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5話 防御の構え

剣を振る描写なんか書いたことないので、残念な感じなのはお許しを。


 妹であるアイリスが生まれてから一年が経った。すでに私は8歳にもなる。

 今日もいつも通り訓練場で剣の稽古の予定である。


「エイリス様はいらっしゃるか?」


 騎士団長であるハリスが大声で私の名を呼ぶ。同じ部屋にいるのだからそこまで声を出さなくてもと思うのは私だけだろうか。


「はい!こちらに!」


 こちらも声を張って答えてみる。なんとなくである。なにも張り合おうとかは思ってはいない。


「おお、そこにいらしたか。今日からは剣の型をお教えしますぞ!」

「型ですか?」

「ええ、今までは相手の攻撃の躱し方、剣の受け止め方をお教えしてましたが、そろそろ型も学ぶべきかと」


 さっと木剣を渡される。それを両手で握り前に構える。団長も木剣を受け取り、構えている。


「よし、それではエイリスには防御の型を教えようと思う」

「防御…ですか」

「そうだ、エリス様のように攻撃的な剣の振り方ではないし、有事の時はエリス様が真っ先に先頭に出そうですからな。」

「まずは、基本の持ち方からだ。剣は前に出さずに体の近くで構えるんだ」


 腕を引き締めて前に出していた剣を近くに寄せる。


「この型はとにかく相手の攻撃を受けるか受け流すかに特化している。剣が縦に振られたら横に持って受け止める、または斜めに持って左右に受け流す」


 団長が動きを見せてくれる。剣を動かす腕に無駄がない。


「横からの薙ぎ払いは、上に勢いを逃がすか、全身で受け止める!突きや牽制には相手の剣を弾いてやるんだ!」


 なんか、団長の動きが速くなってきている。これは、勢いに乗ったところで私に向かってくる感じだと察しが付く。


「いいか、攻撃しようとは考えるなよ。それ!受け流してみろ!」


 そういうと団長はいきなり突きを繰り出してきた。後ろに下がりながら突き出された剣を左に弾き返す。

 団長は弾き返された反動を利用して、上からの縦斬りを繰り出す。それを剣を横にし受け止める。


「いいぞ!いいぞ!動きは最小限にすることを意識するんだ!振りが大きくなればなるほど隙ができるからな!」


 押し付けられていた剣が離され体がふわっと前に出かかる。瞬時に横斬りが見えたので腕を左に引きながら受け止める。

 じりじりと押し込まれる、腕に力を入れながら後ろに下がろうとする。それを団長は見逃さないのはわかっている。追撃するように左下から勢いよく木剣が斬り上げられる。


 ガンッ ドスッ


 受け止めようとしたが衝撃に耐えられずによろめいてしまう。とっさに後ろに飛び退こうとしたが、そこには壁があった。

 まずい!と思ったが最後。腹を狙うように右から剣が振られる。腕が上がった状態で引こうに引けない、剣を回して受け止めるのは間に合わない、そんな状態で脇腹に木剣が振り込まれる。


 ゴスッ


「うぐっ!」


 脇腹に来る衝撃を和らげるために横に倒れる。しかし木剣といえども本気で打ち込まれたらものすごく痛い。


「ふむ。中々でしたよエイリス様。しかし、剣にばかり集中してはいけませんな。相手の攻撃を受け止めるパターンを身に着けると、周りを見る余裕も生まれてくるでしょう。さあ、もう一度やりますよ!」


 痛みに耐えながら頑張って立ち上がる。ちらっとアイリスの方を見ると侍女に抱えられながら口をあけてこちらを見ている。妹の前で格好悪いところは見せられないので気合を入れなおす。


 カンッ コンッ


 こんどは型を練習できるようにか、団長は踏み込んでこない。上下左右、時には斜めから剣が打ち込まれていく。しっかりと見極めながら受け流していく。


「慣れてきたようだな!それでは早く打っていくぞ!」


 急に打ち込みの速度が上がると、受け流す余裕がなくなってきた。受け止めるので精一杯で腕がだんだん疲れてきている。


「その顔は腕が痺れてきている顔だな!そうだこの型の弱点は強い攻撃を受け止めれば受け止めるほど不利になっていく。そのまえに決着をつける必要がある!」


 キンッ ドスッ ドスッ ゴスッ


 腕を動かそうとした結果大振りになってしまう。そこに、突きからの横斬り、縦斬りを体に叩き込まれる。

 いくら身体を鍛えているからと言ってもまだ8歳、あまりの激痛に息ができなくなる。いや、意識も少し飛んでいたのかもしれない。私は気が付くと床に倒れていたのだ。

 何とかよろよろと立ち上がると、目の前にばつが悪そうしているハリスがいた。


「その…すまなかった。つい勢いでやってしまった…」

「い…いえ… 私もまだ訓練不足でしたし…」

「そう…だな。実際の戦闘は殺すか殺されるかの世界だから、今みたいになったら確実に死が待っている。そうならない様に俺がきちんと鍛え上げるからな」

「はい。よろしくお願いします」


 今日は本当の戦いに少しだけ触れられたような気がした。だけど、本当に本当の戦いを経験することがこの私の人生であるのだろうか…

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