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ブックマーク、評価、誤字報告 ありがとうございます。

 何日か三人で話していると段々、メリッサの仲介が無くてもスタンと話が出来るようになってきた。私の巨人の里の話も興味深く聞いてくれて、いろいろ質問もしてきた。

 特に私たちの住まいが『石の精霊』の協力で作った家だというと驚いたようで是非見せてくれないかと頼まれた。でもあれはお父さんの様に長生きして『石の精霊』と親しいお友達にならないと難しく、私は出来ないというとひどく残念がった。

 私は今のところちょっと土の壁で囲いを作ったり、石を飛ばしたりするぐらいしかできない。


 そうそう、メリッサとスタン以外の工事の人間もここ何日か私たちを遠巻きにしているが、ちょっとずつ距離を詰めてきている。

 食事の時間になれば料理人の人が料理を持ってきてくれるし、こまごまとスタンに用事がある人がおっかなびっくり近づいてくる。


 食事は故郷に来ていた商人さんや吟遊詩人さんたちが一日三食キッチリ食べていたから知っていたが、人間って不便だ。

 私たちストーンジャイアントも食事はするが、人間ほどは食べない。

 だって土の地面や大きな石の上に横たわっていれば大地から栄養は貰えるから。

 もちろん口から食べるものは大地の栄養と違って味が刺激的だったりお父さんが飲むお酒みたいに気持ちが良くなったりするから好きだけど、嗜好品?っていうのかな。

 旬の森リンゴやシルバービーの蜂蜜なんかは私も大好物だ。


 まぁ、とにかくそんなに毎日毎食食事をする習慣はストーンジャイアントにはない。

 だけど人間の料理人?の人がシチューとか作ってくれるので二つ作った鍋の片方を頂くことにする。もちろん初めての味で美味しいと思うのだが具材は全部、ちっちゃいので食感とかはよくわからない。


 近くの森で鹿や猪とかを取って来たら喜んで料理に使ってくれた。

 狩るときは大地に手を着き動物たちの気配を探り、離れた所から獲物の周りに土壁の囲いを立ち上げ逃げるところを塞ぎ、上から掴むことになる。この辺の鹿とかは私の故郷の辺りにいるのに比べて小さいので掴むときも注意しないと握りつぶしてしまう。

 ちなみに普通に歩いて近づくと歩く振動で気付かれて、近づく前に動物たちは皆逃げ出してしまう。


 工事の人の中にはドワーフも何人かいるようである夕暮れに彼らが挨拶に来た。

 二人ほど『土と石の精霊』とお友達のドワーフが居て二人の『精霊』が足元や肩の上で寛いでいて、私の近くに来ると私の周りの『精霊』と仲良く踊り始めた。

 メリッサさんがエールの樽を振舞ってくれたので、彼らと飲み始めた。

 私は樽をそのまま傾けてチビチビと飲んでいたが、ドワーフたちはジョッキに注ぐなり水のように飲み始めた。

 酔っぱらってなんか言っているのが故郷のお父さんを思い出させてちょっとホームシックな気分になる。


【その内、貴方の故郷にも一度ご挨拶に伺いたいわ】


 メリッサが私の耳元で話かけてくる。


【うん、でも山をいくつも越えたところで遠いから‥‥】


 北の山脈の方を眺めながら肩を落とす。


【大丈夫よ。『魔法の絨毯』ならひとっ飛びよ】


【私はとても乗れないわ】


【人の姿になったら乗れるわよ】


 メリッサの方を大きく向いてしまった。たっ、確かに人の大きさなら『魔法の絨毯』にも乗ることが出来る。え、じゃあお父さんとお母さんに会いに行ける。

 でも勝手に家出して5年帰っていない‥‥‥、帰ったら叱られるな。


【‥‥その内、お願い】


【解ったわ。その内ね】




 とりあえず、剣を抜かれたり、弓矢を射かけられたり、逃げ出されたりしてしないのでメリッサとスタン以外の人間とも徐々に仲良くなれたらうれしい。






 **********






 私はスタン・パラディ、いまは巨人語の習得と生活様式の擦り合わせのためメリッサさんとグラニットと共に過ごしている。


 数日、ともに過ごして分かったことはグラニットが思ったほど大食漢ではないという事だった。事前情報で聞いてはいたが、グラニットの食事をその姿から予想できる量を用意しようと思ったら大変なことになっていた。多分100人前とかを用意する必要が出て、調理班や調達班も大幅増員が必要だっただろう。

