依頼達成と出会い
ステータスを振り終わり、疲れもだいぶ取れてきた頃に、俺は冒険者ギルドへと向かった。その頃にはもう日は落ち始めていた。
冒険者ギルドに立ち寄る途中で迷子らしき女の子を見かけて、助けようと思ったけど、気がついた時にはもうそこにはいなかった。
幻かな? と思った俺はそのまま冒険者ギルドへと向かう。
最初に受付をしてくれた受付嬢のところに行き、証明となる依頼の紙とスライムジェルを提出する。
「依頼達成おめでとうございます。こちら報酬になりますが、こちらのスライムジェルは買取でよろしかったですか? 」
「はい、大丈夫です」
「かしこまりました。それでは合計で銅貨10枚になります」
そうして受付嬢から手渡しで銅貨が渡される。その瞬間嬉しさが込み上げてくる。別に受付嬢から手渡しもらったからではない。自分で冒険して稼いだ初めてのお金だからだ。
そんな感じで喜んでいると、受付嬢から話しかけられた。
「そんなに、銅貨を見つめてよっぽど嬉いんですね。なんか、こっちまで嬉しくなってきますよ」
「顔に出ちゃってましたか? 」
「はい、バレバレですね」
今度は恥ずかしさが込み上げできた。これもきっと受付嬢さんにはバレてるんだろうな。
「新しい勇者さんとは私仲良くできそうでよかったです」
「え? 仲良くできない人もいるんですか? 」
「ココだけの話なんだけどね。たまにいるのよ。自分が勇者だからって威張ってくるやつが、でも今回の勇者様は当たりのようだから良かったわ」
勇者にも当たり外れってあるんだ。なんか怖い。
「それはさておくとして、本当に依頼お疲れ様でした。今晩はゆっくり休んでくださいね」
「そこまで気を使っていただいて、ありがとうございます」
「いえいえ、これも受付嬢の仕事ですので」
受付嬢との会話を終えた俺はギルドを後にする。
後にしてからは俺が泊まっている宿屋へと向かう。
その宿屋は銅貨5枚で朝食も夕食もついてくるという破格な値段設定をしている宿だ。
まぁ、その分見た目とか部屋の中身とかは結構あれだけど、お金がない俺からするとありがたい。
その宿屋で夕食を食べた俺は、疲れからかそのまま眠りについてしまった。
◇
いやぁ、よく寝た。昨日は本当に疲れてたみたいだな。久しぶりにこんなに気持ちよく寝れた気がするよ。
そんな事を思いながら目の前に出された朝食を平らげる。
昨日は味のことについて何も言及してなかったけど、この宿屋のご飯は普通に美味しい。銅貨5枚で泊まれる場所とは思えないほどに美味しい。
まぁ、そんなことはさておき、今日も今日とて依頼を受けにいくとしましょうか。お金稼ぎとレベル上げのためにね。
今日も、昨日と同じ格好をした迷子らしき女の子を見かけた。今度こそ助けようと思い、声をかけてみようとすると、今回は消えることなく普通に話すことに成功した。
「君は迷子なの? 」
「見つけた…」
「見つけたってなにを? 」
「お父さん」
「へぇ~お父さん見つかったんだ。良かったね。それでそのお父さんはどこにいるのかな? 」
俺が、女の子にそう聞くと、女の子は俺のほうを指さした。
完全に指しているのは俺の方だったので、確認することにした。
「どうやら俺を指しているみたいだけど、俺は子供を作った覚えはないし、君のお父さんじゃないよ」
「お父さんはお父さん」
「いや、だからね俺は君のお父さんじゃないの。わかった? 」
「分かった…お父さん」
はたから見たら俺の姿はどう見えるだろうか? 女の子を捨ててるように見えるのだろうか? それはちょっとつらいので、その場所を女の子を連れて後にすることにした。
人の少ない場所に来た俺と女の子は再び会派を始める。
「お父さんっていうのは本当に俺であってるの? 顔が似てる別人だったりしない? 」
「しない…お父さんを間違えるわけない」
そう頑なに俺がお父さんであると引き下がらない女の子。困ったものだ。これから依頼を受けようと思っていたのにとんだハプニングに巻き込まれてしまった。
「仮だけど俺がお父さんなのは分かった。お母さんはどこにいるのかな? 」
「いない…」
いない…いないのかぁ。これはとんでもないことに巻き込まれてしまった気がする。
「そういえば聞いてなかったけど君の名前は? 俺はヨミ」
「リース…。お父さんはヨミ。覚えた」
覚えられてしまいました。うーん…これはどうするべきなのだろうか? この子は俺のことをお父さんだと思っているみたいだし、そうなるとお父さんと離れるのは嫌だよね。
じゃあ、もうこの俺が引き取るしかないのかな。まだ俺15歳なのにお父さんになっちゃったよ。ホントこれからどうしよう。
「とりあえずこれから俺は冒険者ギルドに行くんだけどリースはどうする? 」
「一緒に行く…」
俺はリースと手を繋いで、冒険者ギルドへと向かった。
ギルドに入るとき、リースを連れているからかとんでもない目で見られた。めっちゃ怖かったです。はい…。
そうして、いつもの受付嬢さんのところに行く。
「その子どうされたんですか? 」
「そのことについてちょっと話したいんですけどいいですかね」
「そうですね。ちょっと待ってくださいね」
そう言うと受付嬢さんは裏へと下がって行った。
数分して受付嬢が戻ってきた。
「談話室の使用許可をもらってきましたので、こちらに来てください」
俺は言われるがままに、その談話室という場所に行った。
「それでその子はどうしたんですか? 」
「道で迷子になっているのを拾ったんですけど、なんか俺のことをお父さんと呼んでて、困ってるんですよ」
「一応、迷子の子の依頼の確認をしてきたのですかその子の依頼は一切ありませんでしたね」
「そうですか…。仕方ありませんね。俺に懐いているようですし、俺が面倒を見ることにします」
「そうですか。また何かあったら私のところに来てください。その子のことでも構いませんので。いない場合はシユを呼んでくださいと言えば伝わると思いますので」
「はい、わかりました」
「それでなんですけど今日は依頼受けていかれますか? 」
「受けますよ」
「わかりました。本日も頑張っくださいね」
そんな感じで俺とシユさんの会話は終わった。




