第二章 2 特異依頼
二
自室で眼鏡に対する呪い防止の処置をしていると、ドアがノックされた。
「は~い。ちょっと今、手が離せないの」
この呪い防止は、視線で呪うことが出来る自分が、無意識に周囲を呪わないようにするために、必要な措置なのだ。
「失礼します。組合の者ですが、支部長がお呼びです」
男の声がした。ドア越しなので、姿は見えない。
突然、なんだろうか?
まあ、どうせろくな用件ではあるまい。
「急ぎ?」
「はい」
ならそっちが来いや、と思わないでもないが、部屋にそれほど親しくもないおっさんを入れるのも嫌である。
「ほんとに、今は手が離せないから、目処が付いたら行くわ」
「で、ですが」
「呪いの拡散防止処置中。今、やめたら、都市に呪いが蔓延するわよ? なに、責任取れるの?」
「い、いえ。では、そのようにお伝えします!」
そう言って、使いぱしりの男は帰っていった。
さて、続き続き。
自身の血を、以前手に入れた龍の骨粉と混ぜる。それに火を付け、眼鏡を燻す。
うん、煙い。部屋でやるべきじゃなかった。でも、外でやると苦情来るしなぁ。
げほげほ、とむせながら、涙を堪えて実施する。ぽたりと垂れる涙は、赤と黒だ。
数分の処置を終え、窓を開いて、換気する。
眼鏡をかけて、レヒとリンクに、眼鏡への呪い防止が機能しているかを確認する。
二匹は、こくんと頷いた。
正直、リヒとリンクは、呪いを上手く扱えるのだが、私は少々下手くそだ。感情が高まると、無意識に呪ってしまうことがある。そのため、眼鏡はどうしても必須だ。
特に戦闘中など、否が応にも感情が高まるのだ。視界に入った、知り合いを呪ってしまったら目も当てられない。
眼鏡を掃除し、着用。戦場に行くわけではないので、眼鏡は不要なのだが、組合に行くのならば、仕事着で行くべきだろう。
部屋着から、ローブに着替えて、マントを羽織る。懐に、呪術関連を突っ込んだ巾着を入れる。後は、自分の武器である金槌を腰にぶら下げる。
最後に新しい眼鏡を着用。
「よし、行くか」
いや、面倒だな。やめよっかな……。
本気でそう考えるが、本当に重要な用件だったらまずいので、仕方なく行くことにした。
組合に着くまでに、屋台で買い食いながらしたので、少し時間が掛かってしまった。
でも仕方が無い。美味しそうな匂いがしたんだもの!
組合の建物に入ると、カウンター内で待ち構えていた組合長が、早く来い、と手招きをしていた。
どうやら、カウンター奥の組合長の部屋で話をするらしい。
私は、組合のロビーの壁に金槌を立てかけた。話し合いの場にはでかくて邪魔だ。
特注の金槌であり、材料は二度と手に入らないであろう物が使われているが、多分、値段は付かないであろう代物だ。
以前、とある事情により倒すことになった、亜神の魔力の結晶と骨を使って造った物なのだが、その所為で触れただけで、体調を崩すというデメリット付きだ。多分、私以外には、使い事なすことが出来ないだろう。
盗むような馬鹿はいない。
部屋の中に入ると、相手の許可を待つことなく、ソファに腰を下ろす。対面に組合長は座った。
秘書の女性に「珈琲、砂糖は二つ、ミルクなし」と告げる。一瞬、イラッとした表情をされたが、すぐに表情を笑顔に戻し、部屋の外へと出ていった。
「で、なによ?」
「というか、お前、何してたんだ? なんか、凄い煙いんだけど」
組合長は、五十前半の虎の獣人だ。当然、実績も十分で、今でこそ前線から離れているが、皆に一目置かれる実力者だ。
名前はキタ・イチポーロ。息子もおり、その息子はと言えば、組合員として現在名を上げようと必死に頑張っている最中だ。
因みに、組合長とは便宜上のあだ名のようなもので、正確には職業斡旋組合支部長であり、支部長と呼ぶのが正しいのだが、皆組合長と呼んでいる。
