39話 キノコと薬草
深緑の森編スタートです。
とは言っても、彷徨うだけですが。
騎士団から逃げるように森に入ったのはいいものの、すでにお腹が減ってしょうがない。露店で何か買っておけばよかったと少し後悔しているところである。
しかしこのまま空腹のままでいる訳にもいかないので、お腹に入りそうなものを探す。
というか、こういう時に限って動物や魔獣が見つからない、出てこない。なんで?
仕方ないのでそこらへんに生えている草かキノコを採ることにする。
ただ、集めている間にあることに気が付く。これはどう調理すればいいのか?
いや、今まで自分で料理なんてしたことがないのに加えて、料理器具すら無いとなると… 生で食べるとかしか考えつかない。
森を彷徨いながらキノコを集めていく。集めたキノコは空間に保存してある箱に詰めては箱ごとしまって保存していく。
中には触ってはいけないキノコも生えているので注意する。
ちなみに知識自体は冒険者ギルドに置いてあった野営基本図鑑で得たものだ。
普通に生活していたらキノコの見分け方なんて知らなかったであろう。ありがとう冒険者ギルド。
ヘロヘロになりながらもかなりの数のキノコを集めることができた。スライムが出てこないだけまだ平和なキノコ狩りだったともいえる。
そしてあることに気が付く。調理用の火を維持するための木の枝を一緒に集めておけばよかったと。
森の中なんだから枝なんかいっぱい落ちているだろうと考えていたのだが、改めて探すと使えそうな木の枝は落ちていないのだ。
仕方なく木の枝と石を探してまた彷徨う。幸いにも魔法使いである私には水の心配はないのでいくらでも彷徨っていられるのだ。
十分な石と木の枝を集め終わる頃には日が傾き始めていた。日が傾くといっても森の中は薄暗くなっていくだけなのだが。
適当に空いている場所に石を円状に並べてその中心に枝を置く。
そして杖を取り出して火魔法を唱える。
「火よ。燃え移れ。」
ぱっと火がついて枝が燃えていく。腰を下ろして火を見つめる。
って見つめている場合ではない。採ってきたキノコを出して焼こうとするが、手で持って焼くわけにはいかない。
なので木の枝に刺して火に当てる。ほど良く焼けたアツアツのキノコを口にする。
熱い、でもおいしい。が、お腹には溜まらない。
一個ずつ焼いていたら夜が明けてしまいそうなので、数本の枝に対して数個ずつキノコを刺し、キノコとの間にいい香りのするハーブも差し込む。
でないと、キノコだけの味だけでは飽きてきそうだったからだ。
焼けてきた物から順に食べていく。少し焦げた物もあるがそれもまたいい味である。ただ、次回はほかの種類のキノコを混ぜてもいいかもしれない。一種類はさすがに飽きてくる。
まずまずの夕飯のことは置いておいて、今度は寝るところを確保しにかかる。
とはいっても木に寄りかかるだけなので、地面を土魔法で均すだけなのだが。
ちらちらと燃えている焚火を見ながら物思いにふける。
こんな感じで果たしてクロプ町までたどり着けるのだろうか。
この森で騎士団を襲ったという青い髪の子に出会うことがあるのだろうか。
そもそも、この森から出られるのだろうか。
不安しかないが、考え込んでいたらそのまま夢の世界へと誘われていた。




