第105話 ムーラー三度目の襲来
ヴィットリオのムーラー接敵の情報を受けて、同じく木星方面を索敵中だったヴェネトが向かっている。
月の裏側の基地からは、ベネディット、ホワイトアースが発進し、休暇中のレジナは乗員が招集されている。
また、ルーカス、クリストフ、両提督の艦隊も発進準備を進めている。地球の近くにいるジェームス提督の艦隊は、既に木星へ向けて艦を勧めている。
逃走を続けるヴィットリオのレーダーは前方に強大な影を映し出し始める。ドミニク艦長はSPA砲の状況確認をして、クリスは、前方へ向かう。
「SPA砲の発射用意をはじめられるか。」「すでにバレルの冷却が完了しています。」
クリスはムーラーをビームバルカン砲で掃討しつつ進むとムーラーの本拠地を視認する。強化ユニットを装備した4機のクリスが熱核弾頭ミサイルとSPA砲で本拠地を攻撃する。
ドミニク艦長はSPA砲の発射を指示する。
「SPA砲の発射用意。」「バレルロック解除。」
「バレルの状況を報告。」「バレル内電子加圧開始。」
「距離5000でSPA砲を発射する、距離6000でクリスに退避指示」「了解」
「バレル内圧力上昇中、間もなく規定値です」「距離6000」
「クリスに退避指示」「了解」
「射線上からクリス退避完了。」「圧力規定値に到達、撃てます。」
「距離5000で発射、カウント開始」「5、4、3、2、1、0」「発射」
ヴィットリオの艦首から2本のエネルギーの激流が吐き出される。本拠地は激流に飲み込まれ、燃え崩れ消える。
艦はそのまま船速を落とさず、ムーラーから逃げる。ヴィットリオは最大船速を保っているため、ムーラーに追いつかれずに済んでいる。
ヴィットリオは、ムーラーの本拠地1基を破壊したことを月裏側の基地へ報告する。