第55話 迎撃前線
この時、俺はユグドラシルにある司令所に詰めていた。指揮所の隣には放送室があり緊急の情報が流せるようになっている。
そこでは、報道担当者が全世界に向けて
敵対する意思はないこと
魔族と戦争になっていること
フレイムランドという国ついて
について放送している。
戦闘全体の指揮についてはアーリィが指揮をとっている。ドニィーシャはウルクに搭乗し既に出撃している。東京湾上では、ウルク、クリス、ホワイトフラウ、シルフ、シルフⅡが迎撃に出ている。
魔族の目標は、指導的な立場のドニィーシャ、マサソイト、サイーシヤ、アピル、アーリィと考えられた。俺は王となったが、魔族に知られていない、一番狙われるのは、戦闘に向いていないアピルとアーリィだ。
アピルはサイーシヤと図書館にいる、また、マサソイトは王宮に詰めている。
数百の魔族と戦闘が始まる、迎撃を抜いてフレイムランドに取り付く魔族が出てくるだろう。俺は迎撃を抜けてきた魔族を迎え撃つことにする。
俺はサイーシャが開発した魔道戦用のスーツを装着する。白を基調に赤いラインが入っている。このデザインは恥ずかしい。あとでサイーシャに作り直してもらうことにする。そして管制官に言う。
「スター1出るぞ。」「ご武運を」
アーリィは送り出す。
迎撃では、ウルク、クリス、ホワイトフラウに装備された盾内蔵のビームバルカン砲が効果的に働く飛び回る人間大の標的を狙うのに効果が高かった。
一方、シルフ、シルフⅡは苦戦していた、相手の方が旋回性が良いため対応できずにいる。
ドニィーシャのウルクは、確実に射程内の敵を撃ち落としで行くビームバルカン砲で撃ち漏らした敵はライフルで撃ち落とす。
しかし、ビームをはじく魔族がいる、ライフルも通用しない、他の魔族とはレベルが違う中位クラス魔族だ。ドニィーシャは、ライフルを盾に収め、刀を抜く、オルカル81製の刀で切れ味は折り紙つきである。
魔族も帯刀していた剣を抜く。ドニィーシャはウルクを自分の手足のように扱い、魔族の右肩から斜めに切りつける。しかし、魔族は受けとめる長さ60センチほどの剣でウルクの巨大な刀を・・・
魔族はウルクに接近し剣で切りつけるが傷だけでダメージは小さい。すると魔族は剣に魔力を乗せ刀身を伸ばし、ウルクの左肩関節に切り込む、腕は切り落とされることはなかったが、左腕の機能を失う。
ドニィーシャはウルクの刀に魔力を乗せるとその力を集中させ硬く研ぎ澄ませる。魔族も剣に魔力を集中させ再び刀身を伸ばす。
そして両者は、前面で切りつけ合う、刀で撃ち合ううち魔族の剣が砕ける。ドニィーシャのウルクの刀が魔族の体を両断する。
ドニィーシャは勝ったが、ウルクは損傷が大きく戦闘の続行不可能である。彼女は帰還するしかない。迎撃戦は続いているが、多くの魔族が内側へ入り込み始める。