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チート図書館を手に入れた転生女子は、家出王女と冒険者になることにしました  作者: Ryoko


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17、まぁ、何とかなるかな

 『ノーム王国の食文化』を堪能したわたしは、ついでに『冒険者ギルド活用法』の方にも目を通しておくことにする。

 いや、元々はこちらを読むために来たんだからね。

 『冒険者ギルド活用法』は、そのまま冒険者ギルドの施設や役割、活動内容なんかについて詳しく書かれたもので、冒険者ギルド限定のガイドブックって感じだった。

 そこには明日から受講予定の冒険者講習についても詳しく書かれていて、10日間の冒険者講習のカリキュラムや授業内容なんかも大体知ることができた。


 そうかぁ、一応、戦闘の実技もあるのかぁ……。

 でも、別に今すぐ実戦レベルの戦闘技術とかを求められるわけではないんだね。

 よ〜く考えれえば当たり前だけど、戦闘技術なんてちょっと習ったくらいで簡単に身につく訳がないよね。

 それこそ何年も練習して、ようやく自分のものにできるかってものだと思う。

 その辺は冒険者ギルドも当然分かっているみたいで、あくまで講習で指導するのは導入部分だけ。

 具体的には、大樹海の冒険者や魔物のレベルを実体験させることで、今の自分がいかに力不足であるかとか、今後冒険者としてやっていく上で何が必要なのかとか、そういったことを実感させるのが目的みたい。

 敵を知り己を知らば百戦危うからずってやつだね。

 実際、冒険者ギルドでは初心者向けの剣術や魔法などの無料講習もやっていて、本格的な戦闘は冒険者になった後、そちらで教わることになるみたい。

 冒険者資格を得たからって、みんながみんな冒険者になるわけではないからね。

 わたしのように、とりあえず身分証が欲しいだけって人も一定数はいるみたい。

 それだと、冒険者になる気もないのにって怒られそうだけど、冒険者ギルドとしては全然OKなんだって。

 それというのも、わたしが明日から受ける冒険者講習自体が、この国の義務教育的な役割を担っているから。

 この国で生活するためには身分証が必要で、一番簡単な方法は冒険者資格を得ること。

 そのためには、冒険者講習を受けて試験に合格する必要がある。

 でも、それには字の読み書きや簡単な計算もできるようになっておく必要がある。

 読み書きができなければ当然ペーパー試験は受けられないし、試験問題の中には素材の売り買いや必要経費の計算といった算術に関する問題もある。

 商業ギルド、魔工ギルドは勿論、冒険者ギルドであっても読み書き計算は必須なのだ。

 だから、ノーム王国では、どこの家庭でも子どもに読み書き計算を教えるし、そのための寺子屋のような場所もあるらしい。

 つまり、冒険者ギルドには、国の教育機関的な役割もあるってこと。

 だから、冒険者講習で教える内容も、冒険者に特化したものというより、むしろノーム王国人としての一般常識に近いものみたい。

 ノーム王国でふつうに生活する上で知っておくべき危険な魔物や植物だったり、万が一魔物に遭遇してしまった場合の対処法だったりだね。

 これから本当にわたしが冒険者としてやっていけるかはともかく、そういった生活する上での一般常識みたいな事はぜひ学んでおきたいから、この制度は実にありがたいよね。

 心配だった実技講習の方は体験教室みたいなものみたいだし、読み書き計算はばっちりだからね。

 明日の講習が楽しみになってきた!


 そんな感じで、楽しく『冒険者ギルド活用法』を読み進めていたわたしは、ふと、とあるコラムに目を留める。



『コラム:冒険者講習には隠されたもう一つの目的が!?

 冒険者講習制度の隠された目的の一つ。それは、異世界から来る転生者(転移者含む)の発見と保護なんだって。

 チート能力を持った転生者は、悪いやつに捕まると利用されて大変不幸な目に遭ったりもするからね。

 そんなことにならないよう、事前に国が見つけて保護しましょうっていうことだ。

 だから、これは決して悪い話ってわけでもないよ。

 エリート街道まっしぐら! 夢のシンデレラ・ストーリー!

 王族の玉の輿狙いの諸氏は、自分から名乗り出ちゃうのもいいかもね。

 でも、自由を愛するきみたちは要注意!

 高確率で籠の鳥確定だ。

 どちらを選ぶかは、読者諸氏にお任せしよう』



 な、何これ!?

 これって、つまり、転生者ってばれたら王族と強制的に結婚させられるってこと?

 いや、確かに身の安全を確保してくれるのはうれしいけど……。

 でも、そもそもの話、ただ平和に暮らしたいだけなら、わたしは異世界になんて来なかった。

 自由に本が読みたい!

 好奇心の赴くままに、好きなことを好きなだけ突き詰めたい!

 この世界を自由に見て回りたい!

 うん、籠の鳥なんてまっぴらごめんだ。

 ……でも、そうすると、やっぱり冒険者ギルドは避けるべき?

 でも、現実問題として身分証は欲しいし、できるかどうかは分からないけど、純粋に冒険者という職業にも興味はある。

 せっかく異世界に来た以上、やっぱり一度くらいはやってみたいよね、冒険者。

 それに、レイさん……レイのこともある。

 もし明日の講習に行かなかったら、レイとの付き合いもこれっきりになっちゃいそうだし……。

 せっかく友達になれそうだったのに、ここで縁が切れちゃうのももったいないよね……。


 よし、決めた!

 冒険者講習は予定通り受ける。

 それで、転生者であることは隠し通す。

 幸いわたしのスキルは目立たないし、実技無双とかしなければバレる心配はないと思うんだよね。

 転生者は黒髪黒瞳って思われているみたいだから、誰もわたしが転生者とは思わないはず。

 とりあえず、無難に講習を終えさえすれば、あとはどうとでもなるしね。


 よし、そうと決まれば早く寝よう。

 館長さんに挨拶をして宿に戻ると、本当に久しぶりのベッドの中で、わたしはあっさりと眠りに落ちていった。


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