第316話 ブラジリア
輸送船の1隻が、5人の生存者を浮島へと運ぶ。調査団は南アメリカ大陸へと向かう。
海から数百キロは津波に飲まれてしまっている。調査団は海に近い支部を諦め、ブラジル高原にあるブラジリアを目指す。
ブラジリアも建物が壊れ、瓦礫と化している。しかし、人の姿が見える。
支部の人員10名もけが人はいるが死者はいない。調査団は住民に囲まれる。彼らに食料や医薬品を提供することにする。状況を司令部に報告する。
司令部は移民希望者を移送することを指示する。調査団は移民希望者を募るが、住民は瓦礫の中に取り残されている家族や仲間の救助を要請する。
司令部は、クリストフ提督にブラジリアの救助活動を指示する。クリストフ提督の艦隊に輸送船が3隻同伴する。
輸送船には必要な物資が積み込まれている。輸送船は、物資を下すと、支部の10人と移民希望者80人を乗せて浮島へ引き返す。
移民希望者が80人と少ないのは、みんな家族や友人の無事を願ってとどまっているからである。
ブラジリアでは、クリストフ提督の艦隊のフレームシリーズが救助活動を始める。84機あるフレームシリーズのうち半数の42機が瓦礫を撤去しながら作業を進める。
残りの42機は待機している。戦闘と違って、繊細な操作を要求されるため、2時間交代で作業をしているのである。
しかし、本拠地衝突から5日たっており、発見されるのは遺体の方が多い。クリストフ提督は、遺体からの腐臭で衛生面の悪化を心配して、被災者の代表と話し合いの席を設ける。
提督は代表者に言う。
「多くの遺体が発見されています。地面に穴を開けて火葬にしたいのですが。」「遺体の身元が分からない方が多くいます。身元が分かった者だけにしてくれませんか。」
「このままだと病気が蔓延する恐れがあります。」「しかし・・・」
「今、生きている人が大切なのです。」「わかりました。みんなに話します。」
代表は、辛そうに受け入れる。
翌日、フレームシリーズによって地面に穴を掘られる。被災者は遺体を穴に運び入れる。そして、荼毘にふされる。
クリストフ提督の救助活動は1か月に及ぶがまだ終わらない。提督は再び被災者の代表と話をする
「援助物資が底をついてきました。」「そうですか、我々はどうしたらよいのか。」
「生存者の方々には、フレイムランドに移民してほしいと思っています。」「移民しない人はどうなります。」
「永遠に援助することはできません。」「わかります。」
「援助物資はすべてお渡ししますが、後は自力で生活するしかないと思います。」「では、移民の希望者を募ることにします。」
「お願いします。」
提督は、移民をもって救助活動を終えるつもりでいる。
彼は、司令部に輸送船の手配を依頼する。