黒い靴
デパートに来ていた。紳士売り場のフロアに上がった。靴売り場に向かった。並んでいる靴を一足ずつ手に取って上下左右逆さにして見た。紐がついているもの、ローファー、紐のないもの、様々なものを見た。欲しいものは黒い靴でちょうどいいものをどうにか見つけたので何も違和感を覚えなかった。ふとスタッフがいないことに気が付いた。が、そんなことよりも、そのほかの売り場にもっと気に入るものがなかろうかと思い、フロアを歩いてみることにした。
ある売り場に鞄がかけてあった。これも黒い鞄だ。手に取ってみているうちに飾っている棚の上に立ち上がってしまった。そこには店員はおらず怒られることもなかった。が、自分のやっていることを省みてさっさと降りることにした。
気を取り直してさっきの黒い靴のコーナーに行くと、棚どころか黒い靴は一足もなかった。