第141話 グリゴリーの入学
サイーシャの子グリゴリーは10歳で魔術学校に入学する。魔術学校に年齢の制限はない、試練に通れば入学できる。
試験は、基礎的な学力に魔術の初歩を知っていれば答えられる魔術の知識を調べる試験と魔力の大きさを調べる検査である。
魔力が小さくては魔術師になれないためである。
試験を受けたのは、16歳くらいのものが多い。グリゴリーの10歳は飛びぬけて年齢が低いのである。
グリゴリーは首席で試験をクリアしている。さらに入学時には、サイーシャの教育が終わっており、基礎的なことは学ぶまでもない。彼は授業中、自分の魔術の本を読んでいる。
講師ははじめグリゴリーを指名し答えさせるが完璧な答えをするので今は無視されている。同級生の中には、そんな彼を快く思っていない者もいる。
入学して1年が経った頃、同級生はみんな魔力操作ができるようになっており、覚えの速いものは魔弾を撃つことが出来るようになる。
その魔弾を使える者たちがグリゴリーを呼び出す。
「お前だけが特別じゃないぞ。」「これまでのことを謝れ。」
口々に言うがグリゴリーには関係ないことである。彼らはグリゴリーの平然とした態度に怒り、彼に向けて魔弾を撃つ。
しかしグリゴリーはシールドで防ぎ、地面を凍らせ立ち去る。彼らは追いかけようとするが足が動かない。足が凍り付き地面に張り付いている。
この件があってからグリゴリーに意見する者はいなくなる。
しかし、そんな彼にちょっかいを出す者がいる。3歳年上の少女である、彼は彼女がちょっと苦手である。
彼には少女のちょっとした悪意の無いからかいに対する対処の仕方が判らないのだ。