「新しい眼鏡に、呪い防止の措置してたのよ」
「あ、そういえば、眼鏡変わってるな」
「でしょ、似合う?」
「前のが酷かったから、何を着けたって、前のよりは似合うだろ」
世辞っでいいから素直に褒めなさいよ……。ただでさえ乗り気でないのに、更にやる気が失せた。
「で、なに?」
「飲み物が来てからで良いだろ」
そう言われたので、腕を組んで、ソファの背もたれにもたれかかる。
テーブルの上に、珈琲が置かれ、組合長が秘書へ外で待つように告げた。
「この都市に、風龍の群れが向かってきている」
「到着は?」
「三日後」
「あ、そ」
組合長は、腕を組んで、こちらを見つめ続けている。
「龍討伐に参加して欲しい」
「無理無理。その日はデートあるし」
これは本当。フィリアとしてだが、テスラと遊びに行く予定が入っている。
「それはあれか? テスラとか」
「当たり前でしょ。何、私が他の男と遊びに行くとでも思ってんの?」
「いや、そうではない。テスラは、この話受けたぞ?」
この話をされたのならば、テスラは受けるだろう。
だが、私は受けたくはない。
「なら、テスラにめっちゃごねて、辞めさせるわ。フィリアとして、約束破るのってごねれば、上手くいけば、デートに来てくれるでしょ」
「お、お前。都市の大ピンチなんだぞ⁉」
しらけた表情で、私は珈琲を飲む。あ、これやっすいやつだ。組合長の客なのに、安い豆で煎れたな?
「まだ三日あるんでしょ? だったら、組合、教会、王宮で強制招集権使って、更に近隣に応援頼みなさいよ。それなら、対応も出来るでしょ?」
「だ、だが、間に合わなかったら……」
組合長が目を逸らしたので、わざと音を立てて食器を置く。
びくり、と肩をあげて、こちらにおずおずと視線を戻してきた。
「なら、それこそすぐに動かなきゃ、ね?」
「……に組合が協力する、ならどうだ?」
最初の方が、小声すぎて聞こえなかった。
「テスラと付き合えるように、組合が協力するなら、どうだ?」
凄いこと言い出した。
仮にも一支部を任された者の言うことだろうか。
「協力って、何してくれるのよ?」
「予約しにくい劇の鑑賞券回したり、店を予約できるように手を回したり、色々だ」
ふ~む、どうしたもんか。正直、最終的には受けるしかないとは思っていたのだ。テスラにデートの件でごねたとして、デートに来てくれたとしよう。だがテスラは楽しめない上に、被害が出れば悲しむだろう。逆に、討伐に行けば、フィリアに対する罪悪感を増すことになるだろう。フィリアとして、別れる理由付けに使えるかも知れない。なら、いい落としどころか。
「わかったわ。それで受けるわ」
「ほ、本当か⁉」
「でも、緊急招集はしなさいよ。群れの全部、私とテスラで相手なんか出来ないからね」
うんうん、と組合長は頷いた。
因みに強制招集はCランク以上の組合員が対象であり、Fランクの私には関係の無い話だったりする。
ってことは、テスラがフィリアに謝罪しに来るわね。お店で働いておかなきゃ。
「じゃ、それで用は終わりね。帰るわよ?」
予想通り、夜にテスラが酒場に現れ、三日後に仕事が入ったことを伝えに来た。
その申し訳なさそうな顔に「人々のためでしょ、誇らしいぐらいです」と返すと「ありがとうございます」と淡い微笑みを浮かべた。
次の日は、早く起きた。多分、テスラが来るからだ。
気を使ってか、テスラは昼前に現れた。
「おはよ。仕事のことでしょ?」
「ああ、そうだよ。部屋で、それとも下の食堂で?」
「食堂かな。もうお昼だし」
二人で食堂に移動。時間が時間な為結構混ではいたが、宿泊客用のテーブルがあるため、待つことなく座れた。
適当に注文を済まし、食事が運ばれてきてから話を開始する。
「仕事の日、デートだったんじゃないの?」
