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【歴史日間62位・異世界44位】室町ホールディングス再興録 〜過労死コンサル、足利義昭に転生す。ホワイトすぎる信長を「魔王」にプロデュースして今度こそFIREを目指します〜  作者: 筑紫隼人
【第2章:上場(上洛)とプラットフォーム構築】

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第6話:沈黙のROI ―― 時短術と魔王の目覚め

 岐阜城。

 上洛という「巨大プロジェクト」のキックオフを控え、城内は異様な熱気に包まれていた。


 ――だが、その熱気は、非効率という名の摩擦熱に近い。


 広間では、本日三度目となる「評定(定例会議)」が開かれている。


「……上様、美濃の検地の件ですが、やはり旧臣らの反発が……」

「いや、柴田殿、ここは一気に兵を出し……」

「お待ちあれ。安易な武力行使は……」


 柴田勝家、佐久間信盛、そして若手の木下藤吉郎。

 各々が自らの存在感を示すため、延々と自論を述べている。


 織田信長は、その一つ一つに――


「うむ、なるほど」


 聖人君子のような笑みを浮かべ、頷き続けていた。


 開始から四時間。

 時計があれば、とっくに定時を過ぎている。


 俺、足利義昭(佐藤健一)は、広間の隅でその光景を眺めながら、激しい偏頭痛に襲われていた。


(……地獄だ。これこそが、俺を前世で殺した『アジェンダなき無限会議』の再現じゃないか)


 戦国大名の評定は、合意形成の場であると同時に、家臣たちの「承認欲求」を満たす場でもある。


 ――だが、このスピードでは上洛の納期に間に合わない。

 何より、信長のキャパシティが限界だ。



2.コンサルタントの緊急介入コーチング


 深夜。

 ようやく会議が終わり、ふらつきながら自室へ戻ろうとする信長を、俺は廊下で捕まえた。


「……信長。お前、いつまであの『茶飲み話』を続けるつもりだ?」


「……将軍様。ああ、お見苦しいところを。……ですが、皆の意見を汲み取らねば、織田の結束が……」


「……バカか」


 俺は信長を部屋に押し込み、一振りの扇子を机に叩きつけた。


「お前が『いい人』でいる一時間のせいで、組織全体の生産性がどれだけ死んでいると思っている。

 お前の時給はいくらだ? 勝家や藤吉郎をそこに座らせておくコストを計算したことがあるか?」


 信長は、言葉を失う。


「いいか。今日からお前の“コミュニケーション・プロトコル”をアップデートする」


 一拍置き、告げる。


「名付けて――**『魔王のサイレント・マネジメント』**だ」


「……サイレント……?」


「簡単だ。明日からの会議では、以下の三つを徹底しろ」


 一、一切、笑うな。

 一、相手が話し終えたら、三秒間、無言で睨め。

 一、発言は結論のみ。


「『ほう』『うむ』『やり直せ』――この三語以外、原則禁止だ」


 信長は、絶望的な表情を浮かべた。


「……それでは、皆が私を冷酷な主君だと……」


「――それでいい」


 即答した。


「恐怖は、情報を圧縮する。

 無駄な発言は“損”だと学習させろ」


 そして、静かに言い切る。


「それが――最速で天下を獲る方法だ」



3.実践:岐阜城の「沈黙の三秒間」


 翌朝。


 評定の間に集まった家臣たちは、異様な光景に息を呑んだ。


 上座に座る信長が――

 鉄の仮面のような無表情で、彼らを見下ろしていたからだ。


 最初に口を開いたのは、佐久間信盛。


「……上様。昨日の検地の件ですが、その……調整に時間が……」


 信長は――答えない。


 ただ、見つめる。


 一秒。

 二秒。

 三秒。


 沈黙が、空気を押し潰す。


 信盛の額から、汗が畳に落ちた。


(……なぜだ。なぜお怒りなのだ……?)


「――い、いえ! 明日までに完遂いたします! 申し訳ございませぬ!」


「……うむ。励め」


 それだけ。


 ――だが、十分だった。


 通常四時間かかる議題が、三十分で終わる。


 家臣たちは、死刑宣告を待つ罪人のように背筋を伸ばし、

 簡潔かつ正確に報告するようになった。


 信長の「沈黙」は、叱責よりも恐ろしい。


 ――それは、“死のカウントダウン”だった。



4.効率の魔力 ―― 信長の変質


 評定後の広間。


 信長は、自分の手を見つめていた。


「……将軍様。驚きました」


 その声は震えている。


 ――だが、それは恐怖ではない。


 万能感だった。


「……わずか三十分です。

 三日かけても動かなかった佐久間が、何も言わずに従った」


 ゆっくりと顔を上げる。


「……笑わぬ方が、早く終わるのですね」


 その瞳から――


 “人の良さ”が、消えかけていた。


 代わりに宿るのは、冷徹な光。


「……これが“最適化”。

 孤独とは、かくも整然として心地よいものなのですね」


 背筋に、冷たいものが走る。


(……まずい)


 俺は理解した。


 これは“技術”ではない。


 ――快感だ。



5.義昭の自問 ―― 失われゆく「ホワイト」


 夜。


 俺は、細川藤孝が作成した「次週のアジェンダ」を眺めていた。


「……藤孝。俺は、取り返しのつかないことをしたかもしれない」


「何を仰います。

 織田家の規律は、かつてないほど高まっております」


「……ああ。計画通りだ」


 だが、胸の奥が重い。


 前世の俺は、人を“数字を出す機械”に変えることで成功した。


 そして今――


 最も純粋だった男から、「優しさ」を削り取っている。


(……これは最適化か? それとも――ただのハラスメントか?)


 月明かりが、城下町を照らしている。


 静かすぎる夜だった。


「……いや、止まれない」


 筆を取る。


「上洛を成功させるまでは――」


 次なる策を書く。


 「近江進軍へのロジスティクス計画」


 信長は、もう“効率”を知ってしまった。


 ならば――


 このエンジンで、京都まで駆け抜けるしかない。



■今回のまとめ(FIREへの進捗)


・ステータス:織田家の「会議効率化」完了(意思決定速度:+500%)

・資産:信長の「魔王ペルソナ」内面化(進行度:中)

・次の課題:近江進軍(沈黙の実戦投入)

【日間ランクイン感謝! 筑紫隼人より】


おかげさまで『義昭』が初日からランキング入りを果たしました!

完結作の**『立花宗茂戦記』**も同時にランクインしており、新旧の作品が並ぶ光景に身が引き締まる思いです。未読の方は、ぜひ以下のリンクから覗いてみてください。

https://share.google/NohPtIyvaZalKKF0h


また、歴史ものを扱う上記2作とは別に、魔剣を手に戦う王女の復讐劇も書いており、戦記物としての熱量はそのままに、ファンタジーならではの逆転劇を描いています。


『魔剣に選ばれた王女 〜亡国から始まる反逆の戦記〜』

https://ncode.syosetu.com/novelview/infotop/ncode/n9418lx/

王女セリスと魔剣ノイエジールの戦いも、あわせて応援いただけると嬉しいです!


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