第65話 魔族フェネクス
俺は、拳銃オルカルで魔力弾をフェネクスに5発撃ちこむ。フェネクスは避けもしない、シールドも硬そうである。
さらに魔剣マノーブルに魔力をのせ、密度を濃く硬く研ぎ澄ませてフェネクスに切りつける。初めてフェネクスのシールドにひびが入る。
するとフェネクスは目の前から姿を消す。俺は感を頼りに体を反らせる、前方のビルが斜めに切れ上部がずり落ち崩れる。
奴は、背後から斬撃を繰り出したに違いない。ビルを切るとはかなりの威力がある。
気配を頼りに魔力弾から作った魔弾を打ち込む、手ごたえはあったが無傷であろう。
ドニィーシャとサイーシヤが到着する。俺は2人に状況を説明する。
「フェネクスは気配を殺して隠れている。」
サイーシヤはうなづくと付近を凍らせ始めた。極低温の領域である触れれば氷の彫像になるだろう。実際、運悪く居合わせた人が何人か氷漬けになる。
フェネクスが動く、同時にドニィーシャが切りつける。シールドは切り裂いたが浅い傷をつけただけである。ほぼ同時に俺がマノーブルで正面から切りつける。フェネクスは後ろに下がって避ける。
俺の斬撃はシールドを切り裂き奴の左手を切り落とす。
フェネクスが下がった先には、サイーシヤが待ち構えている。彼女は魔力の剣で切りかかる。負傷した左腕に魔力を集中させたフェネクスが剣を受けると後ろからドニィーシャが背中を切りつける。
3人でフェネクスに反撃の機会を与えないようにしているが防御が硬く致命傷に至らない。奴は俺たちの攻撃を受けながら体の中に魔力を集中させている。
俺はそれに感づいているが、なにをするのか分からない。俺も自分の放出した魔力を集め収束させる。俺たちの攻撃は続きフェネクスを傷だらけにしていく。
その時、フェネクスは体の中に集中した巨大な魔力を開放、いや爆発させる。付近の建物は吹き飛び、俺、ドニィーシャ、サイーシヤも爆発に巻き込まれる。
俺は、魔力を爆発させ無防備になったフェネクスを狙った。吹き飛ばされながら、収束しておいた魔力をコントロールし、奴に撃ち込んだ。収束した魔力は奴のシールドを破り爆発し、奴を吹き飛ばす。
俺とドニィーシャ、サイーシヤは無事を確認し合う。俺たちは幸い無傷だった。しかし、フェネクスは体がズタズタになり絶命していた。
ドニィーシャが
「陛下、お見事です。」
とフェネクスにどめを刺したことを満足そうに言う。
しかし、直径100メートル位の爆心地のような跡ができている。被害はさらに広範囲に広がっている。どのくらいの人々が巻き込まれたのかはわからない。日本政府も世論も黙っていないだろう。