からかうように言うと、テスラは苦笑いを浮かべた。「それは断ったよ」
「振られちゃうかもよ?」
「かもね。それでも、君は仕事を受けただろう? だったら、僕はそちらを優先するさ」
その言葉に、思わず面食らって、口に運ぶ途中のフォークを空中で止めてしまった。
「な、なんで?」
「なんでって、そりゃ、フィリアさんは大切だけど、僕が命を預けられるのは君だけだし、君もそう思ってくれてると思うから」
面と向かって、こんな事をのたまいやがった。
自分の頬が、過去最高に熱くなっているのがわかる。多分、誰が見てもわかるほど真っ赤だ。
「く、口説いてんの?」
震える声で、言葉を紡ぐ。
「いや、違うけど?」
いや、どう聞いても口説いてるんですけど⁉ そして、オッケーなんですけど⁉
「っていうか、受けたのテスラでしょ?」
「え?」
「え?」
話を整理すると、どうやらお互いがお互いとも、相棒が受けたと言われたらしい。
騙されたってわけね。
「へえ?」
ちょっとムカついちゃったな。
「でもこの都市の人々には関係が無いことだよ。僕は、君が断っても、受けたと思う」
「わかってるわよ。やることはやるわ。その上で、ちょっとした意趣返しぐらいしたいじゃない。騙すってのは、誠意にもとるわ」
テスラは苦笑い。だからといって文句は言わない。この辺は、私の性格を知っているがゆえだろう。
「で、作戦は考えているのかい?」
「ん~、丘で先制攻撃。後は、なるがままでいいかな」
「じゃ、僕は君を護り続ければいいわけだね」
「そ。いつも通りよ」
適当な作戦。だが、それで勝ってきたという自負がある。
「ああ、そうだ」
「なに?」
「眼鏡、すごい似合ってる」
「あ、ありがと」
だから、そういうとこ。そういうとこなんですよ。惚れちゃうし、諦められないのは。
「この後、何か予定あるかい?」
「ないわよ。テスラのために空けといた」
「じゃあ、適当に遊びにでも行こうか。最近、ジーラと仕事以外で出かけてなかったしね」
「だから、彼女、いるんじゃないの?」
言わなくて良いことなのに、何故か訊ねてしまった。フィオナとしての部分が、少しは自分の中にあるのかも知れない。テスラは、実は浮気性なのか、とか。
「う~ん、なんだろうね。他の女性はともかく、フィオナさんは、ジーラとなら、怒らないと思うんだ。自分でもわからないんだけど、確信できているんだよね」
「ふ~ん?」
思わず眉根をひそめてしまったが、本人も理由はわかっていないようだ。
「因みに、私がこの間、男と出かけていたのは、デートとかじゃないから。誤解しないように」
「そうなのかい? まあ、わかったよ」
テスラは、素直に頷いた。疑っている様子はなさそうだ。
「じゃ、出かけましょうか。折角だから、楽しみましょ」
「どこか行きたいところあるかい?」
ふむ、と考えて、一つ思いついた。
「服屋。私服が全然無くて、ちょっと困ってて」
「わかった。確かに、僕ですら君の私服って、見たことないな」
「だって、持ってないもん」
因みに、本日テスラは私服だ。簡素なシャツに、綿生地のズボン。気取らない服装だが、清潔感があり似合っている。
「もしかして、一緒に歩くの恥ずかしいとか思われてたり?」
「思ったことないよ。ジーラって感じがするよ、その服」
「ほら、私って、背中の関係で、服が面倒でしょ?」
「あ~、確かにね。そう考えると、マントとか欲しくなるか。でも、私服には、ちょっと目立つかもだね」
「うん、だから困ってるのよ」
今の自分の服装。真っ黒なローブに、センスがないと言われるマント。室内でもフードを被りっぱなしで、その下にある髪はボサボサだ。
やばい、想い人と歩いて良い服装じゃない。
「ちょ、ちょっと髪の毛直してくる」
「必要ないよ。さっき言ったとおり、普段通りが一番いいよ」
