1話 えのき?
初投稿です。記法などのアドバイスよろしくお願いします。
——エピローグ——
人間だった頃の最後の記憶は、リモコンのスイッチを切り、布団に飛び込んだところだ。熱帯夜の蒸し暑さ。あの時エアコン代をケチっていなければ、こんなアホみたいな身体にならずにすんだのに。
頼りない胴体(?)をくねくねさせながら、そんなことを考えていた。
——???の部屋——
気がつくと俺は空中に浮遊していた。いや、「いた」と感じる感覚すら曖昧だ。自分という存在が溶けて霧のように広がっている。目の前には巨大な存在があった。
???
『ふむ……貴方、なかなか残念な死に方をしましたねぇ』
それは人の形をしていなかった。虹色に輝く不定形の塊が空間を漂いながら語りかけてくる。俺は喋れない。体の感覚がなく、ただ浮遊感だけがある。
???
『とはいえねえ……こっちの世界もまあ限界だったし、こんな形の転生も仕方ないですよねぇ。でもまぁ、あのままあっちで死んでたら輪廻転生もできませんでしたし?win-winってとこありますよねぇ』
何かよく分からないことを言っている。訳わかんないのでちゃんと説明してくれ
???
『では簡単に説明しましょうか~。メモしておいて下さいよ?』
伝わってるのかこれ。なんか嫌だな。で、メモはどこにあるんだよ、おい
それから、神と名乗るそれはこんなことを語った
・俺は既に死んでおり、死因はエアコン代をケチったことによる夜間の熱中症であること
・神は地球ともう一つの世界の管理人もとい責任者であること
・その世界は巨大な亀「ワードル」の背中に乗った四頭の象「サレファト」の上に広がる平面の大地であること
・その世界は定期的に2つの天変地異に見舞われる。ひとつは300年に一度の大地の揺れ、もうひとつは100年に一度の大雨
自分の貧乏根性に情けなく思いつつ、(これよくある異世界転生のやつか〜…)なんて考えていると
神
『それで、なんとその天変地異が1年後に重なるんですよ~! 最悪のタイミング! 不安定なワードルの上でサレファトが暴れる! 世界ごと崩れ落ちてもおかしくない!』
『ということで、貴方にはワードル&サレファトの大災害を阻止してもらいます!』
いや待って規模がでかいよ。せいぜい魔王倒してくらいのもんじゃないの。最近はスローライフ系も増えてるじゃん、あれが良いよ俺は。
神
『事が済んだらあとは自由に過ごしてもらっていいですよ!元の世界には返せないですけどね!』
まあ蘇っても一生死因をネタにされそうで嫌だしそれは良いけどさ、でも流石に
『あらぁ! 説明長くなっちゃったみたいで!時間切れです! 貴方の新しい姿……まぁ見てのお楽しみ! それじゃバイバーイ♪』
待ってまだ話は終わってな…
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視界が白く染まる。意識が肉体という器に押し込まれていく感覚。そして目が覚めた。
「……ん?」
違和感。全身が異常に細長い。柔らかい土の感触と湿った空気。頭上からは木漏れ日が降り注いでいる。首を動かそうとしたが──首がない。
視線を下ろす。目に映ったのは、薄茶色の細くてひょろひょろとした茎。
「……は?」
慌てて周囲を見渡す。そして見てしまった。すぐ近くの水たまりに映った俺を。
———人間大の、えのき茸を