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政治経済エッセイ

「納税者4割」は本当なのか? 「年収798万円」は「高年収」なのか?

作者: 中将

筆者:

 本日は当エッセイをご覧いただきありがとうございます。


 今回は「納税者」が本当に国民の4割しかいないのか?

 27年9月から年収798万円以上の高所得者の厚生年金保険料が値上がりするということから、この年収の方々は本当に「高年収なのか?」

 について個人的な意見を述べていこうと思います。



質問者:

 自民党の小野寺政調会長が所得税103万円の壁を178万円まで引き上げることについて「国民民主党は国民の方を向いていると言うが、7兆円減税して喜ぶのは納税している国民(4割)だけ。自民党は非課税の国民(6割)を見ている」と発言したことが問題になっていましたよね……。


 まずは、「6割が納税していない」と言うのは本当なんですか?



筆者:

 2024年に公表された階級別所得人口割合のデータを見てみますと、

 所得税納税者の総人口比累積割合が40.12%、つまり約40%であることから小野寺氏の発言は「事実」ではあります。


 しかし、ミスリードも大きいように思います。

 なぜなら、1400万人いる18歳以下の子供がそもそも税金を払えるわけも無く、

 彼らを分母に入れること自体がナンセンス(その上でその親はほとんどが納税している可能性が高い)だと思うんです。


 そうなると50%を切るぐらいの人数になります。



質問者:

 確かに納税者の話で生まれたばかりの子供を含めるのはおかしいですよね……。



筆者:

 更に国民年金保険料(給料から差し引かれる8%ほど)も“実質的な税金”であり、この部分を完全に免除されている人は非常に少ないんです。


 何せ、法律の条文に支払わなければ預金の差し押さえなどと言った強制執行もありますから、「税」と言う名前がついていないだけで、税金と全く性質は一緒です。

 むしろ、年収に関わらず一律で徴収するだけ税金より質が悪いです。


 ちなみに健康保険料が免除されている方はどれぐらいいるのかと言いますと、


・学生納付特例制度    220万人(学生の人数2学年分から推定)


・失業等による特例免除  179万人(完全失業者数)


・生活保護の「生活扶助」を受けている方 200万人(生活保護のここ最近の人数)


・障害年金を受けている方 224万人


・出産を予定している方 (入れ替わりあるものの70万人、出生数から推測)


 と約1000万人弱(それも全額免除とは限らない)+子供の1400万人だけだと思います。


 子供を除けば1億分の1000万人と1割弱ぐらいしか「実質税金が完全免除の大人」はいないと思います。


 ※年金受給者の方は年金分(約7%ほど)は引かれなくなりますが、健康保険料、介護保険料(合わせて約8%ほど)は年金支給の際に自動的に引かれています。



質問者:

 そうなると、「本当の意味で国に納めていない人」って子供を含めても2割ぐらいしかいないという事ですか……。


 でもそもそも消費税を納めていることからほとんど「全員納税者」という事にはならないんですか?



筆者:

 「消費税」と言うネーミングのせいで皆さん誤解されていますが、

 条文を読むと「消費税」は消費者が負担しているのではなく法人が負担する税金です。名前に合わず「第二法人税」としての性質としてあるのです。


 インボイス制度の時「非課税業者が預り金を猫糞している」と言う指摘は全く持ってお門違いのお話でしたね。


 そのために、消費税が減税されても水道光熱費は下がる可能性は高いですが全ての物価が下がるとは限りません。


 ただし、誰もが水道光熱費の価格の影響を受けることから「全員納税者」と言う見方も間違いでは無いと思います。

 

 ※消費税減税で一番影響が大きいのは給与は消費税控除では無い(消費税が減らない)ので、給与上昇の可能性が上がります。



◇給付は「住民税非課税世帯」だけでは不十分



質問者:

 色々と法律は複雑ですね……。

 次に給付について御願します。



筆者:

 まず、「彼らの言う6割に対して救済しようとしているのか?」について見ていきましょう。


 自民党・公明党はどうにも「住民税非課税世帯への支給」が大好きなようでそれに対する給付ばかりが決定されています。


 定額減税の際にも一般的な世帯(4万円)より多く7万円が支給がなされ、今年の補正予算でも3万円支給が決定されています。



質問者:

 では、この6割ないし5割に支給されていればまだ発言と比べては問題は無いという事なんですね?



