第165話 カロルのファーストキス
グリゴリーとカロルは3回生になる。モーリス・ヴィトンの魔術研究室はこの1年、汚職事件の解決、魔眼強奪事件の解決と研究とは違うところで有名になっている。
今回も錬成魔術は人気がないのか希望者は少ない、それでも4人研究室に入って来る。
2回生はグリゴリーとカロルの様子を見て、グリゴリーに聞く。
「2人は付き合っているのですか。」
グリゴリーは断言する。
「付き合っていない。」
カロルにはショックな言葉だ。グリゴリーは続ける。
「でも、一生守ると誓った。」
カロルは?マークが浮かぶ。2回生も訳が分からないようだ。
カロルはグリゴリーを連れ出す。そして、カロルは問いただす。
「グリゴリー、一生守ると言ったわよね。」「言った、約束は守る。」
「なぜ、付き合っていないの。」「付き合っていないからだ。」
「どういうこと。」「付き合うとは、キスをしたり、夜を一緒に過ごしたりすることだろ。」
グリゴリーの一般常識は魔女殺しのサイーシャに由来する。彼にとって付き合うとは一般常識とは異なり、男女の仲になるのと同じである。
サイーシャは肉食系である。彼女には付き合うとはグイグイいくことである。グリゴリーには彼女の教えが行き届いている。
それならグリゴリーはカロルに迫って行きそうだが、彼の思考は魔術の研究にほとんどが費やされ、そのほかの思考は最小限になっている。
カロルはグリゴリーがずれているように感じる。そしてグリゴリーにキスをする。
「私のファーストキスなんだからね。」
カロルは赤くなる。
「あとは夜を一緒に過ごすだけだな。」
グリゴリーは言う。
「まだ、早いでしょ。」「そうか、早いのか。」
グリゴリーは納得したようであるが、カロルはグリゴリーの夜を過ごす意味が違うように感じる。