表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
チート図書館を手に入れた転生女子は、家出王女と冒険者になることにしました  作者: Ryoko


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

16/52

16、転生者の影響

 レイアがリコの保護に考えを巡らせていた頃、初めての宿ですっかりくつろいでいたリコの頭に新刊入荷のお知らせが届く。


《“冒険者ギルド活用法”が入荷しました》

《“ノーム王国の食文化”が入荷しました》


 お昼は通りの屋台で適当に済ませたけど、夕飯は宿の食堂でがっつりいただいた。

 ちなみに、お昼はワイルドボアって魔物の串焼きと揚げパン(中身なし)。

 味は予想通りというか、肉は脂身少なめの豚肉って感じで、スティック状の揚げパンの方は中国の朝食で定番の油条(ヨウティアオ)が近いと思う。

 本当はちゃんと野菜も摂りたかったから、肉と野菜を挟んだサンドイッチにも惹かれたんだけど……。

 でも、初日で異世界の食事にも慣れていないわけで、火を通していない屋台の生野菜はちょっと怖いかなぁとか一応警戒してみた。

 その分、宿の食事では野菜物もしっかり補給。メニューはタウロスって牛っぽい魔物の煮込みシチューにご飯。

 そう、ご飯! お米だよ!

 異世界物の定番だと、みんなお米を探すことに心血を注いで、発見時には滂沱(ぼうだ)の涙を流して喜ぶっていう流れなんだけどね。

 いや、わたしはまだ一応異世界一日目だし、泣いたりなんかはしなかったけど。

 むしろ、これじゃない感が大きいというか……。

 海外旅行に行って、旅先で某牛丼チェーンの看板を見かけたような……。

 ちなみに、シチューの中にはふつうにニンジンとかジャガイモとかタマネギなんかが魔物(タウロス)肉と一緒に煮込まれていた。

 味もふつうにビーフシチューだしね。

 確かにガイドブックにも、かなり日本食に近い料理が普及しているから、日本人にも馴染みやすいって書いてあったけど……。

 勿論、どう見ても巨大な目玉にしか見えないような具の入ったシチューとか出されるよりは、全然うれしいんだけど……。


 そんな疑問が頭の隅に引っかかっていたせいか、今夜は明日に備えて早めに寝ようとベッドに入ろうとしたこのタイミングで、新刊入荷のお知らせ。

 しかも、『ノーム王国の食文化』だって……。


 (すごく、気になる!)

 

 でも、今から読んじゃうと明日の講習に影響が……。

 いや、でも、それを言うなら明日の講習に備えて、もう一冊の『冒険者ギルド活用法』の方には目を通しておくべきでは?

 なら、いずれにせよ今から図書館に行く必要はあるわけだから……と、そこで大切なことを思い出した。


 (図書館なら、時間は関係ないんだ!)


 寝る前にうっかり新しい本に手を付けて、次の日は眠気と戦いながら必死に仕事をする羽目になるとか……。

 そんな心配はないんだよね!


 既に昼間街で買った寝間着に着替えて、準備万端寝る態勢になっていたわたしは、いそいそと元の外着に着替えると、図書館への扉を開くのだった。



「ようこそ、幽世図書館へ」


 いつもの館長さんの声に迎えられ、わたしは早速いつもの書棚へと向かう。

 そこには新しい本が2冊。


『冒険者ギルド活用法』

『ノーム王国の食文化』


 わたしは迷わず『ノーム王国の食文化』の方に手を伸ばす。

 明日の予習はどうしたって?

 勿論、そちらも読む(する)つもりでいるよ。

 でも、どちらも読む時間があるなら、両方とも読めばいいわけで、それならわたしが読みたい方から先に読むことに何の問題もない。


 『ノーム王国の食文化』には、今のノーム王国で一般的な料理や食材からその(いわ)れまでが、詳しく書かれていた。

 その料理を誰がどんな経緯で発明したとか、あれこれの食材がどのように発見され普及していったかとかだね。

 で、これは予想通りだけど、ノーム王国の大半の料理や食材に転生者が関わっていた。

 そして、その中でも特に多大な影響を及ぼしたのが、トールとマッキーという二人の転生者。

 勿論、二人が同時期にこの世界に存在していたわけではないけどね。

 まず、トールって人が持っていた加護(ギフト)なんだけど、“真実の瞳”っていう鑑定スキルだったみたい。

 自分が対象から読み取りたい情報を何でも読み取れちゃうスキルらしいんだけど、なんと、彼はそれを使って食材探しに(いそ)しんだとのこと。

 この世界の素朴な料理に我慢できなかったみたい。

 魔物の性質、生態、弱点等いくらでも調べられたのに、彼が夢中になったのはその食材としての価値。

 その生物は食べられるのか、食べられないのか? 味は? 調理方法は? 確保の手段は?

 魔物だろうと人だろうと、瞬時に相手の思考も弱点も読み取ってしまう危ないスキルだったみたいだけど、彼が生涯をかけたのは食材探しだったみたい。

 大樹海の魔物や植物は多種多様で、なかには強い毒などを持つ危険なものも多い。

 そんな中で、何が食用に適して何が適さないか……それが、ほぼ彼一人の手によって解明されたんだって。

 これによって、あまり広い農地を確保できないノーム王国の食糧事情は、相当に改善されたとのこと。

 当時の冒険者仲間からは相当に変わり者扱いされたみたいだけど、彼がこの国に残した功績は偉大なものといえる。

 そして、トールの死後100年近くを経て現れたのが、マッキーという女性転生者。

 彼女の加護(ギフト)は“神農”。

 既存の植物を自在に操り、自分のイメージ通りの植物を自由に生み出すスキル。

 どこぞの妖狐みたいな能力で、特にこの大樹海では最強ランクの攻撃力を持つスキルだと思うんだけど、そんな彼女の唯一の趣味は料理。

 戦闘には興味もなく、ただひたすら料理の腕を振るっていたみたい。

 そのジャンルは幅広く、定番の日本料理や中華料理、フランス料理やイタリア料理といった有名所はいうにおよばず、ジャンクフードや子供のおやつから聞き慣れない民族(エスニック)料理まで何でもござれ。

 様々な料理とレシピが、ノーム王国に提供されていったという。

 と、ここで問題になるのがこの世界にはない食材で、その中でも特に問題なのが香辛料。

 なかには似たような物もあるけど、やっぱり無いものは無い。

 カレーを作りたいけど、パクチーは? コリアンダーは?

 ケーキにはコーヒーか紅茶……でも、どっちもないじゃん!

 彼女は己の加護(ギフト)を使いまくり、この世界の環境でも育つ地球の植物を生み出し続けたとか。

 今では彼女が生み出した植物もしっかりとこの地(異世界)に根を下ろし、十分な供給体制が整っているんだって……。


 昼間の街歩きで見かけた見覚えのある食材の数々。

 夕食のシチューに入っていた見慣れた野菜たち。

 そのほとんどが、彼女の仕業だったらしい……。


「はぁ〜、なんか、やりたいほうだいだよねぇ」


 みんな、自由に生きてるなぁ。

 生憎(あいにく)とわたしのスキルは外に直接影響を及ぼすようなものではないけど……。

 それでも、せっかく異世界に来られたんだし、わたしだってもっと自由にやってもいいよね?

 といっても、結局、わたしの思い付くやりたいことって、読書なんだけどね。


ブックマークにお星様⭐︎、いいねなどいただけると、たいへんうれしいです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