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16話 荷運び依頼

ゆったりと依頼回2回目。

 昨日はギルドに依頼達成報告をした後、昼食兼夕食を宿で食べたぐらいで記憶がなくなっている。

 相当に疲れていたのか、あられもない格好で寝ていたらしく髪もボサボサである。

 水魔法で髪を濡らし風魔法で整える。初めてにしてはうまくいったので嬉しくなる。


 ギルドに着くと相変わらず人でごった返しているので、私は反対側のテーブルで人が引くのを待つ。


 人が引いた後、ボードを確認するとそこに荷運びの依頼があった。商会内での荷物運びをお願いしたいらしい。

 私は紙を取ってから目的の場所を目指して歩き始める。


 依頼書に書いてある地図を見ながら街の東側に歩くと、そこは私を乗せてくれたあの商人の商会前だった。

 建物の中に恐る恐る入っていくと、中には店先に置いてある以上に様々な品物が並べられてあった。

 食料品に日用雑貨やアクセサリーなどが目につく。


「すいません。冒険者ギルドで荷運びの依頼を受けたのですが…」

「あら、えーと… あなたが受けてくれたのね。でも、大丈夫かしら…」


 カウンターにいた女性は私のことを見ると少し困ったような顔をしてくる。


「まあいいわ。そこの階段から二階に行ってもらえるかしら。やることは男達に聞いてね」

「はい。わかりました」


 というわけで、二階に着いた。どうやら改装を行っているようで、男の人たちが物を三階へと移動していた。


「ん?お嬢ちゃんが何の用だ?まだ改装中だぞ」

「あの、ギルドから依頼を受けた者なんですけど…」

「お前さんがか?ん、でも杖を持ってるということは空間使いか!おーいお前ら!予定変更だ!」


 キャロルさんも言っていたが、どうやら空間魔法使いはかなり貴重らしい。街を歩いていても使っている人を見かけることがないのだ。


「よし、お前は物を階段元まで運びまくれ。他の奴らは三階に行って運ばれた物を整理しろ。そしてお嬢ちゃんは三階から魔法で物をどんどん移動してくれ!」


 男達が動き始めるのに合わせて私も準備する。

 階段下に運ばれた荷物をしっかりと記憶してから空間魔法で一旦しまう。そして三階の空いている場所にしまった荷物を出していく。

 これの繰り返しだが、荷物がかなり多い。とても大変な一日になりそうだ。


 作業すること二時間。ようやく二階にあった荷物は全部移動できたみたいだ。

 私は集中して疲れたので近くにあった椅子に腰かけている。そしてお腹が空いてきてもいる。

 それを察知したのかどうなのか、下から良い匂いがしてくる。


「お待たせ!昼飯の時間だよ!」

「お!待ってたぜ!今日もうまそうだぜ!」


 商会の人間だろうか。おばちゃんがパンに野菜と肉をたっぷり詰め込んだものを机の上に置いていく。その横に冷たい水が入った樽も置かれる。

 私もパンと水を手に取って椅子に座る。


 作業を一緒にしていた男の人が話しかけてくる。


「なぁ。どうして食べもんは歩いて取りに行ったんだ?その空間魔法で持ってくればいいだろ?」

「…えっと、水とかお料理みたいに形が変わるものはしまうことはできますけど、取り出せないんです」

「ん?でも、あんたさっき液体入りの箱移動していたじゃんか」

「…え。えええぇぇ!」


 かなり驚いてしまった。今まで水は運べないと思っていたからだ。もしかすると完全に想像できていなくても外装だけでも想像できれば取り出せるのでは。

 試しに今手に持っている水入りコップを小さい箱に入れて魔法をかける。そして取り出す。


 成功した。中のコップと水もそのままである。


 嬉しくて顔をキラキラさせてしまったが、みんなの前なのを思い出して恥ずかしくなる。

 だがこれで箱さえあれば食べ物も持ち運べるのはかなりでかい。


 心の内で喜びながらお昼ご飯を食べ終える。そして目の前にある整理されていない物を移動する仕事に取り掛かった。


 ◇◇◇


「あぁー!終わったぞ!」

「疲れたぜ。帰ったらすぐに風呂と夕飯だ!」

「俺はすぐにでも酒を飲むぜ!」

「まったく… 店のカウンターの目の前で騒がないでください」


 仕事が終わって一階の受付のお姉さんに依頼完了サインをもらいに来ている。


「はい。依頼完了よ。あいつらが言うように少し多めに報酬を付けておくわね。」

「えっ。いいんですか?」

「いいのよ。空間魔法使いは珍しいし、おかげでこちらも経費削減できたんだから」


 報酬である銀貨2枚を貰って商会を後にする。

 今日は少し贅沢して湯浴み用の桶を宿屋で借りようかなと思いつく。宿屋に帰ってからが楽しみだ。

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