第71話 シバの力
戦士たちは、宮殿の中を走る者、飛ぶ者がいるが全員シバを目指す。宮殿の柱から雷が走り、戦士を焼いて行く。それでも進む足を止めない。
雷撃をかわしながらシバに迫って行く。薄い赤色の髪の少女が一番乗りである。彼女は、剣に魔力をのせ、走り込んだ俊足のまま切り込む。
シバは全身を硬いシールドで覆っているため、剣は届かない戦士たちの戦いに参加したサイーシヤが叫ぶ。
「アルム、タイミングをあわせて」
サイーシヤは巨大な氷の槍を作るとそれを2メートル位のサイズに圧縮し、シバに投げつける。彼女は叫ぶ。
「今よ、アルム」
同時にアルムと呼ばれた少女は、氷の槍を投げつけた所に剣で突きを入れる。剣は、シバのシールドを突き破る。少女の剣がシバに届く。
シバは、剣を素手で掴むと剣を少女ごと投げ飛ばす。彼は力の差を見せつける。
そのシバの腕に鎖が巻き付く。そして、他の手足にも鎖が巻き付く。4人の戦士が魔力で作った鎖を引きシバを動けないようにする。
黒髪の身長2メートルはある大男が大剣に魔力を乗せシバの右肩から心臓に向けて大剣を振り下ろす。
シバは笑う、剣は肩の上で止まっている。その時、サイーシヤは大男に声をかける。
「ティグラト離れて」
サイーシヤはシバへの一撃を用意していた。空中にいるサイーシヤは左手を上げ、2枚の魔法陣を掲げている。その魔法陣の間では密度の高い魔力が薄い円盤状になって回転し、雷光を放っている。
ティグラトが離れた瞬間、シバに向けて放たれる。シバは首にそれをうけて、頭が落ちる。
しかし、シバの気配は消えない、鎖につながれ動けないはずのシバは落ちた頭を拾い上げ首に乗せる。鎖の拘束は意味を成していない。シバは、落ち着いた声で言う。
「そろそろ飽きてきたな。」
シバは、魔力を体に集中させる、体をつないでいた鎖がはじけ飛ぶ。さらに集中させた魔力を開放する。付近にいた戦士たちは吹き飛ばされる。
俺たちはシバの圧倒的な力を見せつけられる。シバの力が無限であるかのように感じさせる。
本当に無限の力を持っていたら俺たちに勝ち目はないだろう。しかし、圧倒的な存在感を見せていた宮殿は、陽炎のように揺らぎ始めている。
シバの力は無限ではないのだ。彼はこの戦いの中で明らかに消耗している。俺たちの攻撃は少しづつ、シバを追い詰め始めている。