82話 双剣にあこがれて
「いやぁ、負けるなんて思ってもいなかったよ。僕はリク。よろしく」
「アリスです。リクさんの剣さばきも凄かったですよ」
お互いに握手しあって挨拶をする。リクさんは20代前半の色白の青年だ。
「おれは、ランドだ。彼女の水魔法はここらじゃ見ない強さがあるな。だが、動きに関してはまだまだだな」
「あら、そうなの?それと私はマリンよ」
マリンと主に戦っていたのはランドさんで、日に焼けたであろう黒い肌がきれいな青年だ。
「ああー、それじゃあ俺たちはこれで失礼するよ。依頼もこれで終わったことだし…」
「あ、あの!」
私は彼らを呼び止めていた。滅多にこんなことをすることは無いが、双剣のことをもっと聞きたいと思ってしまったのだ。
「私に、双剣の使い方を教えて頂けませんか!」
「ア。アリスちゃんが双剣を?ま、まあ、ショートソードを振るってるぐらいだからおかしいことではないか…」
リクさんが気前よく教えてくれることになったので、私は訓練場に置いてあった木剣を両手に持って準備する。
「まずは、剣の形からだ。長さはショートソードとほとんど変わらないが、物によっては少しだけ刃が反り返っているものがある。それは通常の持ち方で使用するのではなく逆手にもって使うことに特化したものだから、買うときは注意するんだぞ」
「よし、特殊なのは置いておいて、まずは双剣の強みはわかるかい?」
「攻撃速度が早いのと、攻撃頻度が多いことですか?」
「そうだ。剣一本で繰り出せる攻撃数は限られるが、二本になればそのぶん数は増える。だが、片手で振るうということはロングソードなんかと比べると振る力がかなり劣ることにもなる。それに大きい力に対しての防御にも不向きだ。だから双剣の場合は如何に相手に攻撃させる隙を作らないかが重要になるんだ」
なるほど、だから模擬試合の時はこちらが反撃できないぐらいの勢いで攻撃を仕掛けてきていたのか。
「防御に関しては…かなり大変な部分が多い。なにせ相手の攻撃を片手で受け止めることが多くなるから力負けを起こすことがよくあるんだ。魔法攻撃なら素早く斬れるから問題はないが、大剣や大斧からの攻撃を受け止めようものなら腕ごと持っていかれるのがオチだ」
やはり、短剣と同様に防御には向かないのか。それでも攻撃を受け流したり弾き返したりすることができるのは強みだろうか。
「とりあえず、攻撃からやってみるか?動きは見せてあげるから真似してみるといい」
リクさんの動きをよく見て真似をする。両手を動かすだけのように見えていたが、案外かなり難しい動きだということを思い知らされる。
「そこ、左手が動いてないよ。両手を別々に動かすんじゃなくて流れるように動かさないと。」
「そんな動きだと早く動いたときに自分の腕を切ってしまうよ。もう一度!」
今までショートソードを振るってきただけあってどうしても直線的な動きになってしまう。特に両手で持っていたので、どうしても片手の動きが止まってしまうのはどうにかしないといけない。
そんな中ぼーっと私たちの訓練を見てるマリンに目が留まる。いや、自分が剣を使わないからってぼーっとしすぎでは?
「マリン!あなたも一緒に訓練しないさい!水の剣を作ってから私の練習に付き合うとかしなさいよ!」
「ええ?ええ。見てるだけで飽きてきたところだし、やってあげるわよ」
なんでこの人は上から目線なのか…まあ、練習に付き合ってくれるからまだましなのか。
それからリクとランドによって私たちはみっちりと双剣の動きを叩き込まれたのであった。