筆者:

 しかし、令和5年国民生活基礎調査にある全世帯4674万世帯のうち、住民税非課税世帯は1279万世帯なので世帯数で見た場合では「6割を救済」どころか「3割救済」すらしていないことが分かります。


 

質問者:

 うわぁ……「6割の方を見ている」という事すら嘘なんですね……。


 

筆者:

 しかも、これは令和5年国民生活基礎調査によると1279万世帯のうち955万世帯が65歳以上の世帯になります。

 現役世帯で見ると2170世帯のうち334世帯と15%ほどしかこの給付政策では救済されていないわけです。


 これで今の物価高対策や貧困問題が解決するはずが無いです。

いわゆるワーキングプアという、働いても手取りが増えない層が一番苦しいと思いますからね。



質問者:

 いつも思うんですけど、どうして「住民税非課税世帯」しか救済してくれないんでしょうか……。



筆者:

 それは単純に「所得の補足が難しい」からです。

 住民税の金額は市町村が管理しているために辛うじて「住民税非課税かどうか」ぐらいは分かるので線引きしやすいのです。


 しかし、「住民税非課税世帯」の中でも「配当金収入」が住民税課税かどうかに含まれていないので「裕福な住民税非課税世帯」と言うのも中には存在します。

 

 でもそんなことは考慮せずに「取り敢えずやり易いから給付している」だけに過ぎないのです。


 「住民税非課税世帯」は人口比で見ても高齢者の割合も多いので、

彼らがこれまで通り自公に投票してくれることも狙っているのでしょうね。



質問者:

 国民のためと言うのは建前で、結局はやりやすさと選挙のためって本当に色々と酷いですね……。


 ヘタに「嘘では無い」というところがなおさら議論を歪めているような……。


 小野寺さんは何だからこんな発言をしているんでしょうか?

 住民税非課税世帯重視の政策なら全然6割じゃないじゃないですか?



筆者:

 結局のところ詭弁なんだと思います。


 所得税の壁を何としてでも「123万で収めたい」と言う意図が見えています。


 6割を救いたいんだ! と言えば国民側が支持してくれる可能性があると踏んでいるのだと思います。(全くの嘘では無いため)

 しかし現実はその「6割」すら救えていないので問題外なんですけどね。



◇「高所得者(年収798万円)」はそんなに楽ではない



質問者:

 確か小野寺さんはその前後に「高所得者の手取りが増えてしまう」と言うお話がありましたよね……。



筆者:

 「高所得者」(年収1000万円)の手取りが22万円も増えてしまうことがご不満みたいですね。


 でも、正直なところ「高所得者」の生活が楽という事も無いと思うんですよ。


 『厚労省 高所得者の厚生年金保険料上げ、27年9月から』と言う記事が25年1月16日の日本経済新聞の記事でありまして、


 その記事をまとめますと、


 賞与を除く年収798万円以上の人が、

 負担額はおよそ年間12万~36万円増加


 とあります。


 その他にも年収1000万円以上では児童手当制度「特例給付」の年6万円が受けられなかったり、最近では2020年の給与所得控除額の計算方法の改正により所得控除額が25万円減少したりと「高収入だから良いでしょ」と言わんばかりに負担増を押し付けられているんです。


 ただでさえ、所得税などは累進課税で厳しいものがありますからこの上で増税では切り詰めなければ子育てはカツカツでしょう。


 ちなみに「年収798万円」というのは賞与込みだと、大体年収1000万円ぐらいを指します。

1000万円以上の世帯は全体の5.5%、世帯数で言えば11.7%と数としては少なく結婚もかなりの確率で出来ていると思いますが、「この負担増ラッシュ」では望むだけの子供がいるとは思えません。



質問者:

 これでは年収が1000万円程度では子供2人を持つのがやっとぐらいじゃないですか?

