こたつのマモノ
雪のちらつく冬のある日。リビングのこたつに入る私。その隣に幼稚園児くらいの、知らない男の子が座っていた。
「君は誰?」
驚いて聞くと、眩しい笑顔で「ぼくはマモノだよ! ここに住んでるの」と返してきた。
魔物? そんな怖そうに見えないけど。というか、ほっぺがプルプルで可愛いな。
「今日はあなたに言いたいことがあって、出てきたんだ」
言い終わるやいなや、キッと眉をつり上げる男の子。おやおや、雲行きが怪しいぞ。怒られるのかな?
「あなたはいつもこたつでうたた寝するよね。しかもそれを全部ぼくのせいにするよね」
男の子は頬を膨らませた。うん。確かに、家族に注意されるたび、「こたつに魔物が住んでるから仕方ないでしょ」と適当な言い訳してた。
「あのね、うたた寝しちゃうのはあなたがこたつに潜るからでしょ。そこですぐに寝っ転がるからでしょ」
「正論ですね」
「だからぼくのせいにしないでもらいたいの」
「……すみません」
謝ると、魔物は眉を下げてこたつを指差した。
「ここで寝ると人間は風邪ひくよ。せっかく温めてあげてるのに、病気にならないでね。あなたはぼくに名前をくれた人だから、元気でいてほしいんだ」
そう言うと、男の子はふわっと消えてしまった。
名前をくれた? 私が?
「……もしかして、こたつに住む『魔物』って私が言ったから、自分の名前だと思ったのかな?」
だとしたら、かなり申し訳ない。
あの子はこたつの妖精なのか。またいつか、現れてくれるかな? そしたら次はもっと良い名前をつけてあげよう。
男の子の名前を考えようと、寝転がって────
あっぶねぇええ! と思い、私は慌ててこたつに座り直した。注意されて五分も経ってないのに、この体たらくである。
魔物が住んでいるのは、私の心だな。
気を付けます、と脳内で男の子に頭を下げ、私はふ、と一人で笑うのだった。
お読みくださりありがとうございました。
スマホ片手にこたつで寝落ちする方は、作者と友達です。こたつ大好き( *´艸`)