第342話 脱出成功
ルーカス提督とベルント提督は、輸送船を守りながら地球に向かっていく。交互にSPA砲を撃ち、ムーラーの群れの中に道を作って行く。レーダーはムーラーで埋め尽くされ役に立たない。
突然、ムーラーの群れの中から本拠地が艦隊に突撃してくる。スクルド級が1隻、本拠地と衝突しばらばらになる。
各艦は、本拠地に熱核弾頭ミサイルを撃ち込む。本拠地は燃えながらムーラーの群れの中に消える。本拠地は熱感知器で艦隊からそのまま去って行くことが判る。
両提督は、本拠地対策に艦隊を散開させたいが、輸送船を守らなければならない。艦隊はそのままの隊形を維持して進んでいく。
その頃、無人になった月基地は、オートの状態でムーラーと交戦している。基地の中には、備蓄された食料があり、ムーラーを惹きつけている。
基地にハリネズミのように設置された可動式ビームバルカン砲がムーラーを掃討している。浮島の司令部では、月基地の状況をモニターしている。
アーリィは願いを込めて言う。
「このまま防ぎきれないかしら。」「月基地が落ちなければ、もう一度出撃できそうですが・・・」
カール司令官は、月基地が落ちると考えている。
ルーカス提督とベルント提督の艦隊は、本拠地の体当たりで5隻のスクルド級を失う。フレームシリーズも9機がムーラーの餌食になる。
2隻の輸送艦は無事である。艦隊はムーラーの群れを抜ける。
地球に着いたのである。艦隊はそのままのスピードで大気圏に突入する。このスピードでは、艦船もフレームシリーズも耐えられない。
各艦は防御スクリーンを展開して耐える。フレームシリーズは甲板に着艦して耐える。
艦隊を追いかけてきたムーラーは摩擦熱に焼かれて消えていく。
艦隊は減速して地面ぎりぎりで停止する。乗員が歓声をあげて喜ぶ。
ルーカス提督とベルント提督の艦隊は、脱出に成功したのである。
月基地は、防衛機構がムーラーを寄せ付けずにいる。しかし、突然、基地内にムーラーが現れる。
ムーラーは基地内を破壊してゆく。目標は、食料備蓄倉庫である。
ムーラーは地中に潜り、基地に侵入したのである。ついに、防衛機構が止まる。
ムーラーにコントロールを破壊されたのだ。
月基地の状況をモニターしていたアーリィは言う。
「カールの言うとおりにしておいてよかったわ。」「私も地中から侵入するとは予想外です。」
カール司令官が答える。
ルーカス提督とベルント提督の艦隊が月基地の脱出に成功した後、他の提督の艦隊の役割は終わる。ジェームス提督の艦隊が大気圏を突入してくる。
続いてポニート提督とシモーネ提督の艦隊が大気圏突入してくる。クリストフ提督の艦隊が、多量のムーラーの群れを引き連れて大気圏突入してくる。
艦隊と一緒に降下したムーラーは摩擦熱に焼かれて消えていく。最後にヴェルフ提督の艦隊が大気圏突入する。
浮島にはヘルヘイムと宙域防衛艦を省いたすべての艦船が集まることになる。
当然、浮島のドックには入りきらない。ほとんどの艦船は、浮島の位相空間にとどまり乗員は連絡艇で船を降りる。
こうして、何年かかるかわからないが、ムーラーが立ち去るまでとどまることになる。
幹部会では、軍縮の話が持ち上がる。フレイムランドは、動かない艦隊の乗員を遊ばせておくことはできないのだ。