第172話 エレクの量産化
シストは検査を受けるが体に異常はない。また、脳波に人と異なるところは認められなかった。
彼は、検査員に脳波コントロールを動作させたときのことを質問される。
「戦に集中していて、脳波コントロールが動作したことに気づかなかった。ただ、機体の反応が良くなった。」
彼はその時のことをこう答えている。結局、脳波コントロールの動作の理由は不明のままだ。
シストのエレクが模擬戦で示した動作、つまり脳波による機体のコントロールはフレームシリーズのあり方を変えるものである。脳波コントロールされたエレクは抜群の機動性を発揮する。
しかし、シスト自身、模擬戦の時以来、脳波コントロールはできていない。最初から脳波コントロールモードだとまともに動かせないのである。
そのため、今は模擬戦を繰り返し、オートで脳波コントロールに切り替わることを試している。だが、脳波コントロールに切り替わることはない。
代わりにシストは、しだいに腕を上げ、イザベラでも太刀打ちできなくなる。また、エレクの方が機動性がクリスより良いため、クリスの熟練パイロットがエレクの新人パイロットに押されるようになる。
近衛艦隊でのエレクの運用結果は、FSー2エレクの性能を証明し、クリスに代って量産されることが決定される。また、いまだにまともに動作しない脳波コントロール機能は保険として残されることになる。
ファーストフレーム・ウルクの次世代型の開発が進められることになる。ウルクにエレクの技術生かして性能を上げようとするのが狙いである。
ウルクは開発されてから100年以上経つ古い機体である。かなりの性能の向上が期待されている。
そして次世代型にも脳波コントロール機能を乗せる計画である。