「随分褒めるじゃない。恥ずかしいんだけど」
「だから丁度良いだろ。顔が隠せてさ」
食事を終えて、服屋へと向かった。
センスがないことは理解しているので、テスラに選んで貰う。簡素なデザインのものが多いのは、テスラの好みなのだろう。
更衣室に入り、ローブを脱ぐ。
鏡に写る自分を確認する。
見目は、良いと思う。だが、それにかまけて努力していないのが良くわかる容姿だ。なんというか、人と会うには、失礼と言った状態だ。
髪がぼさぼさで、化粧もしていない。
こりゃ、振られもするわ、と思わないでもない。テスラなら受け入れてくれると、高をくくっていたのかも知れない。
テスラは、普段通りが良いと言っているが、それはきっと女性としてではなく、女性を意識しない相棒としての話だろう。
これからは、美容室に行って、化粧もしよう。女性を磨こう。フィリアじゃない時も。
決意を固め、テスラの用意した服を着る。
髪や化粧はもうどうしようもない。
色も暖色系のワンピース。肩と背中は全て露出されるタイプ。
まあ、こうなっちゃうのは仕方ないのよね。
「どう?」
カーテンを開き、テスラにお披露目する。
「似合ってるよ」
「ほんと?」
次の衣装に着替えて、同じやりとりが行われた。確信した。こいつ、全部似合うっていうタイプだ。
結局、店員も交えて服を選んで貰った。
そのままローブから着替える。ついでに新しいケープも購入し、背中の露出を隠した。
店から出る際に、売れ残りのセールコーナーに、実にダサい寝間着を見つけた。胸の所に、相と書かれた青色と棒と書かれた桃色の物だ。
売れるわけがないと思うと同時、ダサすぎて欲しいと思ってしまった。安いし。
「どう思う?」
笑いながら問いかけると、テスラも笑っていた。
「いいんじゃないか? これから泊まりの仕事の時は、これ着ようか?」
「お、いいよ。裏切って、持ってこないとか無しだからね」
そう言って、二人でこのパジャマを購入した。
うん、こんな馬鹿やるのが楽しい。だからこそ、一緒に居たいんだろう。一緒に居れたら、自然体で、楽しく過ごせるから。
その後は、適当にぶらつき、夕食として酒場で飲んだ。前日は基本付き合ってくれないテスラだが、仕事は明後日だ、今日ならば酒に付き合ってくれるだろう。
一応、フィリアが居ない店の方が良いだろうと提案し、適当な酒屋に入った。
酒場は、組合、王宮、教会と各所属が好んで使う、テリトリー的な特色がある。
今回は行った酒場は、組合の人間が多い場所だった。
勿論、教会所属だからと言って、入ってはいけない等という決まりはない。ただ、絡まれる危険が付きまとうというだけだ。
テスラは、明らかに組合所属でないのがすぐにわかる。王宮か教会ならば迷われるだろうが、清潔感のあるその見た目は、明らかに粗雑な見た目の者が多い組合所属ではない。
ちなみに、私が酒場を作った理由は、その所属の色がない酒場を作りたかったからだ。そうすれば、所属間を通じたパーティが組める場になると思ったからだ。
実際、その思惑は成功し、酒場はかなり儲かっている。
こういった、所属色の強い酒場は、偏屈な者が多かったりする。
適当な席に座り、酒を注文する。
失敗したかな。
ちらちら、と新入りであるこちらに視線を送る者が多い。
「女性がいないからかな、君を見てるみたいだ」
「いや、教会所属のテスラが居るからでしょ」
気にしても仕方が無い、と提供された酒のグラスを「乾杯」と言いつつ合わせた。
私は一気に飲み干し、テスラは少しだけ飲んでグラスを置いた。
「もう一杯良い?」
「潰れたら送っていくから、好きなだけ飲んでいいよ」
いつも通りのやりとり。紳士だから、なにかされる心配は無い。……悲しい。手を出しても良いんデスヨ?
