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【歴史日間62位・異世界44位】室町ホールディングス再興録 〜過労死コンサル、足利義昭に転生す。ホワイトすぎる信長を「魔王」にプロデュースして今度こそFIREを目指します〜  作者: 筑紫隼人
【第2章:上場(上洛)とプラットフォーム構築】

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第11話:技術の囲い込み ―― 種子島M&Aと“死のライセンス”

1.九州上陸 ―― 火力の源流へ


 永禄十二年(1569年)、春。


 京都の金融制圧、そして武田信玄との為替同盟。


 俺たちの計画は、次の段階へと移行した。


 目的地――種子島。


 日ノ本の戦のルールを変えた“火”の起点。


「……ここが、すべての始まりか」


 俺――足利義昭は、波打ち際に立っていた。


 この島に漂着した異国の技術。


 それが、戦の常識を書き換えた。


 だが――


(中途半端だ)


「……藤孝。現状を言え」


「はっ」


 細川藤孝が一歩前に出る。


「生産拠点は堺、国友、根来などに分散。規格は統一されておらず、部品の互換性は皆無」


 一拍。


「価格は一丁あたり金十枚前後。極めて非効率な家内制手工業です」


 予想通り。


 バラバラだ。


 だからこそ――


「……信長」


「……うむ」


「今日は侵略じゃない」


 一拍。


「“標準化”だ」


 信長の目がわずかに細まる。


「……規格なき武器は、戦場では無価値」


 一言。


「すべて、統一する」


 その声に、迷いはなかった。



2.独占交渉 ―― 種子島時堯への提案


 島主・種子島時堯の居城。


 老将は、静かに俺たちを迎えた。


「……公方様。鉄砲をご所望にございますか」


 誇りの滲む声。


「ならば、最高の一丁を」


「……いらん」


 即答する。


 そして。


 机に、一枚の契約書を置いた。


「……俺が欲しいのは、“すべて”だ」


 時堯の目が揺れる。


「……すべて、とは」


「設計。製法。火薬配合。ネジ一本まで」


 一拍。


「鉄砲に関する全知識を、幕府の独占特許とする」


 沈黙。


「……技は、職人のもの」


 低く返す。


「奪うなど――」


「奪わない」


 遮る。


「“払う”んだ」


 室町札を積み上げる。


「……これから鉄砲は、許可制にする」


 一拍。


「幕府の許可なく製造は禁止」


「……!」


「そしてライセンス料を徴収する」


 さらに。


「その三割を、種子島家に永久配分」


 時堯の呼吸が止まる。


「……座っているだけで、金が入る」


 ゆっくりと告げる。


「汗を流す時代は終わりだ」



3.ロジックの罠 ―― 技術のブラックボックス化


「……しかし、それでは他の鍛冶が反発する」


 当然の疑問。


 俺は頷いた。


「……だから仕組みを変える」


 一枚の設計図を広げる。


「量産型の共通規格を作る」


 一拍。


「だが――核心は公開しない」


 視線を上げる。


「点火機構。高圧鋳造。火薬配合」


 静かに。


「そこは幕府が握る」


 時堯の目が見開かれる。


「……つまり」


「完成品は、幕府なしでは作れない」


 一歩踏み込む。


「鉄砲そのものが、“幕府依存”になる」


 沈黙。


「……大名は、ライセンスを買う」


「弾も、部品も、保守も」


 一拍。


「すべて、幕府経由」


 それはつまり。


 武装する権利の独占。


「……反乱すれば?」


 時堯が問う。


「……供給を止める」


 即答。


「その瞬間、鉄砲は鉄の棒だ」


 完全な支配。


「……あなたは……」


 時堯が呟く。


「……戦を、終わらせたいだけだ」


 俺は静かに返した。



4.加速する魔王 ―― 信長の執行


 契約は成立した。


 その瞬間――信長が動く。


「……将軍様」


「……なんだ」


「違法製造の排除を開始します」


「……任せる」


 それだけで十分だった。


 一週間後。


 堺。


 国友。


 鉄砲鍛冶は制圧された。


 設計図は焼却。


 統一規格への移行。


 従わぬ者は排除。


 俺は港で、量産される鉄砲を眺めていた。


「……信長。どうだ」


 信長は一丁を手に取る。


「……美しい」


 一言。


「個人の技量は不要」


 一拍。


「三日の訓練で、騎馬隊を殺せる」


 静かに続ける。


「……命の平準化」


 その目に感情はない。


「……だが、まだ“ノイズ”がある」


「……ノイズ?」


「……宗教勢力」


 一拍。


「論理が通じない」


 銃口が北へ向く。


「……比叡山、本願寺」


 冷たい声。


「……バグだ」


 そして。


「……削除すべきです」


(……来たな)



5.義昭の限界 ―― 成功の代償


 夕暮れ。


 海が赤い。


 吐き気がする。


(……やりすぎだ)


 資産は揃った。


 金、武力、技術。


 FIREは目前。


 だが。


(……誰が、こいつを止める)


 信長を見る。


 完全な合理。


 完全な執行装置。


(……俺が作った)


 否定できない。


 かつての自分。


 効率を求め、無駄を削り、人を切り捨てた。


 その延長線上。


 今は国を動かしているだけだ。


「……藤孝」


「は」


「……俺は、救われると思うか」


 沈黙。


「……救いは、この世にございませぬ」


 一拍。


「ですが、戦は消えましょう」


 現実だった。


「……代償が大きすぎるな」


 俺は札を一枚、海に投げた。


 沈む。


 すぐに。


「……信長」


「……はい」


「……次だ」


 一拍。


「比叡山を片付ける」


 短く。


「……了解」


「是非もなし」


 風が吹く。


 冷たい。


 止まらない。


 もう――戻れない。



■今回のまとめ(FIRE進捗)


・ステータス:鉄砲技術の独占(ライセンス制)確立

・資産:軍事技術プラットフォームの完全掌握

・成果:全国大名の武装権を間接支配

・リスク:信長の“完全執行装置化”

・次の課題:五畿内サプライチェーンの構築 ―― 経済による「敵対的買収」の準備。



■著者あとがき


 第11話をお読みいただきありがとうございます。


 今回は「技術=支配」というテーマでした。


 武器を持つことそのものを制御する。


 それは、戦国という時代において――

 最も危険で、最も合理的な戦略です。


 そして信長。


 彼はついに、「戦う者」から「執行する者」へと変わりました。


 強い。だが、戻れない。


 義昭は、その変化に気づきながら――止められない。

【日間ランクイン感謝! 筑紫隼人より】


おかげさまで『義昭』が初日からランキング入りを果たしました!

完結作の**『立花宗茂戦記』**も同時にランクインしており、新旧の作品が並ぶ光景に身が引き締まる思いです。未読の方は、ぜひ以下のリンクから覗いてみてください。

https://share.google/NohPtIyvaZalKKF0h


また、歴史ものを扱う上記2作とは別に、魔剣を手に戦う王女の復讐劇も書いており、戦記物としての熱量はそのままに、ファンタジーならではの逆転劇を描いています。


『魔剣に選ばれた王女 〜亡国から始まる反逆の戦記〜』

https://ncode.syosetu.com/novelview/infotop/ncode/n9418lx/

王女セリスと魔剣ノイエジールの戦いも、あわせて応援いただけると嬉しいです!


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