第343話 軍の解体
国土管理局局長のグリゴリーは幹部会で軍の縮小を提案する。軍司令のアーリィは反発する。
「軍を解体すれば再構築に時間がかかります。人員は異世界側に艦隊を作って運用すればよいです。」「軍はいま、必要ありません。必要なのは国内の管理です。退役した軍人には国土管理局に入ってもらいます。」
グリゴリーは軍人を国土管理局で使うつもりである。
「軍が必要ないと聞こえましたが・・・」
アーリィの声が怖い。グリゴリーは平然として言い切る。
「軍は解体すべきです。」「敵が攻めてきたらどうするのですか。」
「ムーラーと戦わないことにしたはずです。」「神族と魔族がいます。」
「それらには強力な戦士でなければ対抗できません。」「軍には無理だというのですか。」
「はい、魔力の強いものだけワルカのパイロットとして残せば足ります。」「これまで戦ってきたのは軍ですよ。」
「存じています。」
俺が話を止める
「そこまでだ。」「この件について意見のある者はいるか。」
ドニィーシャが発言する
「少なくとも近衛騎士団と近衛艦隊を残すべきです。」
アサドが発言する
「どうして近衛だけ残すのかね。」「不測の事態に対応するためです。」
アマルが言う
「軍学校はどうするの。」「第2軍学校を残して軍学校を廃止すべきです。」
グリゴリーが発言する。
「軍が無ければ軍学校は意味ないわ。」
アーリィが嫌味を言う。
「では廃止ででよいですか。」
グリゴリーが真に受ける
「よいわけないでしょ。」
アーリィが怒る。
俺は潮時だと思う
「この議題は次回に持ち越すことにする。各自考えてみてくれ。」
グリゴリーの意見は極端だが、軍縮は自然の流れだと思う。
次の幹部会で、グリゴリーはフレイムランドの現状を説明する。
「今後、フレイムランドは爆発的に人口が増えると考えられます。」「今の都市で人口を支えられるのかね。」
アサドが聞く。
「今のうちに新しい都市計画をいくつか立てておく必要があります。」「国土管理局にそんな余裕はあるのか。」
アピルが聞く。
「すでに職員はオーバーワークです。人員はいません。」
グリゴリーが答えるとアーリィが言う。
「軍を解体して人員を補充するのですか。」「そうです。」
「軍は必要ですよ。」
アーリィは主張する。
「近衛騎士団と近衛艦隊を残しておけばよいと思います。」
ドニィーシャが言う。
「治安維持のために各都市に騎士団が必要だが、どうする。」
ティグラトが聞く
「解体した軍の騎士を使います。」「近衛騎士団と近衛艦隊を残して、軍は解体、退役軍人は国土管理局と騎士団で引き受けるということでいいかな。」
俺は話をまとめる。アーリィは反対する。
「戦力が少なすぎます。」
「軍がなくなるわけではないよ。」
俺はアーリィの反対を受け流して採決を取る。
アーリィ以外賛成して、軍の解体が決まる。
異世界側の造船所では、造船中だった3隻のベネディット級が急いで造船される。3隻は、異世界側の近衛艦隊の船になる。
アデル艦長の船をイザヨイ、アーシャ艦長の船をカンゲツ、マリア艦長の船をカゲツと名付けられる。
乗員は輸送船で造船所に行き、船を受領するとゲートタウンの宇宙港へ向かう。
宇宙港で搭載機のフレームシリーズと物資を積み込む。3隻はランド2とランド3の警戒に就くことになる。
これに伴い、軍司令部はゲートタウンに場所を移す。浮島の司令部には、地球側の監視をする人員だけが残る。
軍を去った者たちのうち騎士は、各都市の騎士団に所属することになる。他の者は国土管理局に勤めるため、研修を受ける。
浮島の位相空間には、主を失った艦船が浮かんでいる。