本当の私を見てください。
本を読む。
「〇〇は大人しいね。」
違う。
不登校気味の子と仲良くする。
「〇〇は優しいね。」
違う…。
兄弟の面倒を見る。
「〇〇は面倒見がいいね。」
違う…!
本で読んだことを教える。
「〇〇は賢いね。」
違う、違う…!
洗濯物を干す。
「〇〇は頼りになるね。」
違う、違う、違う…!
私はこうじゃない!
みんなが求める私と、本当の私は違う!
本を読むから大人しい?
違う。
本を好きで読んでいても、大人しいわけじゃない。
迷惑をかけないように、大人しく振る舞ってるだけ。
不登校気味の子と仲良くするから優しい?
違う。
皆が、私をその子のお世話係に望んでいるのでしょう?
私が少しでもその子と仲良くしたから。
私は、皆に逆らえない。
だから、面倒くさい役割を、仕方なくやっているだけ。
兄弟の面倒を見るから面倒見がいい?
違う。
面倒を見たくてみているわけじゃない。
兄弟の一番上である私が面倒を見なきゃいけないだけ。
本で読んだことを教えるから賢い?
違う。
テストの点数なんて、人並みだ。
勉強なんて全然しない。
本をよく読むから、知っていただけ。
洗濯物を干したから頼れる?
違う。
頼めばやってくれる、と期待しているのでしょう?
私は、その期待を裏切れない。
だから、断りたいのを我慢してやっているだけ。
私を大人しい子にしないで。
私を優しい子にしないで。
私を面倒見の良い子にしないで。
私を賢い子にしないで。
私を頼れる子にしないで。
私だって我儘を言いたいのに。
私だってお世話係なんかしたくないのに。
私だって兄弟の面倒なんか見たくないのに。
私だって他の子と変わらない点数なのに。
私だって遊びたいのに。
貴方達の、"理想の私"にしないで。
……誰か、誰でもいいから…、"本当の私"を見てください……。