 これで「少子化対策をやっている」というんですから驚きですよね……。


 いつ増税されるか分からないので人生設計が難しいと思います……。



筆者:

 実際にヤフーではそう言った記事を度々見かけて、それに賛同する意見も多く見られます。

 高年収の方々すらも望む人数の子供を持てなければ、この国の未来は正直言って無いでしょうね。


 政府は国民をカテゴライズして今回の場合は「高所得じゃない人には関係ありません」という事にして負担を増やしていこうとするのです。


 こんな状況だから「上級国民以外は皆苦しい」と僕は常々言ってきているわけです。

 「年収798万円」と言うのは「日本人全体から見ると相対的に年収が高い」だけであって、結婚をしたり、子供を持つと途端に生活が苦しくなるわけです。



質問者:

 高年収の方々は年収に相応しいだけの責任と成果を出してきた方々がほとんどでしょうしそれで生活が苦しかったら嫌ですよね……。


 結婚をしても子供を持たない「DINKS」と呼ばれるご家族も増えているようですし、更に少子化が加速していくわけですか……。



筆者:

 政治家の方など一部の例外はありますけどね(笑)。


 「1億円の壁(1億円以上の収入の方だと逆に配当収入が多いために負担率が低い)」という事は確かに問題がありますけど、これと1000万円以上の収入の方もひとくくりにされて、1000万~9999万円の方まで被害を被っているという事です。


 それなら負担増は年収1億円以上にすればいいと思うんですけどね。

(年収1億円以上の方は日本に約3万人しかいませんから“増収感”が無いからやらないと思うんですけど)



質問者:

 だから筆者さんはいつも「財源を言うな!」「真水国債(返済不要の国債)でやれ!」

 と言っているわけなんですね……。



筆者:

 社会保険料は医療や年金で返ってくるために負担増ではないというロジックがあるようです。

しかしこの手の話で、いつも思うのですが特に年金は更に徴収したらいわゆる「将来負担」が増えるはずじゃ? 後で減らす気満々だからプラスになると考えているからじゃないの? と言う疑念が付きまとうわけです。


 正直、「今のお金」が国民全体として足りないのであり、社会保険料・年金もいい加減「国民負担」と言う意味では変わらないという事で総合的に議論して欲しいんですけどね。


 国民の困窮の実情を政治家が全く見えていないのが「惨劇」とも言えます。


 ちょっとずつ論点ずらしをして誤魔化しているでしょうね。

 


質問者:

 政治家の方々は選挙に出るのにすらも2000万円以上かかるのに、楽々と出馬できるぐらいのお金持ちですからね……。



筆者:

 給付の際に所得の補足が難しいのであれば、取り敢えずのところ減税をする方が救済もしやすいと思います。


 特に先ほども見ましたが健康保険料については大人の9割が納めている状況ですから、

 低所得者の減免は手取りの年金額も増えることも意味します。


 「住民税非課税世帯」だけの減税では不公平感がありますし、「働くのが馬鹿らしくなる」「働いたら負け」と言った退廃的な気持ちが広がってしまいます。



質問者:

 確かに、高所得者も“798万円止め”若しくは“賞与一括給付”が今後起こりそうですね……。


 

筆者:

 消費税についても光熱費など確実に値下げされる額は高額所得者が多いですが、負担減の割合で見たら低所得者の方が高いです。


 また先ほど見た通り高額所得者も救済の必要がありますから、消費減税も大きく効果があるでしょう。

 

 僕はこれらの訴えを今後もやっていこうと思いますね。


 という事でここまでご覧いただきありがとうございました。


 今回は、「納税者4割」はミスリードであることと「年収798万円」は「日本人の中で相対的に高い」だけであって別に裕福とは思えないために、全般的な減税をしなくてはならないことをお伝えしました。


 今後もこのような政治経済について個人的な意見を述べていきますのでどうぞご覧ください。

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