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チート図書館を手に入れた転生女子は、家出王女と冒険者になることにしました  作者: Ryoko


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22、魔物図鑑

(う〜ん、やっぱり魔物関係が多いなぁ……)


 さすがというか、やっぱりというか、書棚の大部分を占めるのは魔物の特徴や分布に関するものがほとんどで、小説とかは一冊もない。

 分かってたけどね……。

 名のある冒険者の伝記とかくらいは期待したんだけど、勿論そんなものはなくて、あるのは実用書ばかりだった。

 資料室なんだから、当たり前だけどね。


 …………


「こんな魔物もいるんだぁ」


 手に取った魔物図鑑には、写真? 付きで見たこともない生き物がたくさん載っている。

 確かに図鑑なんだけど、わたしの感覚だと実用書というよりは幻獣事典を見ている気分で、なかなかにおもしろい。


「レイ、これって写真だよねぇ?」


 わたしの知る“写真”とはちょっと違うけど、だからといって、とても絵には見えない。


「ああ、リコは写真付きの本を見るのは初めてか?」


「えぇと、まぁ」


 曖昧に頷くわたしに、レイが説明してくれる。

 ノーム王国には“写真機”という景色を写し取る魔道具があって、この魔物図鑑の作成にはそれが使われているんだって。

 かつて魔工都市ベルフェで活躍したとある天才魔道具師が作り上げたもので、現存する彼が作った写真機のオリジナルは、ノーム王家、冒険者ギルド、魔工ギルドにある3台のみ。

 勿論それらは大切に保管されているから、この図鑑作成なんかに使われているのはその劣化版。

 違いは、保存枚数とプリントアウト機能らしい。


「アーティファクトの写真機の方は魔力さえ込めれば一度に何枚でも撮影できるし、写真機から直接紙に転写も可能だ。

 だが、現状一般に普及している魔道具の写真機が撮影できるのは一度に一枚だけ。その都度専用の魔石を入れ替えなければならないし、魔石に保存した画像を印刷するのにも別の魔道具が必要になる」


 それは、かなりの性能差だね……。

 ちなみに、アーティファクトと魔道具の違いはというと……。

 神器や加護によって生み出された物がアーティファクトで、主にそれらを研究して作り出されたのが魔道具みたい。

 “神器”や“加護”のことを、神々が与えた特別な道具や才能ってレイさんは説明してくれたけど、それってつまり転生特典のことだよねぇ?

 転生者が前世知識とチートスキルで伝説級の魔道具を生み出して、それを元に研究開発されて作られたものが、ノーム王国で一般に普及している魔道具ということ。

 つまり、わたしが大陸語の習得に使った超ハイテク参考書がアーティファクトで、幽世図書館は神器ということになる……?

 いや、あの図書館は館長さんのもので、わたしが個人的に所有しているのは“扉”だけ?

 ともあれ、あの参考書クラスがアーティファクトだとすると、確かに写真機の性能差も納得だ。

 多分、明治時代の写真機とデジカメくらいの差は余裕であると思う。

 それでも、この剣と魔法のファンタジー世界で、写真付きの図鑑は十分に凄いけどね。

 この写真を一枚確保するために、腕利きの冒険者が写真機片手に魔物の生息地に向かい、たった一度のシャッターチャンスを逃すことなく魔物の姿を写し取って無事帰還する。

 その場で写真を確認して、気に入らなければ即削除取り直しなんて当然できない。

 しかも、写真の複製も大変みたいで、ここにある写真付きの魔物図鑑はこれ一冊。

 実物を知らない魔物を事前に確認できる貴重な資料だから、当然ながら貸出もこの部屋からの持ち出しも一切不可。 


(これは、しばらく通うしかないかも……)


 幽世図書館に新たに幻獣事典が入荷されたというアナウンスは届いていない。

 多分だけど、実際に本物の魔物を見ることなく、ただ図鑑で知識を得るだけでは、新たな本は入荷されない気がするんだよね。


『わたしが見たもの、聞いたものに対して、その関わりの深さや関心度に応じて、その情報が書籍の形をとって幽世図書館に蓄えられていく』


 わたしの加護(ギフト)にはきっと実体験のようなものが必要で、実用書である魔物図鑑を見て幻獣事典みたいでおもしろいと感じてしまっているうちは、幽世図書館に魔物図鑑が入荷されることはない気がする。

 実際、今日の訓練で見たツノうさぎ、ワイルドボア、ジャイアントスネークの3体に関しては、本から受ける印象が他の魔物とは全然違うからね。

 今後、多くの魔物と関わる機会が増えれば、幽世図書館にも魔物図鑑は入荷されるはずだけど……。

 今のところは今日の3体で十分っていうか……。


(ほんとうに、わたし、冒険者になれるのかなぁ)


 他にも野営の仕方に関する本とか、魔法に関する本とか、色々あったけど……。

 とりえず冒険者資格を取得さえできれば、ここの資料室はずっと無料で利用することができる!

 まずは資格取得を第一目標にして、実際に冒険者をやるかどうかはゆっくり考えよう。


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