努力は必ず報われるという人
「努力は必ず報われる!」
という人が、好きじゃない。
分かってないな、と思ってしまう。
勘違いしてるな、と感じてしまう。
私が1番初めの病気になったのは、もう7年も前だ。
その時は、たくさんのことが怖かった。
まず、私の病気はパッと見、分からない。痛みや吐き気を我慢しながら仕事してると、必然、仕事の効率が落ちた。
誰かにそれを、「怠けている!」と思われることがすごく怖かった。
一番の不安が「周りにどう思われるか」だった時点で、自分を粗末に扱っていたと、今では思う。
なのに自分では、自分を大事にしてないことに気づいていなかった。
職場に迷惑をかけたらだめなんだと、私は無理やり働き続けた。
次に、完治することのない病気だってことが怖かった。
ホルモン剤の副作用は強かった。薬を飲んでは吐く日々が続いた。
「ずっと薬を飲み続けないといけないんだ…。」
「こんなのが毎日続くの?」
「仕事、続けられる?」
毎日、不安だった。
いきなりやって来る貧血は、本当に恐怖だった。
あの、視界が狭まっていく感じ。あの、音が聞こえなくなっていく感じ。意識が遠のく感じ。
粘膜という粘膜、全てが弱くなっていたので、よく鼻血も出した。
何度も色んなところで倒れた。その度に服をダメにし、体にアザが出来た。
お腹の痛みも、鎮痛剤で耐えられるレベルじゃなかった。息が出来なくなるほどの鋭い痛みだった。
外出が、出来なくなっていった。
そして、将来のことが恐かった。
7年前、私の夢は、ママになることだった。
仕事は好きだったけど、子どもを生んでお母さんになりたかった。
私は、自分が健康を失って初めて、「赤ちゃんが生まれる」ってことは奇跡なんだと思い知った。
病気になるまでは、結婚して赤ちゃんを生んでお母さんになるなんて、「当たり前」だと思ってた。
でも、全然「当たり前」なんかじゃなかった。
妊娠や出産は、たくさんの奇跡の上に織り成されたものだった。
なんていう思い違いをしていたんだろうって、心から後悔した。恥ずかしかった。悔しかった。色んな感情がごちゃ混ぜになって溢れて、処理できなかった。
子どもを持てない人生と向き合わなければいけなくなった。
夫は結婚当初から子どもが欲しいと言っていた。夫は、子どもが大好きなのだ。
もう、夫に申し訳なくて、申し訳なくて、何度謝っても足りなかった。
涙って枯れることないんだなって、思った。それくらい、私は何年も泣き続けた。
自分のことがきちんと考えられない、事実を受け止められないまま、去年の秋、また別の病気になった。
今も、将来のことは怖い。気持ちの切り替えなんて、まだまだ出きない。
「努力は必ず報われる!」とか、「夢は絶対に叶う!」って言う人とは、私はどうしても仲良くなれない。
そんなキラキラしたこと言って、私に絶望を与えないでほしい。私には、報われなかった努力がたくさんある。
その人が報われるだけのことを積み上げてきたのは、確かなんだと思う。そこを否定する気はない。
でも、努力が報われるのは、「必ず」ではない。
お金や時間や教育や家庭や環境、周りの人の協力など…。
自分のための土台があったからこそ、出来た努力だと思う。
それに、成功するか否かは、その時々の運やタイミングも大きく関係していたはずだ。
だから、それらの土台…自分が知らずのうちに手にしていたカードの存在…を無視する人が、嫌いだ。
手持ちのカードが強い人ほど、持ってることに疑問を持たない。感謝するという発想自体がない。
私は、何でも努力で解決できるって主張する人が嫌いだ。そういう人よりも…
「物事に取り組む時、手を抜いたら気持ちが悪いでしょう。
努力した方が、あなたの気分はきっといいよ。
一生懸命やった方が、あなたにとって、良いと思うよ。」
って、きちんと説明してくれる人の方が好きだ。
私自身も、あなたは頑張ってるんだもん、きっと成功するよ〜なんて、曖昧なことは、他者に言いたくない。
「一生懸命やる方が、自分が納得できる生き方になるよ。」
と、しっかり伝えたい。