更に一杯、一気に飲む。
「くはぁ!」
「良い飲みっぷり。僕より、ジーラの方が漢らしくて格好が良いよね」
「褒められてる気がしないんだけど?」
ジト目で睨みつけると、「はは」と笑って流された。
降臨祭が近いこともあって、店内でに降臨祭の話題を話している者が多かった。
天使は居るが、本当に神様ってのは居るのか? 等罰当たりな話題もあったが、テスラが機嫌を損ねている様子は無かった。私から見ても、テスラはそれ程信心深い方ではないと思うことがある。
が、そんなテスラでも機嫌を損ねる話題が耳に聞こえてしまった。
「神様は居るだろ。二十年前の、集団誘拐妊娠事件、覚えてねぇのか?」
「ああ、あれだろ。若い女が百人攫われて、みんな神様の子供を妊娠していたって奴」
「そうそう。ただ、みんな産む前に、死んじまったって話だ」
「まあ、神様って言ったって魔神の子供なんだろ。生まれないでくれて良かったじゃねぇか」
そう言って、男達は笑った。
私は、テスラの頭を小突く。
「私と酒飲んでるのに、そんな顔しないの」
「……ああ、そうだな」
不承不承ながら、テスラは頷き、男達から視線を切った。 テスラはこの手の話題、好きじゃないからなぁ。私も、好きではないが、ここまで露骨に機嫌は悪くならない。
と、店のドアが開く音がし、私がそちらに視線を向けると、男がこちらに気付く。そして、こちらに近づいてきた。
「おいおい、なんで教会のお上品な方が、こんな店にいるんだよ!」
「とりあえず、その言い方は、店長さんに失礼だと思うよ」
テスラは、呆れた様子で答えた。
仰るとおりである。
「返しも上品なことだな」
そう言うと、こちらのテーブルに近づいてきた。
「俺は、教会や王宮のお上品な連中が気にくわねぇんだ。この店の気安さを損なうからよぉ。さっさと出てってくんねぇかな。それとも力尽くで出した方が良いか?」
テスラを睨みつける男。だが、テスラは涼しい顔で、その視線を受け止めている。
涼しい顔に、さらに男は怒りに顔を赤くしている。最早、喧嘩になる直前と言った感じだ。
私は苦笑いを浮かべ、親指で背中越しに後方を指さし、男に来るようにジェスチャーした。
「で、なにしてんのよ?」
小声で問いかける。
組合の顔見知りだったのだ。絡んでくる時点で、かなり不自然だ。
「おまえの恋に協力しろって、組合からの指示だよ。俺達の方が、なんでこんなことしなきゃいけねぇのか知りてぇよ」
あの馬鹿組合長、人の恋愛事情バラしてんじゃねぇよ! 協力ってそういうことじゃなくない⁉
そして、一言もの申したい!
「違うでしょ?」
半眼で男を睨む。
「ここは姉ちゃん、こっちで酌しろよ、ってなって、私が助けられるところじゃないの⁉ なんで、純粋にテスラに絡むのよ!」
私がテスラを助ける側なの? どうやったら、それできゅんってすんのよ⁉
「いや、ジーラに絡んだら、問答無用で呪うじゃねぇかよ。お前、軽い呪いなら、冗談半分、からかい半分でやるじゃねぇか。あれ、意外とキツいんだぞ。次の日、二回足の小指ぶつける呪いとか」
「とりあえず、テスラに謝って、あっちで飲んでなさいよ」
「へいへい」
男は、言われたとおりに、テスラに謝罪する。テスラは良い奴なので、すぐにその謝罪を受け入れた。
そして、その直ぐ後に来た客、三組ほどと同じやりとりを繰り返すことになった。
とりあえず、あの虎野郎、ぶん殴る。