第57話 王宮の攻防
王宮の図書室へ向かう通路にはマサソイトが敵を待ち構えている。彼の右手に持つ得物は30センチ位の長さの柄にオルカル81製の斧を取り付けたトマホークである。
王宮に侵入した魔族が向かってくる、彼はトマホークを振るい、通路を血で染め、魔族の死体を積み重ねていく。魔弾を撃つ魔族もいるが、マサソイトには傷一つ付かない、全身を魔力で覆って硬化させている。
魔族たちは、彼一人に行く手を阻まれ膠着状態に陥る。そこへ中位の魔族ゴモリーとクロセルが現れる。
ゴモリーが言う
「マサソイトか、これは大物だな、僕から行かせてもらうよ。」
次の瞬間、マサソイトの前に姿を現し、右こぶしを彼の腹に打ち込む。マサソイトは初めて態勢を崩す。しかし、同時にゴモリーの左腕が断ち切られている。トマホークによる斬撃が同時に繰り出されていたのだ。
ゴモリーは間合いと取る。マサソイトは構える。ゴモリーは素手による戦いを得意とする、魔力は全身を覆い、マサソイトと同じく硬化させている。
彼はジャブを繰り出しけん制する、マサソイトは左手に魔力の盾を作って受け流す。マサソイトが動く、盾を前に出しゴモリーに叩きつける。ゴモリーの右こぶしが盾を打ち砕く。
ゴモリーの右腕が伸びきるのを彼は狙っていた。トマホークの斬撃が打ち下ろされる。ゴモリーは両腕を失うが、闘志は衰えていない。右足でマサソイトの左脇腹を蹴り込む。
マサソイトは思わず前かがみになる。ゴモリーは、それを逃さなかった、右足を振り上げ、彼の頭に踵を振り下ろす。マサソイトの頭から出血するが、彼は構わず両腕でゴモリーを捕まえる。
ゴモリーの体からミシミシ音がする。マサソイトはさらに力を入れ抱きしめる。ゴモリーは、口から血を噴き出す、そして力尽き抱きつぶされる。
マサソイトは吠える。
「ここは、誰も通さんぞ!」
魔族たちは、怯み後ずさる。その中でもう1人の中位の魔族クロセルは、口元に笑みを浮かべている。