第128話 マリアとグリゴリー
マリア・メルルは10歳にして軍学校を合格し入学する。軍学校の試験は学問だけではなく、身体能力も必要である。
軍学校へ入学するのは18歳くらいが多く、早くても16歳くらいである。これは軍の訓練について行く体力が必要とされているためだ。
10歳で合格するのは、これまでなかったことである。マリアは10歳で大人並の学力と身体能力を持っていることになる。
俺は心配だが、マリアは入学をやめないだろう。俺はドニィーシャに言う。
「マリアの入学を認めるつもりか、まだ早いと思うが。」「マリアには首席で卒業するように言ってあります。」
「俺は、カリキュラムについて行けるか心配なのだが。」「大丈夫です。首席で卒業するでしょう。」
俺の心配はドニィーシャに伝わらない。
イザベラの娘、ミア・イーストマンも軍学校で学びパイロットになろうとしているが、まだ12歳で入学はまだまだ先のことだ。
俺は優秀なパイロットになることを期待している。
サイーシャの息子、グリゴリー・プラトノーフはマリアと同じ10歳である。
しかし、魔術の才能は大人顔負けの物があり、学力も同様だ。彼はカスパルに新設された魔術学校へ行くことが決まっている。
俺は心配しサイーシャに言う。
「まだ、10歳なのに1人暮らしさせて大丈夫なの。」「グリゴリーのことは心配ありませんわ。」
「そうなのか。」「既に自分のことは考えて行動できます、魔術学校へ行くのも自分で決めました。」
「既に大人と代わらないじゃないか。」「私の教育が良いのです。」
俺はサイーシャがどんな教育をしたのか追求しない。聞けば、グリゴリーのことが余計に心配になると思ったからである。
俺はグリゴリーに期待している。マリアが世継ぎになることを阻止できるのはグリゴリーしかいないのである。
他に優秀な人材がいれば血のつながりは関係なく世継ぎにする気でいるが、ドニィーシャ、サイーシャが認める者でなければならない。