第326話 ヴェルフの提案
浮島の司令部は、軍の戦線の維持ができないと判断して後退を指示する。艦隊は赤道付近まで後退して補給と休憩をとる。
軍の引いた戦場で俺は収束砲を撃ちムーラーと本拠地を蒸発させる。ヘルヘイムも6門のSPA砲で地面を溶鉱炉に変えながらムーラーを消していく。
俺もヘルヘイムも友軍がいないため、攻撃しやすいのだ。司令部はヴェルフと連絡を取る。
「ムーラーの数が多く防ぎきれないことを伝える。」
ヴェルフは司令部に住民の避難を依頼する。さらにヴェルフは司令部に提案する。
「オーストラリア大陸だけ守ることはできませんか。」「大陸に戦力を集中して戦うのですか。」
「そうです。こちらの戦線を厚くできます。」「分かりました。陛下に具申します。」
司令部はヴェルフの案に乗る。俺に司令部から連絡が来る。
「ヴェルフの案ですが、オーストラリア大陸に戦線を構築して戦うのはどうですか。」「分かったが、全戦力を投入しないと戦線を維持できないぞ。」
「分かりました。異世界の3提督の艦隊を向かわせます。」「時間がかかるぞ。」
「すでに3提督は月におります。」「分かった。試してみよう。」
フレイムランドの軍とシャドーズはオーストラリア大陸に防衛線を張ることになる。
浮島の司令部とシャドーズのヴェルフは、防衛線の構築を考える。戦力はフレイムランドの6提督の艦隊と近衛艦隊、シャドーズの3隻の空中戦艦である。
俺とヘルヘイムは、防衛線から離れたところにいるムーラーや本拠地が集まった所を狙うことになる。威力が大きいため防衛線に近いと見方を巻き込む恐れがあるのである。
防衛線は大陸の北岸を中心に厚くしている。アジアを南下するムーラが最初に接敵すると考えての布陣である。
浮島の司令部は防衛線の維持の期限を決めようとしたが、ヴェルフは
「戦況によって決めたい。」
と答え。
「オーストラリア大陸を守らないと地球は死の星になる。」
と続ける。
司令部では全戦力を集中しているので犠牲者が多くなる前に引き上げたいのだ。今、浮島の造船所では、スクルド級の造船が急がれている。
そして、幹部会では、月の裏側の異界の門の爆破を検討されている。俺が不在の今、ドニィーシャとサイーシャが爆破を踏みとどまらせている。