表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【日間43位】過労死コンサル、足利義昭に転生す。ホワイトな信長を魔王にプロデュースして今度こそFIREを目指します【完結済/続編有/一気読み推奨】  作者: 筑紫隼人
【第5章:本能寺エグジット ―― FIREへの脱出編】

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

34/40

第34話:信長の「全世界・自動統治プログラム」の発動

1.「神」によるオートメーション・ガバナンスの極致


天正十年(1582年)五月下旬。


安土城はもはや、単なる物理的な防衛拠点(城郭)ではなかった。

それは日本全土から吸い上げられた膨大な経済データと兵站情報を処理し、最適な命令アウトプットを吐き出す「中央演算処理装置(CPU)」へと昇華していた。


信長は、城内の「総見寺」において、自らを本尊として祀るという前代未聞のシステムアップデートを強行した。

これは、法の執行を「人間(役人)」の手から切り離し、「信仰」という名の自動実行プログラム(スマートコントラクト)に委ねる試みであった。


安土城の最上階。

信長は、眼下に広がる完璧に統制された城下町――いわば「安土スマートシティ」を眺めながら、陶酔したように公方様(義昭)へ語りかけた。


「公方様、ご覧じられよ。


もはや私が一々下々に命令を下す必要はありませぬ。


この『安土法度』という名のプログラムが、民の欲望を制御し、富を循環させ、不純なバグ(反乱分子)を自動的に排除しておる。


私という『神』がそこに存在するだけで、世界は全自動で統治オートメーション・ガバナンスされるのです。


これこそが、私が求めた究極の『平和』にございます」


信長が提唱したのは、人間系の判断を一切排除した「全世界・自動統治プログラム」。


しかし、現代のコンサルタントである佐藤(義昭)の目には、その「神の視点」こそが、システムを崩壊させる致命的な脆弱性(SPOF:単一障害点)に見えていた。



2.「論理的バグ」としての明智光秀 ―― 過学習の果て


この「全自動プログラム」の発動に対し、誰よりも戦慄していたのは、現場の最高システム運用責任者デバッガーである明智光秀であった。


光秀は、信長が提唱する「神による統治」に、論理的な一貫性が欠如していることを察知していた。

あまりに論理に寄りすぎた信長OSは、既存の「義」や「伝統」という旧来の共有ライブラリを勝手にデリートしてしまったからだ。


「上意(公方様)、殿(信長)の仰せられることは、あまりに危うい。


法を『神の慈ベイ』に置き換えてしまえば、現場の武士たちは、もはや何を信じて自らの『行動原理ソースコード』を書けばよいのか、深刻なコンフリクト(衝突)を起こしております」


義昭(佐藤)は、光秀の懸念が正しいことを理解していた。


光秀は「あまりに真面目すぎるシニアエンジニア」なのだ。


彼は、信長という天才的ながら暴走しやすいOSが、後方互換性を無視して全パッチを適用しようとしていることに、強い「拒絶反応エラー」を起こしていた。


「光秀、あんたの言う通りだ。


信長のプログラムは完璧すぎて、人間という不確定なデバイスを動かすための『遊び(バッファ)』がない。


……だが安心しろ。


そのために、俺という設計者が、最後に特別な『緊急停止パッチ』を用意してあるんだ」



3.ログアウト前夜の「最終バックアップ」


佐藤(義昭)は、信長が安土で「全自動統治」の祝杯を挙げている裏で、密かに自身のFIRE後の生活を守るための「最終エグジット・バックアップ」を構築していた。


①アセットのオフショア移転:

幕府が保有する膨大な金銀・美術品(資産)を、安土から「自分が隠居する予定の秘密拠点(備後・鞆の浦のダミー会社)」へ、少しずつ隠匿パケットとして転送完了。


②秘密鍵(暗号化)の配布:

自分が消えた後、信長と光秀が衝突した際、どちらが勝っても「自分の資産と安全」だけは保障されるよう、両者に異なる「条件付きスマートコントラクト」を事前に渡しておく。


③エグジット・スクリプトの予約実行:

