26話 スライムは強い
誰だスライムは最強種と言った人は。
まあ、実際現実にいたら勝てそうにないですけど。
ぽたっ… ぽたっ…
森でお昼ご飯を食べていたら木の後ろから何やら音が聞こえてくる。
水を飲んでから立ち上がって確認をする。何かしらの魔獣だったら逃げなければいけないからだ。
そーっと覗き込むと水色の液体が上から垂れてきているのが見えた。見上げるとそこには青い何かが木の枝にへばり付いていた。
背筋が凍るような感覚を覚える。分かる。これは逃げないといけない。
ぼちゃ ぼちゃ
二つの青い塊が落ちてくる。大きさは手のひら程度だが、ぐにゃぐにゃと動きながらこちらに近づいてくる。
とても気持ち悪い。あんな軟体生物に剣の斬撃なんぞ効くわけがなさそうなので杖を取りだす。
そして構えながら後ろに下がっていく。隙を見て逃げ出せればいいのだが。
一匹が小さくなったかと思ったら空中に飛び上がった。すかさず風魔法で応戦する。
「風よ!狙い撃て!」
風の矢が青い塊に命中する。命中したのはいいものの、青い液体が体に降りかかる。
周りに飛び散った液体の一つが動き始める。体の中心に当てたはずなのに死んでいないみたいだ。
すかさず右足で踏みつける、が相手は体を平ぺったくし踏みつけにくくしてくる。
気を逸らしていたもう一匹が、液体を私の足に向かって放ってくる。
私の動きを封じ込めようとしているようだが、そうはいかない。足に力を入れて引き抜き後ろに下がる。
そしてそのまま体が小さくなった塊に対して風魔法を畳みかけていく。
「風よ!切り裂け!風よ!押しつぶせ!」
ちりぢりになった液体は動きそうにない。どうやら一匹目は倒せたようだ。
安心したのも束の間、どこからともなく追加で二匹現れる。
相手は私が仲間を倒したからなのか、体をぷるぷる震わせて威嚇している。
威嚇してくる二匹に対して風の矢で攻撃をするが、横に飛び跳ねられて避けられてしまう。
仕方がないので今度は土の魔法で地面から攻撃してみる。
「土よ。下から突き刺せ!」
青い塊の中心がえぐられる様に土の槍が突き刺さる。確実に中心に刺さっているのに何故か動いている。まだ生きているのだ!
生きていることに気づいた時にはもう遅かった。相手は私の土魔法の勢いを利用して飛びかかってきたのだ。
そしてそれを避けようとする私を妨害するものが右足に引っ付いていた。
右足で踏みつけたはずのそれは、ふくらはぎのところまで液を伸ばし強い力で締め付けてくる。
よろめいて背中から倒れた私の腕に、飛びかかってきた相手は覆いかぶさるように着地して青い液体を伸ばしてくる。
伸びる範囲が広まるほど締め付けてくる力が強くなってくる。手に持っていた杖は痛みでもうとっくに手放してしまっていた。
自分に向けてアースニードルを撃ち込むことも、ウィンドカッターで切り裂くこともできない。
だが、服の中に入った液は足からふとももへ、腕から胸と腹へ、そして最後には首にまで伸びてくる勢いである。
全身を締め付けられて呼吸も苦しくなる。
ここまで来たらもう自滅覚悟で魔法を使用するしかない。
纏わりついている液体を媒体にして、空間魔法で着ている服だけをしまう。
その間にも首に到達した液が喉を締め上げる。
「…ひ…よ。もやし…つく…せ!」
私を覆っているものに火が付く。いや自分の体に火がついているのだろうか。
熱い、苦しい、と感じながら気が遠くなる中、最後に見たものはめらめらと燃えていく青い魔物の姿であった。
下着は脱がないのかって?
謎の光魔法が発動してしまうし、色々とダメなので下着は燃えないのだ。




