


 次回。


 第8話「京都マウント合戦」


 公家 vs コンサル。


 千年の権威を、ロジックで解体します。

【日間ランクイン感謝! 筑紫隼人より】


おかげさまで『義昭』が初日からランキング入りを果たしました!

完結作の**『立花宗茂戦記』**も同時にランクインしており、新旧の作品が並ぶ光景に身が引き締まる思いです。未読の方は、ぜひ以下のリンクから覗いてみてください。

https://share.google/NohPtIyvaZalKKF0h


また、歴史ものを扱う上記2作とは別に、魔剣を手に戦う王女の復讐劇も書いており、戦記物としての熱量はそのままに、ファンタジーならではの逆転劇を描いています。


『魔剣に選ばれた王女 〜亡国から始まる反逆の戦記〜』

https://ncode.syosetu.com/novelview/infotop/ncode/n9418lx/

王女セリスと魔剣ノイエジールの戦いも、あわせて応援いただけると嬉しいです!


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