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チート図書館を手に入れた転生女子は、家出王女と冒険者になることにしました  作者: Ryoko


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13、冒険者講習申し込み

 冒険者講習とは何か?

 これは、ノーム王国内で冒険者として活動するために必ず受けなければならない講習で、この講習を修了して合格をもらわないと、ノーム王国内での冒険者資格は得られないというもの。

 期間は10日間で、初回受講時のみ受講料は無料。それで合格がもらえなくて再受講する場合には、受講料が発生するみたい。

 受講期間中はギルド本部にある訓練施設で寝泊まりするので、10日間だけだけど衣食住がタダになる。

 これは、地味にうれしい。

 色々とタダで教えてもらえるっていうのも勿論だけど、勉強中で収入がまったく見込めない期間の生活を保証してもらえるっていうのは大きいよね。

 この世界に慣れるって意味でも、ある程度安全に守ってもらえる環境で、初めの10日間を過ごせるわけだし。

 レイさん、レイちゃん?という知り合いもできたことだし、10日間も一緒なら結構仲良くなれるはず。

 異世界初のお友達ゲットも近いかもしれない。


「なお、問題なければ、お二人の受講は明日からとなりますが……」


「えぇと、大丈夫です」

「私も問題ない」


 よかった〜。

 これで一緒に受講できる。

 やっぱり、一人だと不安だからね。


「ところで、リコ様とレイ様はパーティーを組まれているわけではないですよねぇ?」


「はい」


「失礼ですが、どういったご関係でしょう?」


「あの、たまたま会ったというか……」


「偶然街で知り合ったのだが、聞けばリコ、さんもこれから講習の申し込みに行くというのでな。

 私が同行させてもらった次第だ」


「了解しました。そうしましたら、リコ様とレイ様は各々個人での申込みとなりますね。

 講習開始は明日の朝2刻(午前9時)になります。西の訓練棟に直接お越し下さい。

 明日開講予定のクラスは複数ありますので、入り口で各々のクラスを確認して、指定の教室に向かって下さい」


 えっ!? ちょっと待って!


「あっ、あの、レイさんと一緒に受講したいんですけど……」


「申し訳ありませんが、規則ですので……」


 受付嬢曰く、同じパーティーや家族であれば、冒険者になっても一緒に活動することが前提になるので、受講クラスは同じになるよう配慮されるとのこと。

 でも、それ以外はギルドが受講者個々の現状を踏まえて、適切と思われるクラス分けをしていくんだって。

 年齢や経験、実力が違いすぎても良くないし、他国から来た者と自国で育った者でも、指導に重点を置くポイントは違う。

 例えば14歳で初めて冒険者になるノーム王国出身の新人と、他国ではベテラン冒険者という評価の大樹海初挑戦組では、当然注意する点も違ってくる。

 大樹海、そしてノーム王国で問題なく冒険者をするための基本ルールを教えるという点は同じでも、それ以外はクラスや担当教官によって、講習内容はだいぶ異なるみたい。


 レイさんは既に剣や魔法の心得もあるみたいだし、王都出身の自国民。

 対してわたしは年齢こそ高いものの、戦闘未経験者で辺境(異世界)出身。

 これは、同じクラスになるのは難しいかも……。

 まぁ、たとえクラスが別々でも講習会場は一緒だし、日程も同じだから、困ったら相談するくらいのことはできる……よね?

 

 色々と心配だけど、ともあれ、講習の申し込みも無事に終わった。

 あとは今夜泊まる宿を確保すれば、今日のミッションはコンプリートだ。



「あの、レイさん。もしよかったら、この後、どこかでお茶でもどうですか?」


 明日また会えるかもしれないけど、ここでまた一人になるのもちょっと不安で、勇気を出してレイさんをお茶に誘ってみたんだけど……。


「あぁ、すまない。これから少々予定があるのだ。今度また誘ってくれるとうれしい。

 あと、私のことはレイと呼び捨てで呼んでほしい。敬語も必要ないよ。

 そのぉ、ずっと年下だと思っていて、申し訳なかった」


「あっ、いえ、気にしないで下さい。

 わたしもずっとレイ、は年上だと思っていたから……。

 あと、わたしのこともリコって呼び捨てで、その、いいので。

 明日からの講習、よろしくお願いします」


「うん、こちらこそよろしく」



 冒険者ギルドの前でレイと別れたわたしは、ぶらぶらと街を散策しながらガイドブックにあったお薦めの宿を目指すことにした。

 またひとりになってしまったことに若干の心細さは感じるけど、知らない異国の街を散策するのは海外旅行みたいで純粋に楽しい。

 海外どころか異世界だけどね。

 最初に来たときは言葉が全く分からなくて、とにかくびくびくしていたけど……。

 今ではふつうに言葉も通じるから、異国情緒を味わいつつも感覚的には国内旅行に近いかも。

 全体に石造りの建物が多くて、大体2,3階建てくらいのものが多い。

 エデンの街を囲む高い城壁が、ここからでも遥か遠くに見える。

 あまり高い建物は見当たらないけど、街自体はかなり大きいよね。

 通りにはしっかりとした店構えの商店が並んでいるし、街中に点在する大小多くの広場では、様々な露店市も開かれている。

 さすが冒険者の街というか、武器やら防具やらを扱う店も多い。

 あとは、薬とかポーションとかを売っている店もあった。

 薬とポーションの違いは、単純に効き目の問題が一つ。勿論、ポーションの方が断然強力で効きも早い。

 でも、最大の違いは、ポーションは聖都の教会でしか作れないってところ。

 特別な製法で作られるポーションは聖都にある教会の独占販売で、このポーション欲しさに大樹海を越えて聖都を訪れる商人も多いみたい。

 一般的で数も多い下級ポーションはエデンでも買えるけど、希少な上級ポーションなんかは聖都以外ではまず手に入らないんだって。

 だから、聖都を目指す人はそれなりに多くて、その護衛依頼もエデンでは多いとのこと。

 うまくできてるよね。

 ポーション以外にも、やっぱり他国では希少な魔道具を買うために魔工都市を目指す商人なんかも多いから、そっちの護衛依頼もかなりの数になる。

 大森林でしか採れない魔物素材や希少植物をエデンに買付に来る商人も多いし、本当にこの街は冒険者で成り立っているんだと実感できるね。


 そんなことを考えながら異世界初の街歩きを楽しみつつ、わたしはガイドブックにあった目的の宿に到着した。

 値段は夕食付きで銅貨8枚。

 相場よりもちょっと高めだけど、ガイドブックによると、ここの宿は掃除も行き届いていて清潔で、何よりお風呂があるんだって!

 エデンの街は上下水道もしっかり整備されていて、商店や中流家庭以上の家なら大体水道も完備されているとのこと。

 ただし、お湯が出るかというと、それは話が別みたいで……。

 銅貨(1万円以下)で泊まれる宿でお風呂が付いているところは希少とのこと。

 風呂好きの日本人にはお薦めの宿ってガイドブックに書いてあった。

 よくよく考えてみると、もう随分長いことお風呂に入っていない気がする。

 いや、別に臭くないよ!

 大体、ずっと図書館にいたってだけで、エデン(こちら)にいる時間だと……あれ? まだ、一日も経ってない?

 なんか、この調子で図書館を使ってると、時間の感覚が大変なことになってしまう気が……。


 例のごとく宿の受付で保護者はどこだとか少々揉めはしたけど、なんとか無事チェックインもできて、わたしは久々のちゃんとした食事と温かいお風呂を満喫した。


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