21話 試し斬り
善良な私「少し文が雑じゃない?」
面倒くさがりな私「気にするな!」
昨日の模擬試合から一夜明け、目を覚ます。矢を受けた背中に少し痛みが残っているが大した問題ではない。
結局あの後、倒れたDランクパーティーはギルドの休憩室に連れていかれ、私は魔獣ではない中型イノシシ討伐の依頼を受け取ったのであった。
てなわけで、ギルドには行かず直接西の林へと直行する。もちろん街中で、狩ったイノシシを入れる用の大きめの箱2つと昼食は忘れずに買っておいた。
暫し歩いて西の林に着いた。ここは前に大型イノシシと戦った場所でもある。今はあの大きさの魔獣が出てこないことを祈っている。なぜなら、あんなものとは望んで戦いたくないからだ。
周りを見渡しながら中型イノシシを探して歩く。途中でシカらしき動物を見かけるが私の気配を察知してすぐに逃げてしまう。
奥に進んでいくとまばらだった木々がだんだんと密度を増してきた。これはもう森と呼んでいいのではないだろうか。
フンッ フンッ
荒い鼻音がしてくる。木の後ろから覗き込むと奥のほうに小さめのイノシシがいた。小さめと言ってもあの大型に比べたらの話だが。
突然イノシシがこちらを凝視してくる。まるで私がここに居るのを知っているかのようだ。
………………
じーっとお互いに睨みあうこと10秒程、私が少し目を逸らした瞬間にイノシシが突っ込んできた。
このまま木の後ろで待機してもいいのだが、今日は新しく買ったショートソードの試し斬りも兼ねている。なので空間から剣を取り出し、前に出て構える。
ダダッ ダダッ ダダッ
かなりの速度で迫ってくるが焦らずに待つ。案としては相手の足を斬りながら横に避けるつもりだ。
「はぁ!やぁ!」
スパッっと足を斬っていく。この中型イノシシは横に飛び跳ねるということはしなかった。あれは魔獣特有の動きなのだろうか。
後ろ足を斬られたイノシシはよたよたと回りながらこちらを威嚇してくる。
今度はこちらからから詰め寄る。後ろに下がれないイノシシは回りながら必至の抵抗をしてくる。
「えい!」
首を目掛けて剣を振るうが中々うまく行かない。相手が動き回っているし、ショートソードの長さに慣れていないのも原因である。
「はっ!せいっ!」
斬りかかること数回。ようやく首に剣が当たって相手が倒れる。
動物を狩るのなら魔法のほうが楽だという結論に至ったのであった。
倒した後だが解体師に習ったように血抜きを始める。直ぐに始めることが大切らしい。何故かは知らないが。
少し早いが血が抜けるまでの間に昼食を済ましておく。今日はパンと野菜のサンドウィッチだ。
血抜きが終わったら街で買ったデカい箱を取り出して、中に詰めていく。そして空間魔法で箱ごとしまえば依頼完了である。
立ち去ろうとしたが、魔獣の雰囲気を感じ取ったので剣を構えて備える。
どこからともなく3体のシカの様なものが現れる。が、どうもこのシカはおかしい。時々二本足で立ち上がるのだ。
威圧する様に私の周りをぐるぐると歩いていたが、突然突進してきた。
「ちょ!えいっ!」
それぞれが頭に付いている角で私を刺し殺そうとしてくるのを必死に避ける。そしてお尻に剣先をお見舞いする。
しかし、お尻に傷をつけてもしょうがない。倒すならば首か心臓かそれとも腹の部分を斬らないといけない。
私が傷つけたからか相手も少し突進するのを躊躇しているように見える。と思ったのは間違いだった。風が吹き荒れ始めたのだ。
風魔法の厄介なところは形が見えないことだ。現に私のお腹と背中にかなりの大きさの風の塊が押し付けられている。
「くっ!このっ!」
今にも身体が押しつぶされそうな勢いで風が押し付けられている。どうにかして切り抜けねばこのまま圧死してしまいそうだ。
だが、今持っているのは剣である。魔法は使えない。
「そりゃああ!…うわぁぁぁ!」
腕の力だけでお腹に当たっている風の魔法を剣で叩き切る。それと同時に前からの風の力がなくなったことにより、後ろからの風に押されて前に吹き飛ばされるように倒れる。
ちなみに、魔法は剣とかで斬ることができるが、王宮で習った限りでは斬れる種類がある。火や水、風は斬れるが、土は斬るよりも叩き壊すに近いらしい。
倒れた私を見て一体のシカが走ってくる。踏みつけるつもりだろうがそうはいかない。
「土よ!硬くなり飛んでいけ!」
左手で杖を掴み土の弾を飛ばす。シカが土の塊に怯んだ隙に立ち上がる。
逃げようとするシカの腹に向かって剣を突き刺す。内臓を破っていく感覚が手に伝わってくるが怯まずに差し込んでいく。
シカの魔獣が悲痛な鳴き声を上げる。相手がかなりの力で暴れてきたので刺した剣を思いっきり引き抜く。
剣が引き抜けるのと同時に血飛沫が自分にかかる。これも剣を使うときに気を付けないといけないことみたいだ。
腹に大きな刺し傷ができたシカはその場で倒れこむと、他の二体は背を向けて物凄い速さで逃げ出してしまった。
私はそのまま息絶え絶えになっているシカに止めを刺す。
中々に怖いシカだったが試し斬りには丁度良かったのではないだろうか。振る際に腕が伸びて体が前に出てしまっているので、もう少しショートソードの長さの感覚に慣れる必要があるが、問題ではないだろう。
この後、私はシカの下処理を済ませて街に戻ったのであった。