 しかし、実際はほとんど食べなくても地面に寝っ転がっていれば大丈夫と聞いて安堵したとともに、グラニットにも私たちと同じ食事をして貰いたくて、料理人に頼んで大鍋一つを彼女用に作って貰った。

 グラニットは目の前の大鍋を熱いまま、指で摘まんで勢いよく口に入れた。彼女にしたら精々大きなジョッキ位のサイズのようだ。


【‥‥美味しい】


 具沢山のシチューだったと思うのだが、咀嚼もなくガバッと食べた後、気を使ったのか一言呟いた。

 メリッサさんが俯いて肩を震わせている。

 とりあえず、三度の食事は人間の生活様式に合わせて貰い、彼女にも提供することにする。


 寝るときは本当に地面に寝転がって寝ている。あまり女性の寝姿を見るものではないので離れた所から眺めていたが、一応大きな毛布?のようなものを掛けている。


 そうそう彼女の持ち物だが、丸太を太い蔦で組んだ背負子のようなものに毛布?と大型の熊か何かの皮で作ったリュックを乗せ、刃渡り1mほどの幅太の蛮刀を持っている。彼女はナイフと言っていた。確かに人間サイズにしたら20㎝程度なのでナイフなのか?‥‥‥。

 一度、歯渡りが1mほどの櫛で髪を梳いているのを見かけた。やはり種族は違っても女性の心理というものはあまり変わらない様だ。他にも大きい水筒や大きい岩塩など、リュックの中には細々としたものが入っているようだが余りじろじろ観察するのも悪いので興味はあるがほどほどにしておく。


 さてグラニットが来て数日経って徐々に工事関係者が彼女を見学に来始めた。

 まずはドワーフの一団だ。道路建設や石材を使った工事現場にはドワーフがいることが多い。彼らは頑強で体力があり手先が器用で中には『石の精霊』や『土の精霊』と親しいものもいるのでとても役に立つのだ。

 ドワーフは人間社会では少数派なので大部分の人間には煩くて、酒飲みで偏屈だと思われている様だが実際付き合ってみると煩くて、酒飲みで偏屈だが気を許したものには親切で友情深い一面もある。

 酒盛りに長時間付き合わされるのは正直しんどい時もあるが。


 彼女はドワーフとすぐ仲良くなった。言葉は通じてない様だが同じく『土や石の精霊』を友人とする者同士の同族意識や心の繋がりというものだろうか。

 メリッサさんがエールの酒樽を出して振舞ったのも大きいだろうが。


「このねぇちゃんと飲み比べしても絶対勝てんな!」

「違いない!」

【そんな大酒呑みじゃないです】

「がはははは!」


 なんか言葉通じてるぞ?

 後で聞いたら酔った時のお父さんと似ていて何を言っているかなんとなく分かったらしい。


 さて、一週間もするとグラニットも人間の方も慣れて来たようでお互いの言葉で朝の挨拶をしたり、ありがとうと感謝の気持ちを伝えあったりしている。

 私の巨人語も何とかメリッサさんの通訳が無くても問題なく意思疎通が出来るまでになった。


 明日から今居る子爵領の端から子爵領に向かって街道建設の工事開始となる。

 明日には再びホーキンスも顔を出しに来る予定になっている。

 そしてメリッサさんは基本的に口を出さず、私からの指示でグラニットに動いてもらうことになる。

 近くの村には既にその旨の連絡が行っており、きっと村人総出で見学に来るだろう。

 失敗は出来ない。


 少し離れた所にあるメリッサさんのテントとその横に横たわるグラニットの姿が大の月の明かりで伺える。

 心配はあるが上手く行く気がする。


挿絵(By みてみん)



次回は明日、18:00頃に更新いたします。

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