表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

狂戦士(バーサーカー)

少しグロテスクな表現があります。

苦手な方は注意してください。

「ハハハハハッ!」

「何が面白い?」


激しく降る雨の中、二人の男が会話をしている。

一人はボロボロの服に無造作な長い髪をしていて、地面に倒れている。

もう一人は警官のようで、それを見つめている。

手には拳銃を握りしめて。


倒れている男は、腹から血を流していた。


「お前は死ぬんだぞ?怖くはないのか?」


「怖い?そんなわけないだろ。今まで数え切れないほど人を殺してきたが、自分が殺されるのは初めてだ!ワクワクするだろ、初めてってやつは?」


「狂ってやがる」


警察らしき男は、化け物を見るかのように男を睨んだ。


「ああ、意識が遠のいてきた。これが死か。不思議な感覚だ」


次第に、男は目を閉じていった。

そして、二度と目を開けることはなかった・・・、


この世界では。




「初めまして、武田剛。私は女神アパテイア。あなたを異世界に転生させます」

「?」


男が目を覚ますと、目の前に女性がいた。

綺麗な顔立ちをしている。

でも、感情は感じられない。


「異世界だぁ?俺は死んでないのか?」

「あなたは死にました。なので別の世界に生まれ変わらせるのです」

「何?生まれ変わる?それは、記憶を失うのか?」

「いいえ、失いません」


男は笑みを浮かべた。


「それはいいな。何か理由があるんだろうが、俺には関係ない。あんなには感謝するぜ」

「それでは、望みを聞きましょう。あなたの求める力を一つ授けます」

「力?そんなのは要らねぇ。人を殺せれば、それでいい」

「今のあなたでは、異世界の住人には敵いません」


男は女神の言葉に反応した。


「敵わない?なぜだ?」

「異世界には地球に存在しない様々な『力』があります。それはあなたの想像以上のものです」


男は考えた。

何を望むべきか。

異世界でも人を殺すにはどんな力がいいのか。


「それじゃあ、女神さん。言わせてもらうぜ。俺の望む力は―」


「最強の肉体だ!」




「了解しました。あなたに最強の肉体の授けます。それでは、良い人生を」


女神がそう言うと、空間が歪み始めた。

そして、男の意識も朦朧とし出した。


「次に目を覚ましたとき、あなたの新たな人生が始まります」


この言葉を最後に、男は気を失い、女神と空間は消えていった。




・・・。

そうか、全部思い出したぞ。


俺がこの世界に転生して15年が経った。

今まで前世の記憶が曖昧だったが、ついに全部を思い出した。


今の俺の名はバン。

孤児院で育ち、一人立ちをしてからは冒険者をしている。

女神から授かった力のおかげで、稼業は上手くいっていた。

でも、この力のことは誰にも話していない。

記憶がはっきりするまでは目立たないようにしていたからだ。

そして、それは正解だった。


記憶が目覚めた今、やることは一つだ。


人を殺す。


しかも、大量に、だ。




この肉体は素晴らしい。

最強という名に相応しい力を有している。


今まで色々な化け物と戦ってきた。

この世界には魔獣と呼ばれる怪物がいる。

地球じゃあ見ることのない生物だ。

そして、人間も色々な力を使う。

魔法とか呪術とか、色々だ。

あれは前世の俺だったら瞬殺だったな。


でも、この肉体には敵わない。


世界最強と恐れられる魔獣がいる。

通称、覇王だ。

そいつは世界に数体しか存在しないドラゴンの一体で、ドラゴンの中でも圧倒的な力を持っている。

俺はそいつに勝負を挑んだ。


今まで誰も覇王に傷をつけた者はいない。

奴は人間と生物としての格が違うのだ。

例えるなら、イワシとサメだ。

そこには絶対的な上下関係がある。


でも、俺は圧勝してしまった。

いや、勝負にもならなかった。

覇王の攻撃は大地に亀裂を入れ、その鱗はどんな武器も通さない。

だが、俺の拳は奴の腹を貫通し、生まれながらの筋肉は奴の鋭い爪をも防いだ。

俺こそが食物連鎖の頂点だったわけだ。

俺は、この世界の最強ですら勝てない存在なのだ。



というわけで、記憶を完全に取り戻した俺は、自らの欲を満たすことにした。

乾ききった喉を人間の血で潤すのだ。





「や、やめ・・・」


ブシュッ


目の前にいた男の首から血飛沫が飛び散る。

俺の顔はすでに真っ赤に染められている。


俺は手始めに町から離れた所にある村を襲った。

特に理由があったわけではない。

メインディッシュ(町)は最後に残しておきたいタイプなんだ。

料理と同じように。


村を襲う時、俺は正面の入り口から堂々と入った。

まぁ、警備をしていた村人に止められたが。

え?その村人をどうしたかって?

それはもちろん、丁寧に弔ってあげたさ。

誰も気づかないくらい静かにね。


それで俺は村に入った。

だが、すぐに村の奴らは俺に武器を向けてきた。

俺の身体は返り血で染まっていたからな。

これでは静かに門番を殺した意味がないと思われるかもしれない。

だが、俺の考えを聞いてほしい。

意味が必要なのか?食事をするのに。

どんな料理をしようが、それはその日の気分次第だろ?

それと同じだよ。

俺は門番を静かに殺したい気分だった。

それだけだ。

俺の殺しに計画はない。

ただただ自由気ままに殺るだけだ。


そこからは殺戮パーティの開幕だった。

最初のうちは臆せずに俺に向かってくる連中だったが、数人の首を一発で跳ね飛ばすと、怖気づいて攻撃をしなくなった。

中には逃げ出す者もいた。

この根性なしが。

仕方ないので、俺のほうから特別に声をかけてあげた。


「この村の女と子供を差し出したら、殺さないであげよう」


人間というのは単純な生き物だ。

この一言で目を真赤にして自ら死地に突っ込むのだから。

俺は高笑いをしながら、向かってくる男どもを肉塊に変えた。

それが終わると、家に隠れてる連中を外に引っ張り出して、声が枯れるまで泣き叫ばせてから殺した。

それは実に有意義な時間であった。

特に楽しかったのは、髪の長い女だった。

髪を掴んで振り回していたら、いつの間にか足が破裂していた。

それでも気にせず振り回したら、髪が全部抜けて吹っ飛んでいった。

まぁ、すでに死んでいたんだが。

今まであんな量の髪を引っこ抜いたことがなかったから、とても気持ち良い感覚に胸が高鳴った。

またやろうかな。


そんなこともありつつ、日が暮れる頃には村人全員が死んでいた。


俺は再び町に戻ることにした。

もし目撃者がいれば俺は捕まることになるが、そんなことはどうでもいい。

なぜなら――


人間はただの餌だから。


色々な作品を連載したい欲がありつつ、そんな余裕がないので、短編をどんどん書いています。

本当はこの作品も最後まで書いてみたいです。

最後まで読んでくださりありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