第129話 マリアの乗艦
マリアは軍学校で優秀な成績を残す。彼女はドニィーシャの言う通り、3年後、最年少ながら首席で卒業する。
卒業後は実習生として経験を積むことになる。マリアは宙域防衛艦ベネディットへの乗艦を希望する。志望理由は実戦を経験する可能性が高いためだそうだ。
確かに宇宙戦闘艦が戦うと言えば、ムーラーとの戦いである。
エルマー艦長はアルバン・キルヒナー副長に言う。
「ドニィーシャ様の娘が来るそうだ。」「まだ13歳で首席で卒業だそうですね。」
「そうだ、なのになぜこの船なのだ。」「近衛艦で実習すれば良さそうですね。」
「そう、思うだろ、上は何を考えている。」「私には想像もつきません。」
エルマー艦長は懐疑的になっている。ベネディットはムーラー捜索のため月の裏側の軍港から出港する。
管制から出港許可が出る。エルマー艦長が指示する。
「ベネディット発進、ステルススクリーン用意。」「月の裏側から出るまで5秒前」「ステルススクリーン展開」「展開を確認」
「目標木星宙域」「了解」
「態勢を二交代制へ移行する、索敵機用意。」「二交代背に移行、索敵機発進します。」
「バシュ1、進路クリア、発進どうぞ」「了解」
「バシュ2、進路クリア、発進どうぞ」「了解」
エルマー艦長は艦橋にいるマリアに話しかける。
「マリア・メルル、この艦はどうかね。」「指揮命令が滞りなく行われています、さすがは実戦を経験した艦だと思います。」
「どうしてこの間に乗艦したのかね。」「実戦の経験が豊富なのと実戦を体験する可能性が高いからです。」
「ムーラーと戦ったことのある艦は他にもあると思うが。」「ラスクと戦ったのはエルマー艦長とアーシャ艦長だけです。」
「そうか、君は実戦を望んでいるのか。」「はい、自分が成長するには実戦が必要です。」
「今度、ムーラーと戦う時は大勢力だぞ。」「ならばどこにいても同じです。」
「分かった、十分学んでいきなさい。」「はい。」
エルマー艦長はマリアがドニィーシャの娘であることを実感する。