第146話 グリゴリーのアルバイト
グリゴリーとカロルは新しいアルバイトのおかげでほくほく顔である。
カスパルは新しい街でありまだ周囲に膨張を続けている。それは土木工事が盛んなことを意味する。
そこでグリゴリーはカロルに新しいアルバイトを提案する
「錬成で道や平地を造ることで稼げると思うけど。」「それはできるけど雇ってくれるかしら。」
「時間の短縮にもなるし有効だと思うよ。」「とにかく、先生に聞いてみましょう。」
2人は、モールス先生に行く。グリゴリーがモーリス先生に言う
「2人で土木工事のアルバイトをするつもりです。錬成で道や平地を造るつもりです。」「それは錬成の新しい使い方だね、やってみてもいいけど、交渉は自分たちでするんだよ。」
モーリス先生は、あっさり許可を出す。
グリゴリーは道路工事費を予想し、1つの工事で金貨10枚を交渉の基準にする。カロルは半年以上生活できる金額に驚く。
しかし、彼は本気である。だが、まだ11歳と14歳であるなかなか交渉に乗ってくれる現場が見つからない。
ある現場で現場監督が面白がって工事を中断し、2人にやらせてみることにする。現場監督は2人に言う
「今日中にあそこに見える木の根元まで幅6メートルの道を造ったら金貨20枚でどうだ。」
距離は1キロ位ありそうである。グリゴリーはカロルに言う。
「カロルやるけどいいか。」「いいよ、1時間くらいかな。」
「なら、僕は30分、賭けよう。」「何賭ける。」
「夕食。」「決まりね。」
2人は錬成で道を造り始める。雑木の生える荒れ地を平らな道に変えていく。
道はどんどんできていくが2人は魔力を消費していく。約束の場所の手前でカロルが魔力切れを起こす。
しかし、グリゴリーにはまだ余裕がある。結局40分で道は完成する。
現場監督は驚き、これからも手伝ってくれと頼む。グリゴリーは現場監督と連絡先を交換する。
帰り道、カロルは魔力切れを悔しがる。グリゴリーはカロルの欠点を指摘する
「カロル、魔力の消費を抑えて効率良く使わないとだめだよ。」「はい、反省します。」
「でも、カロルがここまでやれるとは思わなかってよ。」「なに上から物を言うのよ、私がお姉さんなんだから。」
2人は金貨20枚を山分けし、軽口をたたきながら帰宅する。