天正十年六月二日、本能寺という特定の座標ロケーションで、特定のイベント(光秀の謀反)が発生した瞬間に、足利義昭というアカウントを「死亡デリート」として処理し、歴史の表舞台から消去する隠居プログラムをセットした。


「信長、お前は『神』としてこのシステムに残り続けろ。


光秀、あんたは『正義』という名のデバッグを続けろ。


……俺は、この天下という名の重い『本番環境』から、一足先にログアウトさせてもらうよ」



4.独りごちる義昭 ―― 四十五年のコンパイル


天正十年(1582年)五月二十九日。


信長が、安土から少数の供回りだけを連れて京都・本能寺へと移動を開始した。


これは「全世界・自動統治プログラム」が完璧に稼働していることを証明するための、無防備なデモンストレーションでもあった。


義昭は、安土城の自室で、信長の移動ログ(斥候の報告)を確認し、静かに独りごちた。


「……実行ファイル(信長)が本能寺へ移動したか。


これで、すべてのフラグが立った。


義昭としてこの世界で生きて四十五年。


佐藤としてこの天下のデバッグに明け暮れて十数年……長かったが、ようやく『ゴール(隠居)』が見えたな」


義昭は、デスクの上に置かれた「将軍」としての花押(印章)を、愛おしそうに撫でた。


「佐藤……お疲れ様。


四十五年の人生の締めくくりとして、これ以上のエグジット(退職劇)はあるまい。


あとは炎の中で、ログインIDを消去デリートするだけだ。


……さらば、戦国時代。


俺はこれから、最高の『不労所得生活(FIRE)』を謳歌させてもらうよ」



5.結び:【第5章:本能寺エグジット】へのカウントダウン


天正十年(1582年)五月末。


信長の「全世界・自動統治プログラム」は、その絶頂において、皮肉にも「設計者(佐藤)の離脱」という最大の不確定要素に直面することになる。


佐藤(義昭)のFIREロードマップは、ついに最終工程へ。


第35話:光秀の絶望と義昭の提案 ―― 期間限定「三日天下」プロジェクト(1582年6月1日)。


本能寺の変の前夜。

義昭が、絶望に震える光秀に手渡した「最後の仕事パッチ」とは何か。


歴史の裏側で、三人の男たちのロジックが激突する。


炎に包まれる本能寺で、佐藤が手にするのは「天下」ではなく、誰もが夢見た「自由」という名のエグジットだった。


ーーーーーーーーーーーー

今回のまとめ(FIREへの進捗)


・ステータス:

天正十年(1582年)五月下旬。

信長による「自動統治プログラム」発動。

義昭による最終エグジット・スクリプトの予約完了。


・資産:

隠居先(鞆の浦等)へ転送済みの莫大な金銀・骨董プライベート・ファンド


・FIREへの寄与:


将軍職という重責ジョブの完全委譲。


歴史から「死亡」扱いで消えることによる、社会的制約からの解放(完全な自由時間の獲得)。


・次なる課題:

第35話:光秀の絶望と義昭の提案 ―― 期間限定「三日天下」プロジェクト(1582年6月1日)。


ーーーーーーーーーーーーーー

あとがき


信長が自らを「神」と定義し、安土をその聖域とした瞬間、歴史上の織田信長は頂点に達しました。


しかし、現代のコンサルタント・佐藤の目から見れば、それは「システムが肥大化しすぎて、特定の管理者のカリスマ(管理者権限)に依存しきった末期症状」に他なりません。


今回の修正で、佐藤(義昭)の年齢を四十五歳と確定させました。


四十五年という歳月は、戦国時代においては「隠居」を考えるに十分な時間であり、現代の佐藤にとっても「早期リタイア」を現実のものとする絶妙なラインです。


信長のプログラムは完璧すぎて、人間という不確実な要素を許容できませんでした。


その「過学習」ゆえの歪みを、佐藤は光秀という「デバッガー」を利用して修正しようとします。


次回、いよいよ運命の六月一日。


佐藤は光秀に対し、歴史上最も有名な「裏切り」を、「期間限定の特別プロジェクト」として再定義するよう持ちかけます。


「天下を三日間だけ貸し出す」という、前代未聞のサブスクリプション提案。


佐藤のFIRE前、最後の大勝負にご期待ください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