51、問い詰められました
その後、離れたところにいた残り2体のサラマンダーも無事討伐できたよ。
わたしたちの戦う様子を見ていた冒険者たちが、実はサラマンダーの弱点は火なんじゃないかって気付いて、そこからは早かった。
魔術師が火魔法を撃ち込みまくって、動きが止まったところをみんなで囲んでタコ殴りにしていたよ。
余程ストレスが溜まっていたのか、相手が動かないのをいいことに、やりたい放題だった。
途中で素材回収に考えが至ったのか、そこからはいくらか理性的な殺し方だったけど……。
ともあれ、サラマンダーの討伐も終わって、これでひと安心だ。
ちなみに、今回エデンに接近してきた5体以外、北東方面で確認されたサラマンダーも既に討伐されている。
というか、わたしたちが討伐した。
野外実習の森で最初に会った3体以外にも、別に6体もいたんだよ。
エデンへの帰り道。森の中に2体、森の外に4体。
全て倒したけどね。
もうサラマンダーの弱点も倒し方もわかっちゃってるから、わたしも落ち着いて対処できた。
ただねぇ……流石にこれだけの数のサラマンダー相手に、わたしが何もしないってわけにもいかなくって……。
結果、わたしが転生者(転移者)ってばれちゃいました。
『リコ、さっきの光の盾は?』
『リコちゃん、魔力なかったわよねぇ? つまり、それって加護ってこと?』
『戦闘中、お前一瞬消えてたよなぁ? あれってなんだ?』
最初の戦闘時はガイ先生もガーネット先生も離れたところにいて、レイもかなり焦ってたから誤魔化せたけど、2回目以降はさすがに無理だった。
戦闘自体にもかなり余裕があったし、わたしが扉を使ったり図書館に行って状況の確認をしたりしていたところはしっかり見られていたから。
サラマンダーの弱点を知っていたことについては、異世界の知識ってことでなんとか誤魔化せたから、扉の向こうの図書館についてまではバレていない。
でも、自由に出し入れできる扉のことと、盾を潜ることで時間を停止できることは白状させられた。
冒険者のスキルを訊くのはマナー違反ではって?
今のガイ先生とガーネット先生はわたしを守り指導する立場の教師であり、しかも目下パーティーを組んで戦っている仲間でもあるわけで……。
ある程度わたしの能力を把握しておかないと、パーティーが危険に晒される可能性があるって言われちゃうと、わたしには何も反論できなかった。
あっ、でも、収穫もあったよ。
わたしだって、ただで転んだりはしないのだ。
レイが王女様だってこと、教えてもらった。
いや、知ってたけどね。
でも、知ってるけど知らないふりするのと、本人の口から直接教えてもらうのじゃあ、今後の付き合い方が全然違うから。
わたしが転生者だってばれて、保護の名目で王家に囲いこまれるのは嫌だって話をしたら、逆に今わたしが王家に保護されるのは困るって言われちゃったよ。
今の王家は、国王を暗殺し、レイを王家から追い出そうとした宰相が仕切っているから、今転生者のわたしが王家に保護されるのは、悪の宰相に強力な政治カードを与えることになってしまうみたい。
本来なら、わたしの希望を踏まえつつ王家がしっかりとわたしの生活をサポートするのが筋なのだがと、レイには謝られてしまった。
ちなみに、冒険者ギルドマスターはレイの味方とのことで、わたしのことは一応報告するけど、王家や周囲に漏らしたりの心配はないって言われた。
ガイ先生とガーネット先生もわたしのことは秘密にしておいてくれるみたいで、とりあえず一安心かな。
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