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35話 大ネズミと数の暴力

カオス。

 警戒して進むこと数分。横にいる魔法使いの女の人がガインさんに話しかけた。


「あの、私は具体的に何をすればいいのでしょうか」

「ん?そうだな、ビッグスティンキーマウスは普通のマウスとは違って皮膚が固いから魔法は効きにくい… 戦闘の補助がメインになるかな」

「補助ですか… 分かりました」


 いや、魔法を使って補助ってどういうことだ?今まで一人でしか戦っていないから集団戦はさっぱり想像ができない。


 補助について悩みながら歩いていると、遠くから音が響いてくる。何かが走る音、それを追い立てるような声。それが前から聞こえてくる。

 じっと止まっていると音が小さくなっていく。通路のどこかで曲がったのだろうか。


 先に進むと十字路が見えてくる。さっきの人たちはここを曲がったのだろう。


「まて、水の中にいるぞ」


 緊張した声でガインさんが警告をする。十字路の中心をよく見ると何かの鼻らしきものが浮き出ている。

 あれがビッグスティンキーマウスの鼻だろうか。というか臭いがかなりきつくなってきている。


 ザバアァァァン


 3メートルはあろう巨体が汚水の中から現れる。それと同時に汚水の飛沫が大量にこちらに飛んでくる。

 キーと大声で叫んだかと思うと前歯を開いてこちらに突進をしてくる。


「おい!突っ込んでくるぞ!」


 後ろにいる剣士が見れば分かることを叫ぶ。叫ぶ余裕があるなら、後ろに走るとかすればいいのに。


「風よ!つ… う!えっほ、おへぇ」


 魔法を詠唱しようとしたが。あまりの臭さに胸が(つか)えてしまった。これではまともに攻撃ができないではないか。


「これでも食らいやがれ!」


 ガインさんは小さいナイフを手に持つと、それを勢いよくマウスに向かって投げつける。

 投げられたナイフはきれいに一直線に飛んでいくと、マウスの目に刺さる。

 片目をやられたマウスはその場で暴れまわり、背を向けて走り出す。ここで深追いするような勇気ある者はここには居なかった。


 ほっとして横を見ると、もう一人の魔法使いの女の人は泣き顔で床にペタンと座っていた。下半身の服の部分がかなり濡れてしまっているが、飛んできた汚水がかかったのだろう。まあ、かなりの水を被ったことには同情する。嫌だよね。


 一行は逃げたマウスを追って先に進む。が、目の前に見えるのはこちらに走ってくる冒険者達だ。


「逃げろ!逃げろ!逃げろおおお!」


 キーキーチューチューという轟音がその後ろから聞こえてくる。って言っている場合ではない。この数相手は無理だ!

 180度振り返り全力で走っていると、目の前の十字路を一匹のビッグスティンキーマウスが駆け抜けていく。それに続けて冒険者も駆け抜けていく。

 私達はその冒険者を追うようにして逃げながら追いかける。


 地下通路の中は襲われる冒険者、襲うマウス、それを襲う冒険者、またそれを狙うマウスの集団で混沌の極みとなっていた。

 マウスの群れは少しずつだが数を減らしていっているが、冒険者たちも走り疲れ始めている。


 そして私たち冒険者は逃げ続けた結果、一同が同じところに集結することになった。

 いや、マウスを追い詰めるはずが、何故か我々が追い詰められてしまったのだ。


 奥からマウスの群れが四方からゆっくりと歩いてくる。まるで我々が逃げられないことを知っているようだ。


「なあ。こいつ等ってこんなに頭良かったか?」

「さあな。それよりもこれ、どうすんだ…」


 ここに集まった冒険者20人程、それに対しマウスの群れ百数十匹。

 勝てる気がしないのは私だけだろうか…

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